最近あまりチェックしていなかったのですが、クラウドファンディングサイトのIndiegogoに、冷蔵クーラーボックスとソーラーパネル+バッテリーがセットになった、「GoSun Chill」というものを発見したので紹介します。
スペック
■Chill
モデル名 | Chill |
メーカー | GoSun |
発売日 | 2019/05 |
価格 | 499ドル〜 |
容量 | 40L |
収納(350ml缶) | 約40本 |
収納(500mlPET) | 約15本 |
冷媒 | R134A |
電源 | DC12V・24V |
消費電力 | 最大45W |
温度調整 | −20℃〜20℃ |
防水防塵 | IP65 |
幅 | 597mm |
奥行き | 406mm |
高さ | 483mm |
重量 | 12.7kg |
■Solar Table
寸法 | 122×71×48.9〜68.6cm |
寸法(折り畳み時) | 61×71×11cm |
重量 | 8.4kg |
耐荷重 | 34kg |
材質 | アルミ、ステンレス |
ソーラーモジュール | 単結晶セル |
出力 | 60W / 18V |
ケーブル | 5.5×2.1mmコネクタ、1.5m |
防水防塵 | IP45 |
■Flex Solar
寸法 | 74×35.5×1.8cm |
寸法(折り畳み時) | 24.7×35.5cm |
重量 | 1.4kg |
材質 | フレキシブルポリマー |
ソーラーモジュール | 単結晶セル |
出力 | 30W / 18V |
ケーブル | 5.5×2.1mmコネクタ、1.5m |
防水防塵 | IP65 |
■Power Bank
寸法 | 17.5×10.5×4cm |
重量 | 1kg |
バッテリー | リチウムイオン 144WHr(38,500mAh@3.7V) |
電源入力 | 16〜18V、最大60W MPPT内蔵 |
電源出力 | 最大180W(15A@12V) |
USB出力 | 5V 2.4A x2 5V 1A x1 |
ライト機能 | LED(200lumen) 最大2日(満充電時) |
防水防塵 | IP45 |
特徴
冷蔵クーラーボックスとは、要はクーラーボックス型のポータブル冷蔵庫のことなわけですが、これ自体はそんなに目新しいものではありません。
車載冷蔵庫なんてものは結構歴史は古いですし、12V/100Vの2way電源で冷蔵できるクーラーボックスというのも昔からありました。
がじぇっとりっぷが車中泊の旅をしていた時も、車内にはクーラーボックス型の冷蔵庫を積んで、飲み物やら食材やらを冷やすのに重宝していました。
ではなぜ「GoSun Chill」を取り上げたかというと、ソーラーと組み合わせるという点に目からウロコとなったからです。
がじぇっとりっぷが使用していた当時はシガーソケット→インバーター→100V電源という形で給電を行っていました。
そのため、車のエンジンを止めてしまうと冷却が止まってしまっていたわけです。
継続して冷却するにはエンジンを止めても電気を得られる仕組みが必要なわけですが、当時は今のように大容量のリチウムバッテリーがほとんど出回っていなかったため、ディープサイクルバッテリーとインバーターを組み合わせて100V電源を得るという方式を考えていました。
これは結局、旅を終えるまで実現することはありませんでした。
「GoSun Chill」はそんな面倒なことをせず、ソーラーパネルと大容量のリチウムバッテリーで電力を得るという、分かりやすい設計となっています。時代は進化したものだ…
「GoSun Chill」は”Chill(クーラーボックス)”、”Solar Table(ソーラーパネル内蔵テーブル)”、”Flex Solar(折りたたみ式ソーラーパネル)”、”Power Bank(MPPT内蔵バッテリー)”、”Fusion(太陽熱式オーブン)”の5つの製品の組み合わせからなっています。
“Chill”自体は至って普通の2Way電源式の冷蔵クーラーボックスです。
というか、中国製品によくある、ロゴが違うだけでほぼ同じものが普通に売られているのですが、これは規約的に大丈夫なんでしょうか…?
一応、ゴムロープを引っ掛けるフックが付いたり、ポシェットが付いたり、ハンドルの根本にオープナーがあったりとカスタマイズはしているようですが…
ポータブル冷蔵庫はペルチェ式とコンプレッサー式の2種類がありますが、”Chill”はコンプレッサー式となります。
冷媒はR134Aというもので、フロンガスの代替冷媒としてカーエアコンや冷蔵庫、自動販売機などでよく使われています。
ただし、温室効果が高いことから将来的に規制が入るのではないかと言われています。
冷却能力は20℃から−20℃まで設定可能で、同等品の説明では20℃から−1℃まで冷却するのに9〜10分、−20℃までだと37分となっています。
後述する”Power Bank”を使用した場合、27℃の環境に置いて12℃維持で14時間、−12℃維持で6時間となっています。
氷を作り続けるなど常時フル稼働させた場合は3〜5時間となります。
“Solar Table”は折りたたみテーブルの片面がソーラーパネルになったテーブルです。この発想はなかった。
ソーラーパネルをテーブルにするという発想はあまりないようで、似たような製品はほとんどなく、あっても自作品とかコンセプトモデル、展示用ばかりで製品レベルというものは見当たりません。
調べた限りでは過去に米アマゾンで45W版が150ドルで売られていたくらいです。
“Flex Solar”は三つ折りの折りたたみ式ソーラーパネルです。
最大30W出力ですが、似たようなものはアマゾンでいくらでも出てくるので、あまり語ることはないのですが、”Chill”のハンドグリップに装着する(TOP画像参照)というのは面白いアイデアだと思います。
“Power Bank”は単なる大容量ポータブルバッテリーと思いきや、MPPTコントローラーを内蔵したバッテリーでした。この発想はなかった(第2弾)。
ソーラーパネルが発電する電力というものは当然ですが日射量に左右され、電流も電圧も常に変化します。
そのため、ソーラー発電をするときに必要となるのがチャージコントローラーと呼ばれるものになります。
チャージコントローラーは充放電の制御を行い、ものによっては過充電防止や逆流(放電)防止機能があったりします。
制御方法には2種類あり、安価だけど単純制御のPWM方式と、高価だけど高効率なMPPT(Maximum Power Point Tracking)方式があります。ある一定以上の出力だとほぼMPPTですね。
通常MPPTコントローラーはコントローラー単体で独立しており、ここに外部バッテリーを接続します。
ところが”Power Bank”はバッテリーを一体化、単純化することで、ユーザーからすればモバイルバッテリーに近い操作感を得ることができます。
出力は12Vのシガーソケットと、3ポートのUSBとなっています。
シガーソケットなので”Chill”に限らず車載用テレビをつないだり、インバーター経由で100V出力などもできますね。
“Fusion”はソーラークッカーの一種なのですが、太陽熱と電気のハイブリッドオーブンとなっています。
BBQ好きなアメリカ人(偏見)ならともかく、あまり日本人受けはしないと思います。
まとめ
クーラーボックスやソーラーパネル、バッテリーなど単体ではありふれたものではありますが、それらをうまく組み合わせた「GoSun Chill」はまさにアイデア商品だなぁと思います。
特に個人的には”Solar Table”と”Power Bank”に感動しました。
この2つだけ単品で欲しいくらいですね。
価格については以下のようになっています。
499ドル(約54,000円):”Chill”+”Power Bank”
599ドル(約65,000円):”Chill”+”Power Bank”+”Flex Solar”
649ドル(約70,000円):”Chill”+”Power Bank”+”Solar Table”
999ドル(約108,000円):”Chill”+”Power Bank”+”Solar Table”+”Fusion”
なお、クーラーボックスは同等品が楽天などでも販売されており、15L、30L、40L、50Lの4サイズがあります。
価格は同じ40Lで30,000円くらいです。
![]() | 価格: |
これを考えると”Power Bank”が24,000円相当ということになりますが、調べてみたら10,000円〜20,000円程度で似たような製品(MPPT内蔵バッテリー)がいくつかありました。
suaoki ポータブル電源 S270 40540mAh/150Wh
MATECH GiantCell+ 61200mAh/220Wh
DIZA100 ポータブル電源 60000mAh/220Wh
全体的には割高な感じではありますが、こういう製品があるということを教えてくれたこと、全部をセットにしてユーザーに使い方を示したのは大きいかなと。
“Solar Table”以外は国内でも揃えることができるので、アウトドア用や災害対策に用意するというのは全然ありだと思います。
なお、「GoSun Chill」の出資期限は6月6日23時59分までとなっています。
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