2019年4月25日、ASRockの産業向け部門、ASRock Industrialは組み込み向けRyzenのV1000シリーズおよびR1000シリーズを搭載した、NUC規格のマザーボード「4X4-V1000/4X4-R1000」を発表しました。
スペック
メーカー | ASRock Industrial | |
型番 | 4X4-V1000 | 4X4-R1000 |
価格 | ||
発売日 | 2019/04 | |
サイズ規格 | NUC | |
CPU | Ryzen Embedded V1605B | Ryzen Embedded R1606G Ryzen Embedded R1505G |
チップセット | ||
メモリインターフェイス | DDR4-2400 | |
メモリスロット | SO-DIMM x 2 | |
メモリ最大 | 32GB | |
ECC対応 | ||
SATAポート数 | 1 | |
M.2 | M-Key(2280) x 1(PCIe x4/SATA3) E-Key(2230) x 1 | |
mSATA | × | |
USB2.0(内部) | 2 | |
USB2.0(外部) | × | |
USB3.0(内部) | × | |
USB3.0(外部) | Front x 1(3.1) Rear x 2 | |
USB type-C | × | |
LAN | 1GbE x 2 (RTL8111G) | |
Wi-fi | M.2 E-key | |
Bluetooth | M.2 E-key | |
D-Sub | × | |
DVI | × | |
HDMI | Rear x1(2.0) | |
4K対応 | 4K/60Hz | |
DisplayPort | Rear x2(1.4) | |
シリアルポート | 1(pin) | |
S/PDIF | × | |
オーディオジャック | Front x 1(in/out) | |
サウンドチップ | ||
PCI-Eスロット | × | |
eSATA | × | |
赤外線 | × | |
Optaneメモリ対応 | × | |
電源 | 12V |
特徴
組み込み向けRyzenを搭載した小型サイズのマザーボードといえば、過去にUDOO「BOLT V3/V8」を紹介しています。

UDOO「BOLT V3/V8」はArduino互換ピンを搭載する代わりに120mm×120mmとNUC規格(101.6×101.6mm)より一回り大きかったのですが、「4X4-V1000/4X4-R1000」は4.09インチ×4.02インチ(103.9mm×102.1mm)と、ほぼNUC規格サイズとなっています。
そのため、狭い面積にぎっしりと詰め込んだ中身となっています。
CPUは、「4X4-V1000」がRyzen Embedded V1605B、「4X4-R1000」がRyzen Embedded R1606G/R1505Gとなっています。
簡単な違いは以下の通り。
V1605B:4コア8スレッド、2.00GHz、ブースト 3.60GHz、TDP12~25W、passmark 1686/7454
R1606G:2コア4スレッド、2.60GHz、ブースト 3.50GHz、TDP12~25W
R1505G:2コア4スレッド、2.40GHz、ブースト 3.30GHz、TDP12~25W
もうちょっと詳しく知りたい場合は以下の記事をどうぞ。

性能についてですが、V1605BがRyzen 3 2200Gとほぼ同等かやや上(数%程度)となるようです。
Intel CPUとの比較だと、2018年のノートPCでの主流であった、Core i5-8250Uと同等の数字となっています。
Core i5-8250UはGIGABYTEのNUC「BRIX」シリーズなどに採用されており(Intel純正NUCは少し性能の高いCore i5-8259U)、「4X4-V1000」はNUCと比較しても遜色ない性能を持っていると言えるでしょう。

マザーボード上部にはメモリとM.2スロットが大きな面積を占め、右側にSATAポートやシリアルポート(pin)、USB2.0(pin)などがひしめき合っています。
というか隙間がなさすぎてインターフェース名のプリントがわけわからないことになっています。
これを見てピン配置が理解できたら凄い。
Wi-fiは搭載せず、M.2 Key Eで対応する形なのは、各国の技適をクリアしたWi-fiカードを使うとか、状況に合わせたカードを選択する余地を残しているということでしょう。
なお、マザーボードについてはCPU以外は「4X4-V1000/4X4-R1000」で共通となっています(TOP画像の「4X4-V1000」と比較すると、型番部以外はまったく同じです)。
底面側にはCPUが配置され、シロッコファンがついています。
左上にある四角いのが起動ボタンのようです。
というか、ファンのネジ位置、どうなっているんだろう…
NUCの唯一の悩みは、一辺が短く、インターフェースが限られる点でしょう。
たとえばIntel NUC(NUC8i5BEH)ではHDMI+LAN+USB x2+Type-C x1となっています。
「4X4-V1000/4X4-R1000」はかなりがんばっていて、GbEを2ポート、HDMI x1+DisplayPort x2のトリプルディスプレイを実現しています。
唯一負けているのはThunderbolt3ですが、これはどうしようもありません。でもType-C端子はあっても良かったかも。
電源は12V DCジャックとなっています。
フロント側はUSBとオーディオジャックだけとシンプルです。
iBOX-R1000
「4X4-R1000」を使ったNUCとして、「iBOX-R1000」が同時に発表されています。
オンボードpinのUSB2.0とシリアルポートをフロント側に引っ張りだしており、ファンレス構造になっています。
CPU側に放熱板を持ってくるため、「4X4-R1000」の裏表を逆にして取り付けているようです。
インターフェースが全部ひっくり返っていますね。
なお、「4X4-V1000」版がありませんが、放熱が追いつかなかったのでしょうか。
まとめ
「4X4-V1000/4X4-R1000」は産業向けだけあって、デュアルLANやトリプルディスプレイなどを備えています。
キオスク端末やデジタルサイネージ(柱の3面広告とか?)を想定しているようですが、内容的に市販しても十分行けそうな気がします。
価格については産業向け(要問い合わせ)なので提示されていません。
しかしこれ、10年くらい前のクラウド前夜の頃の、企業ですらサーバーを自作していた時代に登場していたら爆発的に売れていたんじゃなかろうか…
関連リンク
4X4-V1000 – ASRock Industrial
4X4-R1000 – ASRock Industrial
iBOX-R1000 – ASRock Industrial
コメント
Asrock 4X4-V1000を早速購入し使っています。
性能も悪くなく、これまで安物IntelNUCに泣かされたのが嘘のような感じで気に入っています。
欠点は、発熱量に対する冷却が今一歩で、時々ファンの高速回転によるノイズが気になります。
その他、消費電力は、平均25Wですが、起動時とか高負荷になると50Wを少し超えるところまで上がります。
冷却周りはケースの高さをあと5mm拡張してその分薄型ファンと冷却フィンの追加をしてあげればよかった気がします。
コメントありがとうございます!
ケース込みのNUCは記事にしていますが、冷却、実消費電力などスペックからはわからない点の報告ありがとうございます。
本当、あとはM.2 2280に対応していれば文句なしだったのですが…
ついに来た! ASRock「4X4 BOX-V1000M」「4X4 BOX-R1000M」は組み込みRyzenのNUCサイズPC