2020年11月10日、AMDは組み込み向けAPU「Ryzen Embedded V2000」シリーズを発表しました。
「Ryzen Embedded V1000」は2018年2月21日発表だったので、2年8か月ぶりのアップデートとなります。
「V2000」シリーズ
プロセッサーナンバー | コア数(スレッド数) | 標準クロック | 最大クロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | 内蔵グラフィック | GPU Max Freq | GPU CU | TDP | cTDP |
V2748 | 8 (16) | 2.9 GHz | 4.25 GHz | 4MB | 8MB | Radeon Graphics | 1.6 GHz | 7 | 45W | 35-54W |
V2718 | 8 (16) | 1.7 GHz | 4.15 GHz | 4MB | 8MB | Radeon Graphics | 1.6 GHz | 7 | 15W | 10-25W |
V2546 | 6 (12) | 3.0 GHz | 3.95 GHz | 3MB | 8MB | Radeon Graphics | 1.5 GHz | 6 | 45W | 35-54W |
V2516 | 6 (12) | 2.1 GHz | 3.95 GHz | 3MB | 8MB | Radeon Graphics | 1.5 GHz | 6 | 15W | 10-25W |
(参考)「V1000」シリーズ
プロセッサーナンバー | コア数(スレッド数) | 標準クロック | 最大クロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | 内蔵グラフィック | GPU Max Freq | GPU CU | TDP | cTDP |
V1807B | 4 (8) | 3.35 GHz | 3.8 GHz | 2MB | 4MB | Vega 11 Graphics | 1300 MHz | 11 | 45W | 35-54W |
V1780B | 4 (8) | 3.35 GHz | 3.6 GHz | 2MB | 4MB | – | – | 0 | 45W | 35-54W |
V1756B | 4 (8) | 3.25 GHz | 3.6 GHz | 2MB | 4MB | Vega 8 Graphics | 1100 MHz | 8 | 45W | 35-54W |
V1605B | 4 (8) | 2.0 GHz | 3.6 GHz | 2MB | 4MB | Vega 8 Graphics | 1100 MHz | 8 | 15W | 12-25W |
V1500B | 4 (8) | 2.2 GHz | – | 2MB | 4MB | – | – | 0 | 16W | 12-25W |
V1404I | 4 (8) | 2.0 GHz | 3.6 GHz | 2MB | 4MB | Vega 8 Graphics | 1100 MHz | 8 | 15W | 12-25W |
V1202B | 2 (4) | 2.3 GHz | 3.2 GHz | 1MB | 4MB | Vega 3 Graphics | 1100 MHz | 3 | 15W | 12-25W |
特徴
「Ryzen Embedded V2000」はZen2アーキテクチャをベースとした組み込みAPU(AMDでのCPUの呼び方)です。
「V1000」シリーズとの差は以下のようになっています。
V2000 | V1000 | |
---|---|---|
アーキテクチャ | Zen2 | Zen |
最大コア数 | 8 | 4 |
GPU | Radeon Graphics 最大7CU | Vega Graphics 最大11CU |
対応メモリ | DDR4-3200 (最大64GB、ECC対応) LPDDR4X-4267 (最大32GB) | DDR4-3200(上位) DDR4-2400(下位) 最大32GB ECC対応 |
USB | 2.0 × 4 3.1(Gen2) × 4 (内Type-C × 2) | 2.0 × 1 3.1(Gen1) × 1 3.1(Gen2) × 4 (内Type-C × 2) |
SATA | 2 | 2 |
NVMe | 最大2 | 対応 |
eMMC | – | 5 |
PCIe | Gen3 (20レーン) (x8 + x4 x 3) | Gen3 (16レーン) (GFX x8+GPP x8) |
Ethernet | – | 10GbE × 2 |
映像出力 | 4ディスプレイ DP1.4 HDMI2.1 eDP1.3 | 4ディスプレイ DP1.4 HDMI2.0b eDP1.4 |
一番大きな差はアーキテクチャがZen2となり、最大8コア16スレッドになったことでしょう。
Zen2なので製造プロセスも7nmになっています。
これらの効果として、プレスリリースにおける性能説明は以下のようになっています。
・マルチスレッド処理のワットパフォーマンスが2倍
・シングルスレッド性能は30%向上
・グラフィック性能は40%向上
・PCIeレーンが25%増量(16レーン→20レーン)
▲「V1605」と「V2516/V2718」のパフォーマンス比較です。
右から順に、CINEBENCH R15シングル、CINEBENCH R15マルチ、3DMark11総合スコアですが…なんでいまだにCINEBENCH R15なんでしょうかね?
▲見づらいですが左が「V2718」と「Core i7-10510U/10710U」との比較、右が「V2748」と「Core i7-9750H」との比較です。
こっちはCINEBENCH R20になっていますが、3DMarkスコアが左はTime Spy総合、右がFire Strike Phisicsとばらばらです。
いつも思うのですが、AMDはもうちょっと統一して見せてほしいです…
メモリもちょっと更新されて、全モデルDDR4-3200対応となり、LPDDR4X-4267が追加されています。
最大容量も64GB(DDR4-3200時)に増えました。
逆に「V2000」シリーズになって無くなったりバージョンダウンしたものもあります。
・eMMCの削除
・デュアル10GbEの削除
・eDPが1.4→1.3に
上二つは、せっかく搭載したのに実製品で使われなかったんでしょうね…10GbEのあるRezen V1000搭載機とか出てないですしね…
10GbEを追加したければPCIeを使えということでしょう。
また、現時点ではGPUなしモデルと寒冷地仕様(V1404I)のモデルがありません。
「V1000」のときも後から追加されたモデルなので、「V2000」でも後々追加されるかもしれません(これは需要次第だとは思います)。
「V2000」シリーズのブロックダイアグラム図です。
ディスプレイは最大4枚である点は変わりませんが、クアッド4K/60Hzができるようになっています。
「V1000」でもクアッド4Kは謳われていましたが、4K/60Hzまでは謳っていませんでした、
PCIeはx8+x8から、x8+x4+x4+x4の計20レーンになりました。
NVMeが最大2となっていますが、このPCIeレーンを消費するのかどうかは不明です。
「V1000」シリーズにはなかった機能として、ソフトウェアやメモリへの不正アクセスを防止する「AMD Memory Guard」というセキュリティ機能が追加されています。
▲ターゲットはシンクライアント、ミニPC、エッジコンピューティングとこれまで通り。
まとめ
現時点では「R1000」シリーズの後継となる「R2000」シリーズは発表されておらず、「V2000」シリーズのみです。
まぁ、「V1000/R1000」のときは1年遅れだったので、来年くらいに発表されるかもしれません。
「V2000」搭載機についてはすでに各メーカーが動いているようで、例えばASRockは「iBOX-V2000」やそのマザーボード「4×4-V2000」を発表しています。
個人的にはUDOOが「UDOO BOLT」の後継を出してくれないかなぁと思っていたりします。
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