2018年7月9日、SAPPHIRE TECHNOLOGYが組み込み向けのRyzen Embedded V1000を搭載するマザーボード「FS-FP5V」を発表しました。
スペック
model | FS-FP5V |
メーカー | SAPPHIRE |
価格 | 325ドル〜 |
CPU | AMD Ryzen Embedded V1807B V1756B V1605B V1202B |
GPU | AMD Radeon Vega 11 Graphics AMD Radeon Vega 8 Graphics AMD Radeon Vega 3 Graphics |
メモリー | DDR4-3200 SO-DIMM x 2(ECC対応) |
サポートOS | Windows 10 Ubuntu 16.04 |
有線LAN | 1GbE x 2 |
チップ | RTL8111G ALC262 |
ストレージ | SATA x 1 M.2 M-Key(2280,PCIe/SATA両対応) |
USB | 2.0 x 3 3.1 x 1 |
拡張スロット | M.2 E-Key(2242) |
映像 | DP x 4 |
オーディオジャック | 2 |
シリアルポート | RS232/422/485 x 1 |
消費電力 | |
電源 | 12V |
幅 | 147.3mm |
奥行き | 139.7mm |
CPUについて
Ryzen™ Embedded V1000は以下のような特徴を持っています。
対応メモリ:DDR4-3200(V1807B/V1756B)、DDR4-2400(V1605B/V1202B)、ECC対応
USB:2.0 x 6、3.1(Gen1) x 1、3.1(Gen2) x4
SATA:2
PCIe:Gen3 x 16
NIC:10GbE x 2
グラフィック
Vulkan:対応
OpenGL:4.6
OpenCL:2.1
DirectX:12.0
最大ディスプレイ:4
プロセッサーナンバー | Passmark | コア数(スレッド数) | 標準クロック | 最大クロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | 内蔵グラフィック | GPU Max Freq | GPU CU | TDP |
V1807B | 4 (8) | 3.35 GHz | 3.8 GHz | 2MB | 4MB | AMD Radeon Vega 11 Graphics | 1300 MHz | 11 | 35-54W | |
V1756B | 3.25 GHz | 3.6 GHz | AMD Radeon Vega 8 Graphics | 1100 MHz | 8 | 35-54W | ||||
V1605B | 2.06 GHz | 3.6 GHz | AMD Radeon Vega 8 Graphics | 1100 MHz | 8 | 12-25W | ||||
V1202B | 2 (4) | 2 GHz | 3.6 GHz | 1MB | AMD Radeon Vega 3 Graphics | 1100 MHz | 3 | 12-25W |
特徴
「FS-FP5V」はタイトルにもあるように、SBC(シングルボードコンピューター)ではなく、Mini-STX(5.5×5.8インチ、140×147mm)サイズのオンボードCPUマザーボードに分類されます。
小型マザーボードにはいくつか規格がありまして、Mini-STXは比較的大きな部類になります(とはいえNano-ITXやPico-ITXはめったに見かけませんが)。
Mini-ITX:170×170mm
Mini-STX:140×147mm
Nano-ITX:120×120mm
NUC:101.6×101.6mm
Pico-ITX:72×100mm
画像はWikipediaより
話を「FS-FP5V」に戻すと、Mini-STXという比較的大きな基盤でありながら、インターフェースはあまり多くありません。
インターフェースは画像の通り。DisplayPort x 4 が目立ちます。
LANポートが2つありますが、内蔵ではなくRealtekのコントローラー(RTL8111G)をPCIe接続で使用しています。
内蔵で10GbEがあるのにもったいない…
USBは2.0が3つ(フロントx1/リアx2)、3.1(Type-C)がフロントに一つとかなり寂しい状態です。
Ryzen™ Embedded V1000はUSB3.1(Gen2)を4ポート持っているので、もうちょっと増やしても良かったんじゃないかと思います。
USBが物足りない一方、オーディオジャックは何故か2つあります。ほんと、なんででしょう…
まとめ
個人用途だとあれこれ物足りないスペックとなっている「FS-FP5V」ですが、公式サイトに記載されている想定用途は電子ゲーム機や医療画像処理、デジタルサイネージ、シンクライアント、POS端末など、となっています。
この用途を前提に考えると、前述の仕様が消費電力の削減を徹底した結果ではないかと推測することができます。
10GbEは消費電力が大きく、1ポートあたり3.5W〜5Wと言われています(結構古いデータなので、現在ではもっと低いかも)。
対して1000BASE-Tでは1ポートあたり0.3W(RTL8111Eの仕様書から計算した消費電力ですが、あまり自信がありません)くらいのようで、2ポート分となると結構な差がでます。
同じくUSB3.1も消費電力(待機電力)がUSB2.0より大きいです。
SATAも2ポートでなく1ポートなのは、より消費電力の少ないM.2 SSDをメインに考えているからかもしれませんね。
とはいえ、こんなところでちまちま削ってもCPU自体の消費電力を考えると、USBを増やしたりしたほうがいい気がしますが…
気になる価格ですが、CPUごとに325ドルから450ドルとなっています。
FS-FP5V1807B V1807B 35-54W 52093-00-40G – $450
FS-FP5V1756B V1756B 35-54W 52093-01-40G – $390
FS-FP5V1605B V1605B 12-25W 52093-02-40G – $340
FS-FP5V1202B V1202B 12-25W 52093-03-40G – $325
ところで、同じRyzen™ Embedded V1000を搭載したマザーボードに「UDOO BOLT」があります。がじぇっとりっぷでも以前に紹介しました。
こちらは12cm四方とよりコンパクトで値段は100ドルほど低くなっていますが、CPUの選択肢がV1202BとV1605Bのみとなります。
また、発送が2018年12月なので、かなり先となるのがネックです。
正直なところ、個人用途を考えているのであれば、「FS-FP5V」の使いどころは株価表示くらいしか思いつきません。
「UDOO BOLT」(kickstarterの受付は7月30日までです)を待ったほうがいいでしょう。
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