2019年10月1日、Intel Atom x5-Z8350を搭載するSBC(シングルボードコンピューター)「ATOMIC Pi」と、外付けUSBアクセラレータ「Neural Compute Stick 2」をセットにしたAI開発キットがクラウドファンディングのKickstarterに登場しました。
スペック
※「ATOMIC Pi」のスペックとなります
model | ATOMIC Pi |
メーカー | Team IoT |
発売日 | 2019/01 |
価格 | 34ドル |
価格(日本円) | |
CPU | Intel Atom x5-Z8350(4コア) |
GPU | HD Graphics |
NPU | |
メモリー | 2GB LPDDR3L-1600 |
サポートOS | WIndows Ubuntu |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | 802.11 b/g/n |
Bluetooth | 4.0 |
チップ | RT5572 CSR8510 RTL8111G BNO055 |
ストレージ | 16GB eMMC microSD |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 1(pin) |
GPIO | 26pin x 1 |
映像 | HDMI |
カメラ | × |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | I2S |
消費電力 | |
電源 | 5V |
幅 | 130mm |
奥行き | 100mm |
高さ | 20mm 50mm(ヒートシンク込) |
その他 | 9軸方位センサー |
特徴
「ATOMIC Pi」は2019年1月に、Kickstarterに登場したSBCで、Atom x5-Z8350に2GB RAM、16GB eMMCという構成で、アメリカ限定発送とはいえ34ドルという激安さが一部で話題になりました。
参考:ATOMIC Pi – A high power alternative to RPi – Kickstarter
ちなみに現在は米Amazonで32.95ドルで販売されていたりします。
5V駆動(必要電力4〜15W)なのですが本体にはUSBやバレルジャックでの供給ルートはなく、自力でGPIOピンに供給するか、変換基板付きのコース(49ドル)を選ぶかしてね、というなんとも漢らしい仕様な上、下の画像にあるようにインターフェースがあまりにも少ないです。
見てのとおりですが、そのまま使えるのは1GbE LANポート、USBx1、HDMI、microSDくらいです。ピンまで含めるとスピーカーやUSB2.0など少し増えます。
それでもIntel CPU故にWindowsも動くとはいえ、ちょっと玄人向けすぎます。
ちなみに電源ボードはこんな感じです。
バレルジャックからGPIOピンの5VとGNDに接続しているだけのシンプルなものです。
また、他にもBreakout Boardが用意されており、どうもブレッドボード的な使い方を出来るようです。
まぁ、電源さえ確保できれば激安のWindows機にするなり、サーバーにするなり用途はあるのですが、ファンディングページがあまり丁寧でないことなどからあまりに胡散臭くて、結局紹介しなかったという過去があります。
ちなみに「ATOMIC Pi」、Breakout Boardともに裏側の画像はありません。
それから9ヶ月弱経って、キット化することで用途をはっきりさせて再登場したのが、今回のファンディングです。
キット内容は、「ATOMIC Pi」本体に、電源ボードと電源アダプタ、カメラボードとカメラケーブル、そして「Neural Compute Stick 2」です。
「Neural Compute Stick 2」はIntelの傘下であるMovidius社が開発している、深層学習の推論処理を高速化する外付けUSBアクセラレータです。
プロセッサにはIntel Movidius Myriad Xを搭載し、クラウドコンピューティングに依存することなく単独動作が可能です。
内部についてはあまり情報は多くないのですが、16のSHAVEと呼ばれるプログラマブルコアや、新規のディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)推論エンジンが搭載されています。
今回のキットでは「ATOMIC Pi」上にUbuntuとOpenVINOがプリインストールされています。
OpenVINOとはIntelが2018年9月に提供を開始した、Intelのハードウェア専用のAI推論SDKです。
画像系の推論を得意としていて、顔の特徴抽出、人体の姿勢推定、画像の超解像度化(鮮明化)などを得意としています。
実用的な用途だと、レントゲンやCT画像から悪い部分を発見するとか、工場での不良品検出などがあるみたいです。
より詳細な話は本筋と離れてしまうので、各自で検索をおねがいします(OpenVINO、「Neural Compute Stick 2」ともに日本語で解説しているブログはいくつもあります)。
ソフトウェアの話はともかく、「Neural Compute Stick 2」は見た目はUSBスティックなので、「ATOMIC Pi」との相性は悪くありません。
画像系に強いということで、カメラボードが同梱されている点も評価できますね。
OpenVINOの勉強をする目的では最適なキットと言えます。
まとめ
今回の「開発キット」の価格は99ドル(約10,570円)となっています。発送はアメリカのみなので、残念ながら日本からは購入できません。
で、この価格なのですが、「ATOMIC Pi」は単体で32.95ドルというのは前述したとおりですが(なお、電源ボードとカメラボードのセットは39.95ドルです)、「Neural Compute Stick 2」が単体で68.99ドル(米amazon価格)となっています。
電源アダプタまで加えると15ドルから20ドル位は安くなりそうです。
ところで日本国内だと「Neural Compute Stick 2」は無駄に高くて10,515円(amazon)なので、「Neural Compute Stick 2」単体だけでキットと同じ価格になるんですよね・・・
なお、米Amazonで販売されている「ATOMIC Pi」および「Neural Compute Stick 2」は日本に発送できるみたいなので、ファンディング価格より割高になりますが、電源アダプタ・送料まで入れて150ドル位になる計算です。
さらに割高にはなりますが、日本のAmazonで揃えても2万円いかないくらいで揃いそうな感じです。
これはこれで、AI開発の手始めとしては十分安いですね。
関連リンク
Artificial Intelligence. Neural Computing. Powered by Intel. – Kickstarter
コメント