2020年11月11日、ASRockの産業部門であるASRock Industrialは、AMDの組み込み向けAPU「Ryzen Embedded V2000」を搭載したNUCサイズマザーボード「4X4-V2000」シリーズと、そのマザーボードを搭載したベアボーン「iBOX-V2000」シリーズを発表いたしました。
スペック
■iBOX V2000M/V2000V | |
CPU | Ryzen Embedded V2718 Ryzen Embedded V2516 |
---|---|
メモリ | DDR4-3200×2 |
ストレージ | M.2(NVMe/SATA)×1、2.5インチ×1 |
USB | Type-C(Gen2)×2 Gen2×2、2.0×4 |
wi-fi | M.2 Key E×1 |
サイズ | 171.8×109.45×50.05mm |
重さ | 1.6kg |
特徴
「4X4-V2000」と「iBOX-V2000」には、APUの違いによってそれぞれ2モデルが存在します。
4X4-V2000M/iBOX-V2000M:Ryzen Embedded V2718(8コア16スレッド)
4X4-V2000V/iBOX-V2000V:Ryzen Embedded V2516(6コア12スレッド)
APU以外の仕様は共通しています。
APUの「Ryzen Embedded V2000」シリーズについては下記記事でまとめています。
「iBOX-V2000」シリーズは「Ryzen Embedded V1000/R1000」を搭載した「iBOX-V1000/R1000」シリーズの後継にあたるわけですが、筐体からして異なったものとなっています。
iBOX-V2000 | iBOX-V1000/R1000 | |
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CPU | V2718(8コア) V2516(6コア) | V1605B(4コア) R1606G(2コア) R1505G(2コア) |
メモリ | DDR4-3200 最大64GB(2slot) | DDR4-2400 最大32GB(2slot) |
映像出力 | HDMI2.0a DisplayPort1.2a、DP++ 最大4画面 | HDMI2.0 DisplayPort1.2a×2 最大3画面 |
イーサネット | 2.5GbE×1 1GbE×1 | 1GbE×2 |
USB | ■Front Gen2×2 Gen2(Type-C)×2 2.0×2 ■Rear 2.0×2 | ■Front Gen2×1 2.0×2 ■Rear Gen2×2 |
電源 | 90W / 19V | 96W / 12V |
サイズ | 171.8×109.45×50.05mm | 171.8x150x71.5mm |
割と違っているというか、サイズがかなり小さくなっています。
中身はどちらも4インチ角(NUC規格)のマザーボードのはずなのですが…
CPU(APU)は上で書いたようにRyzen Embedded V2718/V2516です。どちらもTDP15Wモデルです。
2コア/4コアから6コア/8コアへと変わったので、処理性能は飛躍的に向上しています。
メモリはDDR4-3200×2スロットで最大64GB。
これまでの経験上、Ryzenのグラフィック能力はメモリの影響(デュアルチャネルや速度)を受けやすく、アーキテクチャを同じくするRyzen Embeddedも同じ傾向であると予想できます。
DDR4-2400とDDR4-3200だと単純計算(速度比)で3割性能が変わるわけで、グラフィック能力も期待できますね。
ストレージはM.2+2.5インチで変わらず。
映像出力は最大4画面(HDMI+DP+Type-C×2)になりました。DisplayPortのデイジーチェーン接続は不明ですが、たぶんできるんじゃないかと思われます。
記載はされていませんが、「V2000」の仕様からしてクアッド4Kにも対応しているんじゃないかと。
▲中身の「4X4-V2000」です。
右側真ん中のUSB端子の裏にシリアルポート(COM)とUSB2.0のピンが出ています。
▲「4X4-V2000」の裏側にはAPUがあり、ファンが搭載されていますが、「iBOX-V2000」では筐体がヒートシンクとなるため、熱伝導シートか何かに置き換えられているはずです。
▲インターフェースは幅いっぱいに展開されています。
これを踏まえて「iBOX-V2000」を見てみると…
▲「iBOX-V2000」のインターフェースです。上下逆になっています。
端子のプリントが付いて分かりやすくなりましたね。
フロントには上で見たピンからUSB2.0を追加しています。
背面には電源ボタンとシリアルポート(COM)が追加されています。
また「V2000」はUSB構成が変更されたため、背面のUSBが2.0となっています。
イーサネットが2.5GbE+1GbEになったのもポイントですね。
2.5GbEは2020年のトレンドで、今後は5GbE、10GbEに置き換わっていくでしょうが、2~3年は2.5GbEが主流になると思います。
「iBOX-V2000」は最大4画面ですが、クアッド4KはフロントのType-Cからも出力するので見た目は悪くなりそうです。
▲参考までに、「iBOX-V1000」のインターフェースです。
フィンが長かったり、COMポートがフロントにあったりと、だいぶ違いますね。
パッケージについては画像はありませんが、以下のものが含まれます。
・19V/90W電源アダプタ
・ネジセット
・プロダクトDVD
・VESAマウンタ
・M.2 2280ブラケット
最後のは、M.2 SSDが2280サイズのネジ穴しかないので、2242サイズのSSDを使う時用のものですね。
まとめ
「4X4-V2000」「iBOX-V2000」は価格も発売日も不明です。そもそも産業向けなので一般向けに販売される可能性も高くはありません(「iBOX-V1000/R1000」は結局一般販売されることはありませんでした)。
「V1000」シリーズの時は代わりにNUCサイズなケースを付けた「4X4 BOX-V1000/R1000」シリーズが販売されたので、今度もそうなるんじゃないかと思っています。
ただ、「4X4 BOX」シリーズは最近やたらと力が入っていて、Ryzen 4000シリーズを搭載した「4X4 BOX-4800U/4500U/4300U」や、Intel第11世代Tiger Lakeを搭載した「4X4 BOX-1165G7/1135G7/1115G4」が発表されていて、あえて組み込み向けRyzenを選ぶ理由がなくなっているんですよね…
「4X4 BOX-V1000/R1000」のように安価であればワンチャンあるかなぁ。
関連リンク
リリースノート:ASRock Industrial
iBOX-V2000V:ASRock Industrial
iBOX-V2000M:ASRock Industrial
4X4-V2000M:ASRock Industrial
4X4-V2000V:ASRock Industrial
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