2020年7月15日、SBCメーカーのHardkernel(本社:韓国)は、Amlogic S922Xを搭載した「ODROID-N2」のリビジョンアップ版である「ODROID-N2+」を発売しました。
スペック
比較のために、「ODROID-N2」のスペックを併記します。
モデル名 | Odroid-N2+ | Odroid-N2 |
---|---|---|
メーカー | Hardkernel | |
発売日 | 2020/07 | 2019/02 |
価格 | 63ドル(2GB) 79ドル(4GB) | |
価格(日本円) | ||
CPU | Amlogic S922X (2.4GHz A73 x 4 + 2.0GHz A53 x 2) | Amlogic S922X (1.8GHz A73 x 4 + 1.9GHz A53 x 2) |
GPU | Mali-G52 | |
NPU | ||
メモリー | 4GB DDR4-2666 | |
サポートOS | Ubuntu 20.04 Android 9 | Ubuntu 18.04 Android 9 |
有線LAN | 1GbE x 1 | |
Wi-fi | × | |
Bluetooth | × | |
チップ | NXP PCF8563 GL3523 RTL8211F | |
ストレージ | 8MB SPI Flash eMMCソケット microSD | |
USB | 3.0 x 4 2.0 x 1(micro) | |
GPIO | 40pin x 1 | |
映像 | HDMI(2.0a 4K/75Hz) | |
カメラ | × | |
オーディオジャック | ○(AV out) | |
その他インターフェース | IR Receiver UART RTC(CR2032) | IR Receiver UART RTC(2pin) |
消費電力 | 6.2W | 5.3W |
電源 | DC 7.5~18V | |
幅 | 90mm | |
奥行き | 90mm | |
高さ | 17mm | |
その他 | ヒートシンク込みで高さ29mm | ヒートシンク込みで高さ34mm |
特徴
冒頭にも書いたように、「ODROID-N2+」は「ODROID-N2」のリビジョンアップ版です。

「ODROID-N2+」は「ODROID-N2」と同様にAmlogic社のS922XをCPU(SoC)に採用していますが、S922XがRev.AからCPUコアの電力周りの改善と、動作クロックの向上を果たしたRev.Cに変更されたタイミングで、ボード自体にも手直しを加えたものになります。
Rev.A: 1.8GHz A73 x 4 + 1.9GHz A53 x 2
Rev.C: 2.2GHz A73 x 4 + 2.0GHz A53 x 2
▲動作クロック変化だけなので、ブロックダイアグラム図に変化はありません。
さらにHardkernel社においてサンプルの300台で検証したところ、Cortex-A73コアは2.4GHzにオーバークロックできることが判明し、「ODROID-N2+」で使用するCPU(SoC)のスペックは以下のようになりました。
Rev.C+: 2.4GHz A73 x 4 + 2.0GHz A53 x 2
1.8GHzから2.4GHzになったので、仕様上の性能は4/3倍、つまり33%アップです。
▲実際にベンチマークでもスコア上昇が確認できます。
真ん中の黄色が「ODROID-N2」、右端のオレンジが「ODROID-N2+」です。
間の緑はRev.C定格(2.2GHz)の場合となっています。
全部が全部というわけではなさそうですが、おおむね仕様通りの30%程度の向上となっています。
なお、かわりに消費電力は微増し、5.3Wから6.2W(2.2GHz時は5.9W)に増えています。
ワットパフォーマンスでいえば向上はしているんですけどね。
▲ファンレスだと常時2.4GHz駆動は厳しいようです。
それでも2.0GHz以上はキープしているので、性能向上は間違いありません。
▲定格の2.2GHz駆動だと、ファンレスでもビシッと定格駆動し続けます。
▲ファン付きであればオーバークロックしていても2.4GHzで駆動し続けることができます。
B DDR4 メモリ
C 1GbE
D HDMI 2.0
E USB 3.0 x 4
F システムLED x 2
H AV Out
I microUSB2.0 OTG
J SPI Flash 8MiB
K SPI Boot Select Switch
L eMMCソケット
N IR Receiver
O ボタン電池ホルダー
P ファンコネクタ (2pin)
Q GPIO (40pin)
R UART
インターフェースには1か所変更が加えられており、RTC(RealTime Clock)バッテリーが2ピンコネクタからボタン電池ホルダーに変更されました。
対応するボタン電池はCR2032です。国内でも普通に売られているので、入手性が向上しました。
RTCは内蔵する時計を動かすためのもので、これがないと再起動するたびに時刻が1970年1月1日に巻き戻ったりします。
どういうときに使うかというと、スタンドアロンで間欠動作(一定時間ごとに起動・処理・停止を繰り返すとか)させるとかですね。
サーバーのような常時起動用途ではあまり出番はありません。
そのほか、eMMCはスロットのみで、128GBまでの対応となっています。
Wi-fiは搭載せず、USBアダプタでの対応となります(と公式にも書かれています)。
DCジャックは内径2.1/外径5.5mmで7.5V〜20Vまで対応、推奨は12V/2Aとなっています。
▲「ODROID-N2+」はヒートシンクが薄型になり、全体の高さが34mmから29mmになりました。
ただこれだとスタック(積み重ね)できないような…?
▲ファンが付くとこうなります。
ファンもかなりの薄型ですね。
▲真下から見るとこう。
ファンは80mmサイズとなっています。
まとめ
「ODROID-N2+」は「ODROID-N2」と全く同じ価格で、2GBモデルが63ドル(約6,750円)、4GBモデルが79ドル(約8,460円)です。
冷却ファンは別売りで4ドルです。
2GBメモリモデルは少し遅れて2020年7月21日発売となります。
90mm角とやや大柄ですが、性能自体はSBCの中でもかなり高い部類ですし、それでいて消費電力は最大6.2Wとかなり低く抑えられています。
スタッキング(積み重ね)してクラスター化して使うのが主な用途とは思われますが、単体でも優秀なので、使い道は多いと思います。
関連リンク
ODROID-N2+ with 4GByte RAM:Hardkernel
ニュースリリース:Hardkernel
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