2018年11月1日、台湾のNASメーカーのQNAPは、なんと表現すればいいのかわからない、多分NASでいいんだと思う「TS-2888X」を発表しました。
2018年11月1日から11月30日までは予約期間として15%オフのプレオーダー価格となっています。
スペック
型番 | TS-2888X |
メーカー | QNAP |
価格 | 4,900ドル〜 |
CPU | Xeon W-2133 Xeon W-2145 Xeon W-2195 |
メモリ | DDR4-2666 ECC RDIMM |
最大メモリ | 512GB(8スロット) |
ドライブベイ | 3.5インチ x 8 2.5インチ x 16 U.2 x 4 |
SSD対応 | ○ |
NIC(1GbE) | 4 |
NIC(10GbE) | 2 |
USB2.0 | rear x 4 |
USB3.0 | front x 2 rear x 4 |
USB type-c | × |
eSATA | × |
PCIe | 3.0 x 8 |
SDカード | × |
HDMI | × |
4K対応 | × |
DisplayPort | × |
S/PDIF | × |
ライン出力 | in/out |
スピーカー | × |
赤外線レシーバー | × |
システムファン | front 12cm x 6 rear 12cm x 3 |
電源 | 2000W x 1 |
特徴
特徴、というかツッコミどころだらけです。
まず、何はともあれ外観です。すでにTOP画像で出オチ感が漂っているわけですが、正面と両サイドの3面です。
これ、側面のカバーをしていればカラオケの機材ですと言われても納得するんじゃないでしょうか。
がじぇっとりっぷは正面画像を見て、「昭和のスピーカーにこんなのあった気がする」と思いました。
正面です。
電源ボタンやUSB、LCDがある辺りはQNAP NASらしさがありますが、足元はストッパー付きのキャスターです。
耐荷重100kgだそうですが、鉄板を敷かないと床にダメージがいきますね。
左側面です。
ストレージがびっしり入っています。
3.5インチベイが8、2.5インチベイが16、U.2というPCIe接続のベイが4の、計28台分のスペースがあります。
U.2というのは聞き慣れない規格ですが、SATA、SAS、PCIeを含んだコネクタをしています。
規格そのものはSFF-8639の名で2011年に発表され、2015年6月にU.2と呼称変更された、思ったより古い規格です。
QNAPではM.2 SSDを1本または2本搭載できるU.2ボードを提供する予定です。
2本搭載版を使ったら実質最大32台搭載になりますね。
右側面です。
もう、明らかにNASの範囲を逸脱している気がするのですが…
搭載CPUは2017年8月に発表された、ワークステーション向けの「Xeon W」シリーズです。
「TS-2888X」には以下の4種類が採用されています。
Xeon W-2123:4コア8スレッド、3.6GHz(ターボ3.9GHz)
Xeon W-2133:6コア12スレッド、3.6GHz(ターボ3.9GHz)
Xeon W-2145:8コア16スレッド、3.7GHz(ターボ4.5GHz)
Xeon W-2195:18コア36スレッド、2.3GHz(ターボ4.3GHz)
メモリはDDR4-2666 ECC RDIMMが8スロット(最大512GB)です。
RDIMMとはレジスタードバッファと呼ばれるLSIを内蔵したメモリのことです。
これに対し、一般的なDIMMはUnbuffered DIMMと呼ばれます。
ECCはError-correcting codeの略で、エラー訂正機能を示します。
要はエラー訂正機能があり、バッファでアクセスを安定させる、高価なメモリってことです。
下半分はGPUコーナーとなっており、2スロット占有型のGPUが4基、装着できます。
NASなのにGPU…
背面です。
サーバーでもなかなかお目にかかれないような、ズドンとした構成です。
どーんとファンが並んでおり、ポート類が小さく見えます。
ネットワークはGbEが4ポート、10GbEが2ポートです。
PCIeスロットは2スロットごとに束ねられて間隙が作られていることが分かります。こうすることでGPU同士が干渉しあうのを防いでいます。
電源はなんと2000W。ここまでやっておいて冗長構成じゃないのが逆に違和感を感じるあたり、毒されてきています。
ブロックダイアグラムです。
CPU本体とチップセットをフル活用して、インターフェースを限界まで積んでいることが分かります。
PCIeスロットなんか、CPU直結とチップセット経由が混在しています。
OSはQNAPのQTSです。むしろ、QTSで動くんですね…
アクセス頻度ごとにHDD/SAS/SSD/M.2(U.2) SSDへとデータを振り分けるQTierにも対応しています。
こんなNASというよりモンスター級PCと呼ぶべきシロモノですが、用途としてあげられているのが医療分野です。
医療画像をもとに学習(ディープラーニング)を行い、脈絡膜血管新生など重大な疾患を瞬時に発見する、といった用途が挙げられています。
「TS-2888X」は膨大な画像データを保管し、学習し、判断する、すべての工程を1台でこなす、”AI NAS”というのがQNAPでの位置づけとなるようです。
まとめ
記事を書きながら何度も「NAS…なんだよね…?」と疑問が湧いたモンスターNAS「TS-2888X」ですが、お値段もモンスター級です。
記事執筆時点ではメモリ32GB〜512GBまでと前述のCPU 4種類の組み合わせで11モデルがラインナップされています。
一番安い「TS-2888X-W2123-32G」が5799ドル、一番高い「TS-2888X-W2195-512G」が27199ドルです。
2018年11月30日までは予約価格として4900ドル(約55万5千円)〜23100ドル(約260万円)となっています。
自作PC界では時折総額50万円とか100万円とかのモンスターPCが出てくることがありますが、「TS-2888X」をベースにすると、ドライバーさえ揃えばいい感じのモンスターマシンができそうな気がします。
コメント
産業向けデータサーバでしょうか??
ワークステーションや仮装化ならこんなのもありだと思いますが謎ですね……
コメントありがとうございます。
記事内に書いているように、医療向けのAI NASというのが用途の一つとなっていますが、正直謎なので、がじぇっとりっぷはロマン枠だと思っていますw