2021年9月6日、イヤホンメーカーのCOUMIは、定価が3,000円台ながら大口径12.5mmドライバを搭載する完全ワイヤレスイヤホン「Freedom Dots (型番:ANC-861)」を発売しました。
COUMI製品についてはがじぇっとりっぷでもたびたびレビューしており、今回もメーカーよりサンプル機をご提供いただいてのレビューとなります。
ご提供いただいたCOUMI様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
COUMI Freedom Dots ANC-861
GoodPoint
✔ 誤反応の少ない感圧操作
✔ 曲によってはハイレベルな音
✔ 外音取り込み機能付きANC
✔ IPX7防水
BadPoint
✖ 本体に音量操作がない
✖ 再生時間がやや短い
✖ ペアリング切り替えが面倒
スペック
モデル | Freedom dots (ANC-861) |
---|---|
Bluetoothバージョン | v5.2 |
対応プロファイル | A2DP, AVRCP, HSP, HFP, SPP |
対応コーデック | SBC, AAC |
ワイヤレス範囲 | 10m |
ドライバー径 | 12.5mm |
感度 | 103 ± 3dB |
再生周波数帯域 | 20Hz~20KHz |
ANC機能 | -35dB |
バッテリー駆動時間 | ANC ON:4時間 ANC OFF:6時間 |
バッテリー駆動時間 (ケース込) | ANC ON:16時間 ANC OFF:24時間 |
充電時間 | 2時間 |
バッテリー容量 | 本体:35 mAh ケース:500 mAh |
充電端子 | USB Type-C |
防水&防塵規格 | IPX7 |
重量 | 本体:10g(片方5g) ケース込:60g |
パッケージ
・充電ケース
・USBケーブル
・イヤーパッド(3種6セット)
・取扱説明書(ユーザーガイド)
・クイックガイド
・ユーザー登録案内
・アプリの案内
インターフェース
「Freedom Dots」のインターフェースはシンプルに左右の感圧ボタン(“うどん”部分のへこんだところ)のみとなっています。
タッチボタンと違ってしっかり押し込む必要がある(カチッと音がする)ので、よほどのことがない限り誤操作はないでしょう。
また、ボタンがこの位置なので誤タッチを気にせずイヤホンの位置直しができ、落としにくい要因の一つとなっています。
操作について
左側 | 右側 | |
---|---|---|
電源オン | 充電ケースを開ける | |
電源オフ | 充電ケースを閉じる | |
音楽 | ||
再生・一次停止 | 1回押す | 1回押す |
曲戻し | 2回押す | – |
曲送り | – | 2回押す |
通話 | ||
電話に出る | 1回押す | 1回押す |
電話を切る | 1回押す | 1回押す |
着信拒否 | 1秒長押し | 1秒長押し |
その他 | ||
ANC切り替え | 1秒長押し | 1秒長押し |
音声アシスタント | 3回押す | 3回押す |
リセット | 充電ケースに入れた状態で 充電ケースのボタンを10秒長押し |
「Freedom Dots」の操作はかなりシンプルです。シンプル過ぎて音量操作もありません。
リセットは10秒長押しですがこれが結構長いです。
おそらくですが、3秒長押しでペアリングモードがあったけれど削除された名残か、操作体系を揃えるためかなぁと。
使ってみた感想
接続について
接続そのものは他のBluetooth機器と変わりません。
ただし、TWS(True Wireless Stereo、完全ワイヤレスイヤホン)の宿命というか、片方ずつの独立接続に対応している弊害で、時々片方しか接続されていない、ということが起こります。
こうなるとちょっと面倒で、電源オフ/オンしてもやっぱり片方だけ…となりがちで、ペアリングモードへの切り替えがないので結局リセット操作をして再接続することが数回ありました。
この時のリセットが長いんですよね…
かけ心地について
「Freedom Dots」のスピーカーホールは一般的な円形ではなく、楕円形をしています。
これのおかげなのか、装着感がいいというか耳への負担が少なく、長時間かけていても他のインナーイヤー型イヤホンに比べて耳が痛くなりにくいです。
がじぇっとりっぷはインナーイヤー型は耳が痛くなりやすいタイプですが、「Freedom Dots」は満充電から充電が切れるまでの4時間程度つけっぱなしにしていても平気でした。
固定感は他のTWSと同じ程度のレベルで、歩き回ったり軽いジョギング程度の動きなら平気で、頭を大きく動かす動きを続けるとすっぽ抜けるといった程度です。日常生活の範囲であれば、だいたいのシーンで問題ありません。
音質について
エッジのある音というか、ギターや小太鼓のような角が立っている音は、やたらと解像度が高いです。
ただし、そういった音は音に柔らかさがなくて耳に刺さるので、耳に対する優しさはあまりありません。
一方で木管楽器などの丸い音やシンバルのように余韻の長い音は無理に解像度を上げようとして逆にぼやけた印象を受けます。得意不得意が割とはっきりしていますね。
全体としては、低音強めで高音弱めという、COUMIらしいバランスとなっています。
「Freedom dots」は12.5mm径という大型のドライバを搭載しており、低音は結構出ています。
音を軽くしてでも無理に出すのではなく、出せる範囲で低音のままに出力するので、重低音は多少削られた感じはしますが割と引き締まった音になります。
低音から中音にかけてはやや強調され、ベースの音が強く出ます。
一方で中音から高音にかけてはやや控えめ。
高音も弱めですがそこそこに広がりがあるというか、あまり圧迫感がありません。
抜けるような、とまでは言えませんが、狭い室内から屋外に出たときのような解放感があります。
このような感じなので女性ボーカルはやや埋もれがちになり、逆に男性ボーカル、特に音域が低めの声はすごくバランスがいいです。
福山雅治とかめちゃくちゃかっこよく艶っぽく聞こえます。
意外なところではヒーリング系。
ゆったりした音がさらにぼんやりする、うまく言えばヴェールに包まれたようになるので効果的でした。
トータルとしては価格なりの4,000円前後くらいの音と言えますが、ばっちり当てはまる曲だと2段階くらい上になる、というのが総評です。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。
ノイズキャンセリング
「Freedom dots」のノイズキャンセリング機能は-35dBと、最高レベルではないけれど高性能な部類に入ります。
型番的に前世代となる「ANC-860」は最大-28dBだったので、結構強化されています。
機能をオンにすると、横で回っている扇風機の音が1/10くらいにまで減少します。が、無音レベルまではいきません。
オーバーイヤーヘッドホンと違ってデバイス自体で遮音できるわけではないので、インナーイヤー型としてはこの辺りが限度なのかも。
外音取り込み機能
ANC機能とセットになっていることが多いのが、外音(環境音)取り込み機能。
以前は高価格帯製品の付加価値的に追加される機能でしたが、最近ではANCモデルには標準搭載されるくらいのイメージです。
いままでがじぇっとりっぷがレビューしてきた外音取り込み機能付きイヤホンはどれもサーッというホワイトノイズが入っていましたが、「Freedom dots」はそのホワイトノイズがかなり少ないです。
音域について
音域テストには「WaveGene」というアプリを使用しています。
低音はがっつり20Hzから出ています。
100~300Hz付近(ピアノでいうところのD4、レの音くらい)は力強く、5000~8000Hz付近はややノイジー、がじぇっとりっぷの耳で音としてしっかりとらえられるのは13000Hzを超えたくらいまででした。
それより上も20kHzを超えたくらいまで音が出ている感はありますが、ノイズの方が強く、ほぼ打ち消されています。
動作時間について
動作時間については音量100・ANC ONで調査しました。
音量100はキーボードの左右に置いて、簡易スピーカーとして使えるかなってくらいの音量です。耳に装着するのであれば音量50~70程度で十分です。
残量 | 時間 |
---|---|
90% | 20分 |
80% | 30分 |
70% | 40分 |
60% | 50分 |
50% | 1時間10分 |
40% | 1時間30分 |
30% | 2時間 |
20% | 2時間30分 |
10% | 3時間 |
電源OFF | 3時間17分 |
仕様だと4時間となっていますが、実測では3.3時間となりました。
ただこれは上でも書いたように、最大音量なので、実際の使用(音量50~70程度)では4時間オーバーとなるでしょう。
外観
COUMI製品の箱は一貫して縦長タイプです。
サイズは過去の製品と全く同じ。
これもコストカットの工夫の一つですね。
箱を開けた状態も過去の製品と同様。
ケースはややクリーム色がかっていて、ロゴ色の淡さも相まって純白よりも優しい、ふんわりした雰囲気をまとっています。
充電端子はケース背面についています。
充電端子位置も試行錯誤が繰り返されましたが、結局このスタイルが一番問題が少ないのでしょう。
歴代ケースと比較。全部形が違います。
「TWS-834A」や「ANC-860」は高級感の方向でしたが、「Freedom dots」のケースはカジュアルなアクセサリーケースっぽい雰囲気で、女性の化粧ポーチに入っていそうです。
見づらいですが、底面には認証情報。技適番号は「210-154718」です。
いつものごとく相互承認(MRA)による認証なのですが、この手の技適はまとめて取得することが多いのに、今回は「Freedom dots(ANC-861)」単独で取得しています。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(210-154718)
ケースを開けたところ。
真ん中下方にリセットボタンが付いています。
イヤホンの形状は「AirPods」風。
穴の多さの割に防水性能はIPX7を誇り、水没させても動きます。が、利用する時はよく拭き、濡れた状態での充電はやめましょう。
この形状も創意工夫の結果です。
マイクは片方に3つずつ。
赤枠の2つがノイズキャンセリング用(FeedForward用とFeedBack用)、青枠が通話用です。
まとめ
「Freedom dots」の価格は3,680円。記事執筆時点では20%オフクーポン(コード:JNADZ84X)が発行されていて、適用すると2,944円と3,000円以下になります。
上でも書いたように、「Freedom dots」の音は体感的に4,000円前後の製品並み。
…と思っているのですが、昨今の音質向上を考えると、最新のデバイスだと3,000円でこの音質が標準と認識を改めるべきなのかもしれません。
「Freedom dots」の場合、ここに追加でそこそこ強力なノイズキャンセリング、ホワイトノイズの少ない外音取り込み機能が付いているので、やっぱりこれで3,000円以下は安いと思います。
バッテリーの持ちの短さは気になる点ですが、感圧ボタンは個人的に気に入ったポイントで、タッチ反応の誤操作に悩まされたことのある方は試す価値ありです。
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