2024年1月3日、SBCメーカーのRadxaは、Celeron J4125を搭載したSBC「X2L」を発売しました。
スペック
■ X2L | |
CPU | Celeron J4125 |
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メモリ | 2~8GB LPDDR4-2400 |
ストレージ | M.2 Key-M(2280) 32GB eMMC(オプション) |
インターフェース | USB Type-C(電源)×1 USB 3.0×2 USB 2.0×2 HDMI 1.4×2 1GbE 有線LAN オーディオジャック 40ピンGPIO |
wi-fi | M.2 Key-E |
サイズ | 155.6×80.6×10mm |
特徴
「X2L」はIntel系SBCという位置づけですが…Intel系CPUが入っちゃうと「それはもうミニPCボードでは?」って気がしなくもないです。
ミニPCじゃないポイントとして、周辺チップにRaspberry Pi系のRP2040があり、GPIOの制御に使われています。
CPU
「X2L」のCPUはCeleron J4125。
Celeron J4125のGeekBench 5スコアは1500台。
少し前のSBC主流であったRockchip RK3399が600台、最近の下位機に使われるRK3568が400前後、現状のSBCで最高となるRK3588でも2600程度(だいたいIntel N100と同程度のスコア)。
そう考えると、やや古い世代ではあるものの、Celeron J4125はSBC用途としてはまだまだ使えます。
参考 Celeron J4125スコア:GeekBench 5
メモリとストレージ
メモリは2GBから8GBのLPDDR4-2400。オンボードで換装・増設はできません。
ストレージは2280サイズのM.2 NVMe SSDと、オプションで32GB eMMC(メモリ8GBモデルのみ)。microSDスロットはありません。
とはいえ、消費電力に制限がない環境では速度と容量、入手の手軽さに優れるM.2 SSDをメインストレージにするのはありだと思います。
なお、接続はPCIe Gen2 x4接続で、最大2,000MB/s程度となります。
その他
無線LANは非内臓で、M.2 Key-Eスロットが用意されています。
無線LANはあくまでオプションと位置づけているっぽいですが、技適問題がある日本で使う上ではありがたい仕様です。
有線LANは1GbE。
電源はType-C入力で、最低18W。推奨24W(12V/2A)必要とのこと。
起動についてもオートパワーオン(電源接続で起動する、ラズパイスタイル)、Wake on LAN、RTCタイマーによる時間での自動起動などに対応。
OSは、Intel CPUなのでWindowsが動きます。
もちろん、DebianやUbuntuといったLinuxもサポートしています。
外観
インターフェースです。
IntelボードにRP2040が載っているという、ちょっと異様なスタイルです。
RP2040はGPIOの制御に使われていて、内部的にはUSB接続となるようです。
ドキュメントを見ても操作はUSB接続したRaspberry Pi Picoとほぼ同じなので、オンボードRaspberry Pi PicoなミニPCボードと考えれば良さそうです。
ボタン電池(CR1220)は入ってないので、自前で用意する必要があります。
端子が見やすい斜め方向。
サイズ感はほぼスマホです。
Radxaでは次世代のSBCフォームファクタ―を謳っています。
今のミニPCが大体110mm~120mm角程度なので、底面積的には大きな差はありません。
ミニPCでも長方形タイプがちらほらと出始めているので、今後の主流になるかはともかく、長方形型のフォームファクタに一定の需要があることは事実でしょう。
専用のファン付きヒートシンクも用意されています。
ボードに載せるとこんな感じに。
Radxaは最近、Palmshellというサブブランドを始めました。
Radxaブランドではオープンハードウェア、Palmshellではジャンル特化ハードウェアという風に住み分けるつもりのようですが、「X2L」にケースを付けた「SLiM X2L」がラインナップに入っています。
「SLiM X2L」はこんな感じ。
GPIOを引き出す隙間はないので、ほんとにただのCeleron搭載ミニPCになります。
ちなみにファンレスと見せかけてファン内蔵です。
BIOSアップデートやWindows向けドライバーはRadxa、Palmshellの両ブランドで用意されています。
GPIO周りのドライバはRadxa Docsにしかありません。
参考 Radxa X2L Support:Radxa Docs
参考 SLiM X2L Support:Palmshell wiki
まとめ
「X2L」の価格はallnet.chinaだとメモリ2GBで39ドル、4GBで52ドル、8GBで72ドル。8GB+32GB eMMCは82ドルです。ヒートシンクは9.9ドル。
もう一つの販売サイトであるAraceでは2GBが売り切れ、4GBが7,300円、8GBが10,200円、8GB+32GBが11,700円、ヒートシンクが900円(1,500円から40%オフ)。
Palmshellはまだ販売前っぽくて、ケースは売られていません。
しかし、旧世代CPUでストレージ別とはいえ、メモリ2GBで6,000円弱、メモリ8GBで1万円ちょいはさすがに安いですね。
しかも実質Raspberry Pi Pico付き。
フルに活用できそうな用途は限られていますが、ミニPCとして見てもそこそこ安く、さらにRP2040の開発・デバッグ用としては結構強力なので、刺さる人には刺さりそう。
関連リンク
Radxa X2L:Radxa
SLiM X2L:Palmshell
Radxa X2L Support:Radxa Docs
Radxa X2L 販売ページ:Allnet.china
Radxa X2L 販売ページ:Arace
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