SBC(シングルボードコンピューター)メーカーであるUDOOが、クラウドファンディングサイトのkickstarterで12cm四方のRyzen搭載ボード「BOLT V3/V8」のファンディングを始めました。
スペック
メーカー | UDOO | |
型番 | BOLT V3 | BOLT V8 |
価格 | 229ドル | 309ドル |
発売日 | 2018/12 | |
CPU | AMD Ryzen V1202B | AMD Ryzen V1605B |
コア/スレッド数 | 2C/4T | 4C/8T |
ベース周波数 | 2.3GHz | 2.0GHz |
バースト周波数 | 3.2GHz | 3.6GHz |
グラフィックチップ | RADEON VEGA 3 | RADEON VEGA 8 |
TDP | 25W | |
メモリインターフェイス | SO-DIMM DDR4-2400 | |
メモリスロット | 2 | |
メモリ最大 | 32GB | |
ECC対応 | ○ | |
ストレージ | 32GB eMMC | |
SATAポート数 | 1 | |
M.2 | Key B(2260) Key E(2230) Key M(2280) | |
mSATA | × | |
USB3.0(内部) | × | |
USB3.0(外部) | 2 | |
USB type-C | 2(Gen2) | |
SDカード | × | |
LAN | 1Gb x 1 | |
Wi-fi | ×(M.2 Key E) | |
Bluetooth | ×(M.2 Key E) | |
D-Sub | × | |
DVI | × | |
HDMI | 2(2.0a) | |
HDMI 4K対応 | 4K/60Hz | |
DisplayPort | ×(USB Type-C変換可) | |
オーディオジャック | 1 | |
光学ドライブ | × | |
PCI-Eスロット | × | |
eSATA | × | |
赤外線 | ○ | |
電源 | 65W / 19V | |
幅 | 120mm | |
奥行き | 120mm | |
付属品 | コースによる | |
その他 | Arduino互換ピン |
特徴
「BOLT V3/V8」の最大の特徴は、SoCに組み込み向けの”Ryzen Embedded V1000″を採用している点です。
“Ryzen Embedded V1000″は2018年2月21日に発表されたばかりのAPUで、デスクトップ版Ryzenの“Raven Ridge”をベースとしています。
そこにGPUのVega graphics、イーサネット、AMD 300シリーズチップセットが担っていたPCI-ExpressレーンやUSB、SATAなどのサウスブリッジ機能も組み込んで、Arm系のSoCのような、オールインワンのAPUとしたものです。
「BOLT V3/V8」では、「BOLT V3」に最下位の”Ryzen Embedded V1202B”を、「BOLT V8」に下から2番めの”Ryzen Embedded V1605B”を採用しています。
V3/V8はVega graphicsのコンピュートユニット数です。
なので大雑把に言ってしまうと、”Ryzen Embedded V1202B”はRyzen 3 2200U相当、”Ryzen Embedded V1605B”はRyzen 5 2500U相当の性能ということになります。
GPU性能は「V3」でIntelの対8世代CPUに搭載されているUHD 620の121%、「V8」だと238%だということです。
Ryzen搭載ということで「BOLT V3/V8」はインターフェース周りもPCとほぼ同等です。
メモリはSO-DIMM x2で最大32GBです。
USBは3.1 Type-Aが2ポート、3.1 Gen2 Type-Cが2ポートです。USB3.1 Gen2は最大10GbpsとなるのでDisplayPort変換をしたときに4K表示が可能です。
HDMIは2.0aが2ポートあります。先のUSB Type-C→DP変換も利用すると、最大で4画面☓4K表示が可能です。
ネットワーク周りは有線LANが1GbE x 1となっています。”Ryzen Embedded V1000″はデュアル10GbEを持っているので、ここはちょっと残念なところになります。
無線LAN(とBluetooth)はオンボードでは搭載せず、M.2 Key-Eに無線LANカードを差し込む形になります。
海外発表製品だと技適を取得していない場合がほとんどなので、(自前での用意になりますが)技適取得済みのカードを使えるのは良い点です。
ストレージはオンボードで32GB eMMC 5.0を搭載しています。eMMC 5.0は仕様上は最大400MB/sですが、現在の市販品ではシーケンシャルで100〜120MB/s程度となっています。
最大速度はHDD並ですが、ランダムアクセス時はSSDに近い速度が出るため、実用上で不便を感じることはないと思います。
また、eMMC以外にもM.2 Key-BとM.2 key-Mを搭載しており、高速なNVMe SSDを使うこともできます。
大容量がほしいときにはSATAポートもあるので安心です。
最後に、「BOLT V3/V8」は”ATMEGA 32U4″というチップを搭載しています。
これは何かというと、AVRマイコンというもので、「BOLT V3/V8」上でArduino互換のGPIOピンが使えるようにしています。
以前に紹介したCore m3搭載のSBC「LattePanda」と同じですね。
まとめ
「BOLT V3/V8」は、待っている人が多いと思われるAMD版NUCと呼んで差し支えないものとなっています。
組み込み向けCPUですが性能的には問題ないでしょうし、インターフェースも充実しているので困ることはないと思います。
肝心の価格は、「BOLT V3」が本体のみで229ドル(約2.5万円)、「BOLT V8」が同じく279ドル(約3万円)です。なお、「BOLT V8」は279ドルの限定数が売り切れとなり、現在は309ドル(約3.4万円)です。
付属品はヒートシンク&FANのみで電源アダプタも付属しませんが、デスクトップCPUとマザーボードがセットでこの値段と考えると安いです。
なお、USB PD対応なので電源アダプタはなくても構いません。
69ドル追加で4GBメモリと電源アダプタがセットになります。
173ドル追加で4GBメモリx2と電源アダプタ、無線LANカード(802.11ac+BT4.0)、HDMIケーブル、SATAケーブル、金属ケースがセットになります。
255ドル追加で上記セットのメモリが8GBx2となります。
メモリ価格は8GBx2で2万円を切るかどうか(秋葉原価格)というところなので、セットで買っても個別で買っても大して変わらなさそうです。
ケースが欲しいかどうかが単体かセットかのポイントになりますね。
一番需要がありそうなボード+ケースというセットがないのが残念です…
先日紹介したものの、詐欺っぽい雰囲気が漂いだした「Mi Mini PC」とは違って、メーカーのUDOOはすでにいくつもSBC製品を出しているので信用度はそれなりに高そうです。
ファンディング終了は2018年7月31日、配送開始は2018年12月とかなり先になりますが、10万ドルの目標に対してすでに21万ドルが集まっています。
RyzenはRyzenでもどうせなら人とは違うRyzenを使いたい!というくらいの生粋のAMDファンは購入を検討してもいいんじゃないでしょうか。
2018年6月10日追記:COMPUTEX会場で実物展示があったようで、レポートを挙げられているサイトがありました。
関連リンク
AMD CPU Ryzen 5 2400G (amazon)
UDOO BOLT: Raising the Maker World to the Next Level – kickstarter ※英語
UDOO – メーカーサイト ※英語
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