2019年4月17日、AMDは組み込み向けのRyzen APU「AMD Ryzen Embedded R1000」シリーズを発表しました。
前世代の「AMD Ryzen Embedded V1000」シリーズ含め、製品記事内ではちょくちょく取り上げていたのですが、独立したまとめページを作っていなかったので、作っておくことにしました。
2021年11月10日、後継となる「Ryzen Embedded V2000」が発表されました。
「R1000」シリーズ
「Ryzen™ Embedded R1000」は2019年4月17日に発表され、以下のような特徴を持っています。
2015年10月に発表された「AMD R」シリーズの後継という位置づけのようで、後述する「V1000」の後継ではなく、ラインナップの拡充ととらえたほうが、しっくりくる内容となっています。
プロセッサーナンバー | Passmark | コア数(スレッド数) | 標準クロック | 最大クロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | 内蔵グラフィック | GPU Max Freq | GPU CU | TDP |
AMD Ryzen Embedded R1606G | 2 (4) | 2.6 GHz | 3.5 GHz | 1MB | 4MB | AMD Radeon Vega 3 Graphics | 1200 MHz | 3 | 12-25W | |
AMD Ryzen Embedded R1505G | 2 (4) | 2.4 GHz | 3.3 GHz | 1000 MHz | 3 | 12-25W |
コードネーム:Banded Kestrel(ヨコジマチョウゲンボウ)
対応メモリ:DDR4-2400、ECC対応、SME(Secure Memory Encryption)対応
USB:2.0 x 2、3.1(Type-C) x 1、3.1(Gen2) x4
SATA:2
PCIe:Gen3 x 8(※1)
NIC:10GbE x 2(※2)
最大ディスプレイ:3
UART:2
I2C:4
SMBus:2
SPI/eSPI
I2S/HDA/SW
GPIO
※1 おそらくGFX(GPU用)のみでM.2などの内部用は非記載になったものと思われます。
※2 10GbEはインターフェースが用意されているだけで、別途LANチップが必要
コードネームは「AMD R」シリーズのコードネーム:Merlin Falcon(チョウゲンボウ)にちなんだものと思われます。
現状発表されているのは下位にあたる2モデルのみで、「V1000」と比べると最大ディスプレイ数が4から3に減っています。
位置づけとしては下記の画像がわかりやすいです。
用途としてはデジタルサイネージ、ゲーム、産業用、シンクライアントなどを想定しています。
「V1000」シリーズ
「Ryzen Embedded V1000」は2018年2月21日に発表されました。
デスクトップ版Ryzenの“Raven Ridge”をベースとし、GPUのVega graphics、イーサネット、AMD 300シリーズチップセットが担っていたPCI-ExpressレーンやUSB、SATAなどのサウスブリッジ機能も組み込んで、Arm系のSoCのような、オールインワンのAPUとしたものです。
「R1000」シリーズと違い、4コア8スレッドの選択肢が用意されています。
プロセッサーナンバー | Passmark | コア数(スレッド数) | 標準クロック | 最大クロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | 内蔵グラフィック | GPU Max Freq | GPU CU | TDP |
AMD Ryzen Embedded V1807B | 7529 | 4 (8) | 3.35 GHz | 3.8 GHz | 2MB | 4MB | AMD Radeon Vega 11 Graphics | 1300 MHz | 11 | 35-54W |
AMD Ryzen Embedded V1756B | 3.25 GHz | 3.6 GHz | AMD Radeon Vega 8 Graphics | 1100 MHz | 8 | 35-54W | ||||
AMD Ryzen Embedded V1605B | 7864 | 2.06 GHz | 3.6 GHz | AMD Radeon Vega 8 Graphics | 1100 MHz | 8 | 12-25W | |||
AMD Ryzen Embedded V1202B | 5051 | 2 (4) | 2 GHz | 3.6 GHz | 1MB | AMD Radeon Vega 3 Graphics | 1100 MHz | 3 | 12-25W |
※Passmark値についてはサンプル数が少ないため、参考程度になります(V1605Bのほうが高いとかおかしいですし)。
コードネーム:Horned Owl(アメリカワシミミズク)
対応メモリ:DDR4-3200(V1807B/V1756B)、DDR4-2400(V1605B/V1202B)、ECC対応
USB:2.0 x 6、3.1(Gen1) x 1、3.1(Gen2) x4
SATA:2
PCIe:Gen3 x 16(※1)
NIC:10GbE x 2(※2)
最大ディスプレイ:4
※1 x8(GPU用)+ x8(内部向け)
※2 10GbEはインターフェースが用意されているだけで、別途LANチップが必要
まとめ
「Ryzen Embedded V1000/R1000」シリーズは組み込み向けということで単体での販売はされていません。
メーカー向け価格ではR1606Gが100ドル、R1505Gが80ドルという話です。
同様に搭載製品も産業向けが主で、コンシューマー向けというのはV1000シリーズを搭載する「UDOO BOLT」やR1000シリーズを搭載する「Atari VCS」(未紹介)などがあります。
「UDOO BOLT」はクラウドファンディング製品で、最近出荷が始まりましたが、一般販売も予約が開始されています。国内ではMouser Electronicsで購入できるようです。
ここ最近になって搭載製品が続々と発表されているので、折を見て紹介したいと思います。
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