登場から1か月くらい過ぎてしまいましたが、2020年6月21日、クラウドファンディングサイトのCAMPFIREで、出力の合計が210Wと破格なモバイルバッテリー「Flash 2.0」のファンディングが開始されました。
Flash:パワフルな210W、USB Type-C対応モバイルバッテリー
もともとは合計出力150Wの「Flash 1.0」のアップグレードモデルとして登場したため、ファンディングページ内の説明は「Flash 1.0」と「Flash 2.0」が入り混じっており、分かりにくくなっています。
スペック
メーカー | Chargeasp |
---|---|
モデル名 | Flash 2.0 |
容量 | 20000mAh / 74Whr |
インターフェース | USB Type-C x 2 USB Type-A x 2 |
最大出力 | 210W |
最大入力 | 100W |
バッテリー | TESLA社製 21700 x 4 |
バッテリー寿命 | 5年 |
ライフサイクル | 2000回 |
充電時間 | 35分(85%) 70分(100%) |
DC/DC入力効率 | 76%-82% |
出力効率 | 70%±5% |
放電率 | 350日間、1日あたり57 mAh |
安全保護 | 過電流/電圧/温度、短絡保護 |
動作温度 | -10ºC〜60ºC |
外装 | 航空機グレードのアルミニウムとPVC |
サイズ | 14.5cm x 8.2cm x 2.7cm |
重量 | 470g |
特徴
「Flash 2.0」は4ポート+Qiの出力を持つ、モバイルバッテリーです。
容量は20,000mAhで、出力構成は以下のようになっています。
USB-C 1:60W
USB-C 2:100W
USB-A 1:40W
USB-A 2:18W
Qi:10W
ただし、USB-Aの2ポートは合計で最大40Wとなります。これで合計は210Wですね。
出力をもうちょっと細かく書くと、以下のようになります。
USB-C 1:5V / 3A、9V / 3A、12V / 3A、15V / 4A、20V / 5A
USB-C 2:5V / 3A、9V / 3A、12V / 3A、15V / 3A、20V / 3A
USB-A 1:5V / 4.5A、9V / 2A、12V / 1.5A、10V / 4A
Huawei Super Charge 22.5W、Oppo、Oneplus VOOCフラッシュ充電SVOOC Super Flash充電40W、Vivo VOOC 22.5Wに対応
USB-A 2:5V / 4.5A、9V / 2A、12V / 1.5A
QualComm Quick Charge 3.0に対応
合計出力が200Wを超えるモバイルバッテリーというのも珍しいですが、個人的に惹かれたのが、内蔵バッテリーです。
一般的なモバイルバッテリーではリチウムイオン電池が使われていますが、「Flash 2.0」はTESLA製(正確には協業先のパナソニックが生産)のグラフェン配合複合電池を採用しています。
発見者のアンドレ・ガイム博士、コンスタンチン・ノボセロフ博士は2010年にグラフェンの発見でノーベル物理学賞を受賞しています。
なお、アンドレ・ガイム博士は2000年にイグ・ノーベル賞も受賞しており(テーマは「生きたカエルの磁気浮上」)、現在に至るまで唯一の両受賞者でもあります。
グラフェンは次世代バッテリーのひとつとして注目されており、様々な利用法が考えられています。
二次電池(充電可能な電池)として使う場合、リチウムイオンバッテリーに対して以下の点で優位性を持っています。
・高速な充電が可能
・長寿命
・低温
「Flash 2.0」の場合、100Wの入力で充電し、20,000mAhの容量に対して35分で80%、つまり16,000mAh分の充電が可能です。
80%を超えると緩やかになり、70分で満充電となります。
かつてBuffaloから8000mAhを94分で満充電にする「Voltissimo」シリーズが発売され、すげーと言いながら買った覚えがありますが(当時は普通の8000mAhクラスのモバイルバッテリーの充電は10時間くらいかかっていた)、その比じゃないですね。
「Voltissimo」シリーズは終売しており、現在発売されているもので見ると、本体の急速充電を謳うものでも3~4時間くらいです。
これを鑑みると、「Flash 2.0」の本体への充電能力は破格なことが良く分かりますね。
また、「Flash 2.0」はパススルー充電に対応しているので、「Flash 2.0」をコンセントにつないだ状態でスマホの充電も行うことができます(その分「Flash 2.0」の充電時間は伸びます)。
もう一つの長所が長寿命です。
リチウムイオンバッテリーの寿命(容量が80%を切るタイミング)は500サイクルと言われています。
それに対し、「Flash 2.0」は2,000サイクルとなっています。
この2,000サイクルも実は控えめな数字で、開発元での検証は1,836サイクルで87%だったとのこと。
直線的に容量が減るのであれば、実際は3,000サイクルくらいになりそうです。
…1日1回充放電しても8年持つってとんでもないというか、先に製品としての寿命がきそうです…
グラフェンバッテリーは内部抵抗が少ない(=発熱が少ない)ため、ヒートシンクなどの冷却メカニズムもいらず、充電中も低温に保たれるという特性があります。
そのため、従来のリチウムイオンバッテリーのように発熱・膨張するリスクが低くなっています。
▲インターフェースはこんな感じ(右の2.0の方)です。
「Flash 1.0」からはサイズそのままでポートが一つ増え、スイッチは側面に移動しています。
また、LEDで残量表示されるので、充電時期が分かりやすくなっています。
▲内部構造はそれほど複雑ではありません。
21700サイズの円筒バッテリーが4本入っていることが分かります。
▲外装は航空機グレードの陽極酸化アルミニウム(アルマイト)が使用されています。
とはいえ詳細は書かれていないため、使われている合金の種類も、表面被膜の処理のタイプも不明です。
まとめ
「Flash 2.0」の価格は18,700円です。
USB充電器はオプションで、100W(1ポート)が4,400円、120W(5ポート)が7,300円です。
モバイルバッテリーとしてはかなり高額ですが、本体が短時間で充電できるという特徴は、長期間の旅行や災害の現場などで力を発揮するでしょう。
ちなみにがじぇっとりっぷは車中泊旅の途中で「Voltissimo」を購入しました。
車中泊だと宿伯と違って充電できる機会と時間が短いんですよね…
他にも災害の避難所などではコンセントの取り合いが発生し、なかなか使えないという事態も起こります。そういう時にもコンセントを使う時間が短くて済む「Flash 2.0」は役に立つでしょう。
(おまけ)ファンディングまでの経緯
「Flash」は、最初は2020年1月にINDIEGOGOでファンディングが行われました。
この時は「Flash 1.0」で充電は3ポート+Qi、合計出力は150Wというものでした。
2020年2月末に4ポート+Qi、合計出力が210Wの「Flash 2.0」が追加されたのですが、あとから追加料金を払ってアップグレードする必要があるという、ちょっと手順的に面倒なものだったので、紹介は見送っていました。
その後2020年4月に「Flash 1.0」と「Flash 2.0」の混合で、CAMPFIREにてファンディングが行われていたのですが、恥ずかしながらチェックしていませんでした。
そして2020年6月、「Flash 2.0」のみとなって再ファンディングが行われ、それを紹介するのがこの記事です。
なお、価格は2020年6月時と変わっていません。
こうした経緯から使用画像が更新されず、「Flash 2.0」のファンディングなのに、ファンディングページでは「Flash 1.0」の画像や説明が入り混じっています。
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