(おそらく)2019年6月4日、イスラエルの組み込み向けコンピューターメーカーのSolidRunが、100GbEを備えた「ClearFog CX LX2K」と、廉価版の「HoneyComb LX2K」を発売しました。
スペック
model | HoneyComb LX2K | ClearFog CX LX2K |
メーカー | SolidRun | |
発売日 | 2019/09 | |
価格 | 550ドル | 980ドル |
価格(日本円) | ||
CPU | NXP LX2160A (2.0GHz A72 x 16) | |
GPU | – | |
メモリー | 最大64GB SO-DIMM DDR4-2900 | |
サポートOS | Linux(>4.14) | |
有線LAN | 1GbE x 1 10GbE x 2(SFP+) | 1GbE x 1 10GbE x 4(SFP+) 100GbE x 1(QSFP28) |
Wi-fi | – | |
Bluetooth | – | |
チップ | – | |
ストレージ | 64GB eMMC(v1.0) SATA3.0 x 4 microSD | |
USB | 2.0 x 3 3.0 x 3 | |
GPIO | – | |
映像 | – | |
カメラ | – | |
オーディオジャック | – | |
その他インターフェース | PCIe 3.0 x8 M.2 Key M(2240/2280) | |
消費電力 | ||
電源 | ATX | |
幅 | 170mm | |
奥行き | 170mm | |
高さ | ||
その他 |
特徴
「ClearFog CX LX2K」と「HoneyComb LX2K」はともに、COM(Compute on Module)の「CEx7 LX2160A」と、キャリアボードからなっています。
「CEx7 LX2160A」はドイツ ニュルンベルグで開催された”Embedded World 2019″(会期:2019年02月26日~02月28日)で発表されたもので、組み込みモジュール向けの標準規格である”COM Express type 7″を採用しています。
搭載するSoCはNXPのネットワーク系最上位となる「LX2160A」で、Cortex-A72が16コア、PCIe Gen4(!?)が24レーン、圧縮通信時で100Gbps、暗号化通信時で50Gbpsをサポートし、L2スイッチとして使用した場合のスループットは130Gbpsに達する、バケモノみたいなプロセッサです。
ターゲットの一つに5Gネットワークが入っているので、このくらいの性能が必要ということでしょう。
ブロックダイアグラム図はこんな感じです。
PCIeがx8が2つ、x4が4つとなっていますが、合計で24レーン分までということのようです。
「CEx7 LX2160A」はこの「LX2160A」を中心に、メモリスロットや電源などを実装したモジュールです。
技術的なものか規格的なものかは不明ですが、PCIeはGen3かつ18レーンに制限されています。
ClearFog CX LX2K
「ClearFog CX LX2K」は「CEx7 LX2160A」のキャリアボードで、mini-ITX(170mm×170mm)サイズ規格となっています。
2019年4月頃には”ClearFog ITX”の名でおおよそのスペックが公開されていました。
インターフェース図です。
一番インパクトがあるのはやはり100GbEでしょうか。
QSFP28とはQuad SFP28の略称で、28Gbpsシリアルバスが四本平行に配線されていることを意味しています。
標準規格はIEEE802.3bmで、名称は100GBASE-SR4(短距離)/100GBASE-LR4(中距離)となります。
SFP | 1Gbps |
SFP+ | 10Gbps |
SFP28 | 25Gbps(28G) |
QSFP+ | 40Gbps(10G x 4) |
QSFP28 | 100Gbps(28G x 4) |
SFP系をざっくりと並べるとこんな感じです。
25Gbpsではなく28Gbpsとなっているのは、エラー訂正符号の分を考慮したためです。
こんなコネクタで(画像は100GBASE-SR4)、ケーブル部分は銅(〜10M)・光ファイバー(〜100mのMMF/〜40kmのSMF)から選択します。
まぁ、データセンターか、”逸般の誤家庭”で用いるようなやつですね。
ちなみに消費電力を調べたら、QSFP28はポートあたり4Wとかだったのですが、本当でしょうか…
ネットワークは他に、SFP+(10GbE)が4ポート、RJ45(1GbE)が1ポートあります。
こっちだけでも普通は「すげー」となるのですが、100GbEの前にはかすみますね。
ストレージが何気に豊富で、eMMC、SATA x4、M.2(2240/2280)x1となっています。
USBが3.0 x3+2.0 x3となっていますが、3.0 x2しか見えません。残りは裏面なのかピンなのかは不明です。
PCIeはx8スロットがあります。ネットワーク用というと、10GBASE-Tカードとかでしょうか。
流石にGPUは無理じゃないかなぁ…
電源はATX用のものとなっています。まぁ、PicoPSUなんかを使えばコンパクトに収まりそうです。
HoneyComb LX2K
「HoneyComb LX2K」は「ClearFog CX LX2K」からQSFP28コネクタを削除し、SFP+も2ポートに減らした廉価版となります。
画像を比較した限りでは、それ以外の差は認められませんでした。
COMモジュールは「CEx7 LX2160A」で共通のため、処理能力には変わりありません。
まとめ
化物みたいな性能の「ClearFog CX LX2K」ですが、価格は980ドル(約10万円)と、性能の割に安い気がします。
現在はrev1.0となっており、2019年12月にはrev1.1が予定されています。
公式サイトでは違いがイマイチわかりませんが、SoCの動作周波数が最大2.0GHzから最大2.2GHzに引き上げられるものと推測されます。
「HoneyComb LX2K」は”Early Access Production”として、定価750ドルから値引きされて550ドル(約6万円)となっています。
こちらも2019年12月にrev1.1が予定されており、動作周波数の引き上げ、メモリがDDR4-2900からDDR4-3200に引き上げ、などが盛り込まれています。
なお、rev1.0ボードの発送はともに2019年9月となっています。
関連リンク
ClearFog CX LX2K – SolidRun
HoneyComb LX2K – SolidRun
CEx7 LX2160A – SolidRun
LX2160A – NXP
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