がじぇっとりっぷでは低価格帯のワイヤレスイヤホンを中心に、あれこれレビューしています。
今回レビューするのはがじぇっとりっぷでは初となるブランド、ACEFASTです。
メーカーはShenZhen Houshuxia Technology Co., Ltdという2020年設立の新しい企業。ACEFASTはプライベートブランドという位置づけとなります。
オーディオ専業というわけではなくUSB充電器やUSBケーブル、ワイヤレス充電器なども手がけている企業ですが、その実力は果たして…?
レビューにあたり、サンプル機をご提供いただいたACEFAST様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
ACEFAST T2
GoodPoint
✔ 低音がしっかり出ている
✔ 曲によっては高音質
✔ 実用に耐えうるANC
BadPoint
✖ aptX非対応
✖ 割と誤タッチする
✖ 音量操作不可
✖ 防水がIPX4まで
スペック
モデル | ACEFAST T2 |
---|---|
Bluetoothバージョン | v5.2 |
対応プロファイル | A2DP, AVRCP, HSP, HFP |
対応コーデック | SBC, AAC |
ワイヤレス範囲 | 10m |
ドライバー径 | 12mm |
感度 | 114 ± 1.5dB |
インピーダンス | 32Ω ± 15% |
再生周波数帯域 | 20Hz~20KHz |
マイク感度 | -42±3dB |
ANC機能 | -35dB |
ANC効果周波数 | 80~1.5kHz |
バッテリー駆動時間 | 7時間(音量50%) 35時間 (ケース込) |
バッテリー駆動時間 (ANCモード) | 4時間(音量50%) 20時間 (ケース込) |
通話時間 | 4時間 (音量50%) |
スタンバイ | 80時間 |
充電時間 | 本体:1.5時間 ケース:2時間 |
バッテリー容量 | 本体:45mAh ケース:380mAh |
充電端子 | Type-C |
防水&防塵規格 | IPX4 |
重量 | 本体:10g ケース:45g |
技適も取得していて、技適番号は210-160775です。
国内で検査したわけではなく、海外での認証をもとに認証する、相互認証での登録です。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索 (210-160775):総務省
登録内容的に今後「T15」まで出るんですかね…?
パッケージ
・充電ケース
・USBケーブル
・イヤーパッド(3種3セット)
・クイックスタートガイド
よくある「ユーザー登録案内」は入っていません。
ついでに保証書もなく、クイックスタートガイドの裏面に案内が記載されています。
問題があった場合は記載のメールアドレスにオーダー番号と型番を記入してメールしろとのことでした。
簡潔ですが登録などで時間を取られないのはユーザー側としては楽ですね。
操作について
左側 | 右側 | |
---|---|---|
電源オン | 充電ケースを開ける | |
電源オフ | 充電ケースを閉じる 非接続状態で5分経過 | |
音楽 | ||
再生・一次停止 | 1回押す | 1回押す |
曲戻し | 2回押す | – |
曲送り | – | 2回押す |
通話 | ||
電話に出る | 2回押す | 2回押す |
電話を切る | 2回押す | 2回押す |
着信拒否 | 2秒長押し | 2秒長押し |
その他 | ||
ANC切り替え | 2秒長押し | 2秒長押し |
音声アシスタント | 3回押す | – |
リセット | 充電ケースに入れた状態で 充電ケースのボタンを10秒長押し |
使ってみた感想
接続について
接続は特に戸惑うこともありません。
誤って片方だけ接続された場合は、再接続でも片方になることが多かったので一度リセットする方が早いです。
かけ心地について
かけ心地は軽く、12mm径という大型のドライバを内蔵している割にフィット感というか密着感は薄めです。
その代わり耳への負担も少なく、長時間装着していても割と楽でした。
ただ本体の丸い部分に引っ掛かりがなく、位置を調整するときは”うどん”の根本付近を持つのですが、しばしば誤タッチで再生が止まります。
音質について
ドライバの径が大きいだけあって、低音に結構強いです。ドンシャリというには高音が弱いので、低音番長ですね。
というか、音域ごとや曲によってがらりと印象が変わるのですごく評価が難しいです。
低音はイヤホンとは思えないくらいにずっしり響きます。
限定的ながら重低音も再現できています。その代わり解像度は低めです。
中音はややこもった感じで、音も弱め。ピアノの音などは角がありません。
だみ声やざらついた声はその部分が強調されてやや聞き苦しい感じになります。
その代わりささやくような歌声はクリアですね。
中高音はクリアでのびやか。たぶん全体の中でこの部分が一番きれいですね。
高音は中音よりは強いものの明瞭感が薄く、そのわりにキンキンと耳に刺さります。
逆に言えばギターや金属楽器のような意図されたキンキン音とは相性がいいです。
低音がしっかり支えるので全体のバランスとしては悪くないものの音のコントラストが低く、それが落ち着いた雰囲気につながっているという印象でした。
人によってはのっぺりした音とかメリハリに欠けるとか、そういう評価になるかもしれません。
得意なのは低音の強いロックなど。まぁこれは妥当なところです。
あとはオンラインゲーム(MMORPG)向きですね、BGMは低音系が多いですし、高音も剣を振る音とか効果音とか、もともと耳に刺さる類の音が中心なので気にならないです。
音源の方向性や遅延が微妙なので、FPSはあまり向かないです。
意外なはまり曲が「Let IT GO」日本語バージョン。
高音のキラキラした音、松たか子さんのささやくような出だしから張りのあるアルトまでばっちり、びっくりするくらいにいい音で聞けました。
同じくらいの音域の森山直太朗「さくら」も良かったので、hiD(高いレの音)くらいまでが得意音域っぽい…?
全体の評価としてはすごく曲を選ぶイヤホンだなぁと。音としても未完成感があるので、発展途上と判断すべきでしょう。
なので金額に見合っているかどうかというのはちょっと判断しづらいです。はまれば5,000円クラスの音なんですけどね。
ノイズキャンセリング
ノイズキャンセリングは低音に効果があります。仕様表では80~1500Hzとされています。
扇風機で試したところ、イヤホンをはめるだけで2/3に、ANCオンでさらに1/3くらいになりましたが、さすがに無音レベルとまではいきません。
とはいえ、静かな部屋でも気にならないレベルまで下がるので、効果としては十分ですね。
音質の低下については気にならない程度でした。
ゲーミングノートの爆音ファンが気にならなくなるのはすごくいいです。
上でも書いたようにゲームBGM・効果音とは相性がいいので、ゲーム専用にしてもいいんじゃないかと思うくらいでした。
外音取り込み機能
外音取り込み機能は、無音状態で使うと結構ノイズが入ります。
なんかこう、幹線道路から2本くらい裏に入ったくらいの喧騒感です。
極低音域や高音域は再現が甘いですが、会話をするとか後ろからくる自転車のベルを聞くとか、その程度であれば十分ですね。
音域について
音域テストには「WaveGene」というアプリを使用しています。
仕様では20-20kHzですが、低音はがっつり20Hzから出ています。それどころか16Hzでも振動しているのがわかります。
80Hzから600Hzくらいまで妙なハウリングが発生していて、ほわほわ音が入ります。200~300Hz付近がピークで、500Hz以上は本来の音にかき消されます。
このあたりが、中音が弱い理由かなと。
2000~4000Hz付近が強くて、こちらはキンキン音がきつい原因ですね。
高音は13,000Hzくらいが限界な感じでした。
動作時間について
ANCオフ、音量を75%程度にして(100%はうるさかった)、大体15分ごとに計測したのが以下。
残量 | 経過時間 |
---|---|
80% | 1時間 |
70% | 1時間45分 |
60% | 2時間45分 |
50% | 3時間15分 |
40% | 4時間30分 |
30% | 5時間30分 |
20% | 6時間30分 |
OFF | 7時間34分 |
10%はなく、20%からいきなりオフになりました。
仕様では音量50%で7時間でしたが、それよりちょっと長く持ちましたね。
外観
箱は正方形。
この箱、やたらと精度が高くぴったりしすぎてなかなか開かなかったので、外箱の側面に指をかけるスペースを作るとか、もう一工夫が欲しいところ。
上でも掲載したパッケージ全体です。
USBケーブルはType-A to Type-Cで、他メーカーと同程度の作りです。
ケースの天面には光の加減でロゴが浮かびます。
ケース自体はマット処理がされていて指紋も目立たず、素手でよく触るものであるということが意識されていますね。
底面には充電・バッテリーの仕様と認証情報
充電端子は背面です。
そして充電LEDは正面真ん中
ケースを開けたところ。
充電端子の部分には絶縁シートが挟み込まれています。
イヤホンを取り出すとこんな感じです。
イヤホン本体はいわゆる”うどん”タイプ。”うどん”の先端にはタッチセンサーを示すマークがついています。
丸みを帯びたハウジング部はとっかかりが全くなくて、つるつるとしているので絶妙に持ちづらく、つい”うどん”部分を持ってしまいます。そしてタッチセンサーが反応するという…
フィット感は軽いながらもしっかり固定されるので、かなり強めに頭を振っても抜け落ちたりはしませんでした。
マイクは片方3か所の系6個。
“うどん”の先端に通話用、本体のてっぺんにANCフィードフォワード用、マイク内部にANCフィードバック(耳の内側の音を拾う)となっています。
他の穴は通気口となっています。これがないと耳の中の圧の変化でキーンとなっちゃうんですよね。
メッシュは円形。
イヤーピースはS・M・Lが一組ずつ付属します。
まとめ
「ACEFAST T2」は万能ではないけれどはまるジャンルや曲なら結構いけるイヤホンでした。
ノイズキャンセリングも実用レベルで、レビュー後半はだいたいANCオンにして使っていたくらいです。
とはいえ定価の5,980円に期待するほどの音とは言えません。
特にここ数年は低価格製品の高音質化・高機能化が激しく、ANC機能だって当たり前のように搭載されるようになりつつあるので、この辺もなかなか差別化の要因とはならないんですよね。
万人にはお勧めしづらいですが、セール時の4千円台半ばであればゲーマー向けならありかなぁと。
設立したばかりの企業の製品ですし、考えてみれば他のメーカーも最初はこのくらいだったわけで。今後に期待です。
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