2021年10月15日、オープンソースコミュニティのPINE64は月例報告の中でRockchip RK3399Sを搭載した6インチスマホ「PinePhone Pro」を開発者向けバージョンの予約を開始したと発表しました。
October Update: Introducing the PinePhone Pro:PINE64 blog
スペック
■PinePhone Pro | |
CPU | Rockchip RK3399S |
---|---|
メモリ | 4GB LPDDR4-1600 |
ストレージ | 128GB eMMC |
画面 | 6.0インチ IPS HD(1440×720) |
インターフェース | USB Type-C(3.0)×1 microSDXC オーディオジャック |
カメラ | 前面:5MP 背面:13MP |
バッテリー | 3000mAh |
wi-fi | 802.11ac+BT4.1 |
サイズ | 160.8×76.6×11.1mm |
重さ | 215g |
特徴
「PinePhone Pro」は2019年9月に開発者エディションが発売された「PinePhone」に次ぐ、2機種目のスマホです。
PINE64では「PinePhone Pro」を「PinePhone」のハイエンド版であり、第2世代ではないと明言しており、「PinePhone」はモバイルLinuxを実現するためのもの、「PinePhone Pro」はソフトウェアが成熟してきたモバイルLinuxを実用するためのものという位置づけのようです。
違いを表にすると、ざっと下のようになります。
PinePhone Pro | PinePhone | |
---|---|---|
SoC | RK3399S | Allwinner A64 |
GPU | Mali-T860 MP4 | Mali-400 MP2 |
メモリ | 4GB LPDDR4 | 2/3GB LPDDR3 |
ストレージ | 128GB | 16/32GB |
画面 | 6インチ 1440×720 | 5.95インチ 1440×720 |
カメラ | 前面:5MP(OV5640) 背面:13MP(IMX258) | 前面:2MP(OV5640) 1/4″ 背面:5MP(GC2035) f/2.8 1/5″ |
スピーカー | モノラル? | モノラル |
インターフェース | Type-C(3.0) DP出力対応 | Type-C DP出力対応 |
Wi-fi | 802.11ac、BT4.2 | 802.11b/g/n、BT4.0 |
LTEモデム | Quectel EG25-G | |
バッテリー | 3000mAh | |
充電 | 15W(5V/3A) | |
サイズ | 160.8×76.6×11.1mm | 160.5×76.6×9.2mm |
重量 | 215g | 200g |
価格 | 399ドル | 149.99/199.99ドル |
スマホですが、オープンソースコミュニティの製品らしく、使用パーツも内部設計も公開されているので、ソフトウェアを自分で好きにいじれます。
SoC(CPU)
SoC(System on Chip)には低電力版RK3399ことRK3399Sが使われています。このRK3399SはRockchip社に働きかけて製造された、「PinePhone Pro」専用モデルだそう。
A72コアは1.8GHzから1.5GHzにクロックダウンされ、全体でも2割ほど性能が落ちるとのこと。
元のRK3399がAntutu(v8)で10万点弱くらいなので、2割減で8万点程度でしょうか。エントリークラスの上位寄りと言ったところになりそうです。
まぁ、ゲームをしないのであればこれでも十分と言えます。
PINE64では「RockPro 64」から始まるRK3399に対する経験が蓄積されており、開発をスムーズに進めるためにはRK3399ベースというのは最適な選択と言えます。
メモリとストレージ
「PinePhone Pro」のメモリは4GB LPDDR4。
SBCとしてみた場合はちょうどいいくらいです。最近のスマホからするとミドルクラス程度ですね。
ストレージは128GB eMMC。こちらはSBCとしては多めですが、最近のスマホとしてみれば標準的です。
PINE64の目論見通り、普段使いのLinuxスマホとして写真を撮ったりしていくのであれば、必要な容量でしょう。
通信について
「PinePhone Pro」はスマホなので、当然4G/LTEにも対応しています。対応バンドは以下です。
LTE-FDD: B1, B2, B3, B4, B5, B7, B8, B12, B13, B18, B19, B20, B25, B26, B28
LTE-TDD: B38, B39, B40, B41
WCDMA: B1, B2, B4, B5, B6, B8, B19
GSM: B2, B3, B5, B8 (850, 900, 1800, 1900 MHz)
通信キャリアの対応は以下のようになります。
DoCoMo | B1,B3,B19 |
---|---|
au | B1,B3,B18/26 |
Softbank | B1,B3,B8 |
楽天 | B3,(B18/26) |
※楽天のB18/26はauローミング。記事執筆現在は一部地域のみ
画像
本体イメージです。
上下ベゼルは太く、見た目は一昔前のスマホって感じです。
ディスプレイは6インチで、解像度は「PinePhone」と同じ1440×720です。
解像度を高くすると消費電力が増えることから、これは早い段階から決まっていたとのこと。
背面のふたは簡単に外せ、デバイス(カメラやWi-fiなど)のオンオフができるスイッチおよび6ピンのポゴピンにアクセスできます。
この辺りは「PinePhone」と同じ仕様です。
ちなみにヘッドホン端子はUARTとして使えるそう。
内部はこんな感じ。
バッテリーが外せてmicroSDスロットがバッテリー脇にある時代のスマホです。
左下の画像(4Gモデム)には技適マークあり。日本でも安心して使えます。
元がLinuxスマホだけに、OSが好きに入れ替えられるのも特徴です。
「PinePhone」の対応OSは下記リンクにまとめられており、「PinePhone Pro」もこれに準じる形になると思われます。
参考 PinePhone Software Releases
試作機の動作の様子。
中身はLinuxなので普通にターミナルが動いています。
左右の基板は左が「PinePhone Pro」、右が「PinePhone」のメインボードです。
ボードの形が同じですが、換装は多分できない(Probably not)ようです。
ちなみに本体は放熱機構とディスプレイを変更した分、「PinePhone Pro」の方が2mm厚くなっています。
USBはUSB 3.0でDisplayPort出力に対応。最大解像度は不明です。
パッケージに入っていると普通のスマホですね。
まとめ
「PinePhone Pro」は開発者向けバージョンが予約受付中で、価格は399ドルです。
RK3399ボードにディスプレイやらバッテリー、LTEモデム、センサー類の詰め合わせと考えたら、こんなものかなぁと。
また「PinePhone Pro」でも使える、「PinePhone」をPDAにする専用キーボードが2021年10月末に登場予定です。
このキーボードは「PinePhone」の背面のふたを外し、ポゴピンで接続するものです。
こういうギミックがあると俄然気になってくるわけですが、一般ユーザーが手に入れることができるようになるのは少なくとも来年になるでしょう。
関連リンク
PinePhone Pro:PINE64
PinePhone Pro:PINE64 wiki
October Update: Introducing the PinePhone Pro:PINE64 blog
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