【レビュー】 Blackview SHARK 8:安価だけどポイントを押さえた、2万円台の実用スマホ

レビュー

Blackview SHARK 8」は2023年11月11日にグローバルで発売されたスマートホンです。

Blackviewはタフネススマホや廉価スマートフォン、タブレットを多数リリースしているメーカーで、「SHARK 8」もHelio G99を搭載しながらAliExpressの公式ストアでは120ドルを切る価格(記事執筆時点ではセール中で、クーポン込み102.99ドル)で販売されています。

日本での発売にあたり、レビューする機会をいただけたので、いまどきの廉価スマホがどのくらいの実力を持っているのか見ていきたいと思います。

当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。
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Blackview SHARK 8

CPUHelio G99(MT6789)
メモリ8GB (+拡張8GB) LPDDR4X
ストレージ128GB UFS2.2
画面6.78インチ 2460×1080(120Hz)
インターフェースUSB Type-C×1
microSD
オーディオジャック
カメラ前:1300万画素
後:6400万画素+200万画素
wi-fi802.11ac+BT5.2
4G/5G4G対応
FDD:B1/3/7/8/19/20/28AB/40
バッテリー5,000mAh
33W急速充電
サイズ168.5×76.6×8.35mm
重さ198.3g

GoodPoint
安価ながら実用スペック
120Hzのなめらかディスプレイ
意外と低発熱
33W急速充電対応

BadPoint
WidevineがL3
スピーカーがモノラル
ジャイロ非搭載

パッケージ

箱はちょっとゲーミング感。

内容物
・本体
・電源アダプタ
・USB CtoCケーブル
・ユーザーマニュアル
・保護ケース
・ディスプレイ保護シート

技適はちゃんと技適番号付き。日本でも多数販売しているだけあって手抜かりがありません。

本体の表裏。
「SHARK 8」はムーンライトグレー、ギャラクシーブルー、スコーチングゴールドの3色で、これはスコーチングゴールドになります。

同梱物

マニュアルは日本語。
ちゃんと日本語フォントが使われているものの、日本語訳が惜しいのが残念なところ。

「SHARK 8」は33W急速充電対応なので、電源アダプタも33W出力対応。

もっとも、同梱されていたのは日本のAタイプではなく、220V圏に多いCタイプだったので、今回は使いません。
当たり前ですが、国内発売モデルではAタイプ(日本向けコンセント)が付属します。

インターフェース

インターフェースは一般的なスマホと差はなく、底部にType-C端子。
ちょっと残念なのがモノラルスピーカーなところ。

カメラは2段階に盛り上がっています。

サイドは左にSIMトレー、右に音量と電源。

カバー

「SHARK 8」は標準でカバーが付属します。

カメラ部分はレンズの盛り上がりよりわずかに高く、置いたときにレンズが机面などに触れないようになっています。
カメラ部がここまで大きくなると、机に置いても普通に安定しますね。

重量

重さは本体+miroSDで207.6g、カバー込みで228.7gでした。

パフォーマンス

「SHARK 8」のSoCはHelio G99。2022年5月に発表された、比較的新しいSoCです。
ARM Cortex-A76が2コア、Cortex-A55が6コアのbig.LITTLE構成で、GPUはMali-G57 MC2(2コア)。UNISOC T606/616はMali-G57 MC(1コア)なので、理屈の上では2倍近いグラフィック性能となります。

ベンチマークについては、拡張メモリをオフにして計測しています。

AnTuTu(v10)のスコアは総合40.3万点、CPUが13.1万点で、GPU6.5万点です。
タブレットですが同じHelio G99を搭載する、Alldocube「iPlay50 Pro mini」と比較すると、CPUがやや低い(13.5万→13.1万)ものの、GPUがやや高く(6.3万→6.5万)なっています。誤差の範囲ですね。

なお、がじぇっとりっぷの勝手分類では、2024年は以下のようにクラス分けをしています。

PassMark10スコア
エントリー~40万点
ミドル40~70万点
ハイエンド70~110万点
フラグシップ110万点~

この分類に従うと、ギリギリミドルクラスになりますね。

GeekBench5ではシングル546点、マルチで1819点。こちらもHelio G99としては平均的なスコアです。

Core i5-7200UやCore i3-8130Uが1800点なので、だいたい同じくらいの性能ということになります。
最近のCPUだとCeleron J4125が1500点前後、Celeron N5095が2200点程度です。

その他のベンチマークは以下の表で。比較対象としてAlldocube「iPlay50 Pro mini」のスコアも掲載しています。
ベンチマークスクリーンショットは記事の最後にまとめて掲載します。

メーカーBlackviewAlldocube
モデル名Shark 8iPlay50 Mini Pro
CPUHelio G99Helio G99
メモリ8GB8GB
ストレージ128GB UFS2.2256GB UFS
OSDokeOS4.0
(Android 13)
Android 13
AnTuTu (v9)総合358482361235
CPU101640100428
GPU8481080286
MEM7648486895
UX9554893626
AnTuTu (v10)総合403169405761
CPU131081135529
GPU6578963578
MEM99276106190
UX107023100464
GeekBench 4シングル2382
マルチ6646
Compute5436
GeekBench 5シングル546529
マルチ18191711
Compute14981428
GeekBench 6シングル744710
マルチ20841884
Compute12951284
GeekBench MLCPU415242
GPU173442
NPU完走できず完走できず
3DMarkWild Life12451228
Wild Life Unlimited10981213
Wild Life EX345341
Wild Life EX Unlimited336333
Sling Shot35273285
Sling Shot Unlimited37823568
Sling Shot EX26002535
Sling Shot EX Unlimited26372566
IceStormMaxed outMaxed out
IceStorm EXMaxed outMaxed out
IceStorm Unlimited3379831189
PassMarkSystem97579446
CPU47244553
Memory1627814504
Disk80816102423
2D1960022241
3D2122220373
ブラウザjetstream273.49671.147
BaseMark317.54344.07
WebXPRT3114103
WebXPRT48376
MotionMark259.82105.5
Octane2340222673
Speedometer63.862.1
PCMarkWork 3.097209392
Battery (100%)13h28m5h43m
Battery (50%)16h49m8h53m
Burnout14.412.1
AI-Benchmark70.362.4
AiTuTu v3総合4246742062
Super Resorusion986810
Style Transfer44694271
画像分類2123021212
オブジェクト検出1578215769
AiTuTu v2総合7936478606
Image2982430101
Object3270732956
SR1683315549

同じSoCながら全体的に「iPlay50 Pro mini」を上回っていますね。

ストレージ

「SHARK 8」のストレージは128GBまたは256GBのUFS2.2。レビュー機は128GBでした。
microSDも対応しています。

カードスロットはmicroSD+nanoSIM+nanoSIMのトリプルスロット
デュアルSIM勢はこのトリプルスロット機を見つけるのに苦労しているという話なので、これは良ポイントです。

ストレージ速度の計測結果。
#1が内部ストレージ、#2がmicroSD(SanDisk Extreme Pro 128GB)です。

内部ストレージはリード564MB/s、ライト306MB/s
上述の「iPlay50 Pro mini」がリード480MB/s、ライト390MB/sだったので、リードが少し早くなっています。

microSDはリード81MB/s、ライト44MB/sで、microSDの性能(実測でリード170MB/s、ライト113MB/s)を完全に引き出せてはいないものの、遅くはありません。

使ってみた

システム

ホーム画面です。

OSは独自…というかAndroid 13カスタムのDokeOS 4.0
素のAndroidのUIがカスタマイズされていて見やすくなっています。

拡張メモリは最大8GB
拡張メモリはストレージの一部をメモリのように扱う技術で、拡張メモリ使用時は動作が遅くなることがあります。
素でメモリ8GBもあればほとんどの状況で足りなくなることはないと思うので、普段は機能を切っておいていいかと。

OSバージョンとアップデート状況。

メモリとストレージの使用状況。

ディスプレイは色温度を調節できます。

NFCにも対応
NFCにはType-A、Type-B、Type-F(FeliCa)の三つの規格がありますが、残念ながら日本でもっとも使われているType-Fには非対応。おサイフケータイは使えません。
デフォルトで使えるのはGoogle Payです。一部のVisaカードのタッチ決済はGoogle Pay経由なので使えます。

参考 スマホ・ウェアラブル決済:VISA

個人的に素晴らしいと思ったのがバッテリー回り。
カスタム充電モードでは最大充電量を70%・80%・90%の内から選べます。100%まで充電しないことでバッテリーにかかる負荷を下げ、寿命を延ばします。

50~70%くらいがよいと言われていますが、がじぇっとりっぷのメインスマホ「Xperia 1 II」は90%固定なので、これはいいですね。

ディスプレイ

「SHARK 8」のディスプレイは6.78インチ 2460×1080
安価な製品ながら最大輝度は500nits、リフレッシュレートは120Hzとなっています。

上手く撮影できていませんが、色は赤・青・緑、どれも素直な色合いで、白から黒まで階調も綺麗に表現できています。

サウンド

「SHARK 8」のスピーカーはモノラルで、底面に位置しています。
最大音量はそこそこに大きく、音量100だと6畳程度なら十分賄える程度の音量となります。

意外と音質は悪くありません。
小型ゆえに低音は出ていませんが、中音・中高音は割としっかりしています。
高音は伸びがありますが、高すぎるところまでは出ていない感じです。

というか、ボーカル・人の声の範囲(100~2000Hzくらい)を中心にチューニングしているのでしょう。そのくらいがとても聞きやすくなっています。
そのためJ-POPなどは違和感なく聞けます。

あと、再現力の限界とでもいうのか、オーケストラのように多数の音源が存在するシーンだと、わちゃわちゃとした音になります。

音質は再生ソフトなど、視聴環境によっても大きく変化します。また、聴き手の好みやジャンルによっても左右されます。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。

動画

「SHARK 8」のWidevineはL3で、VOD(動画配信)サービスのHD画質視聴には非対応

スピーカーもモノラルですし、動画視聴はターゲットから外しているのかなぁと。
あれもこれもと詰め込むことを捨てて高コスパを取ったという印象です。

WidevineとはDRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)のひとつで、Google独自のデジタル著作権管理テクノロジーです。
他のDRMにはMicrosoftのPlayReady、AppleのFairPlayなどがあります。

WidevineにはL1(最高)からL3(最低)の3段階があり、Amazon PrimeではHD画質以上での再生にはL1(と独自のAmazon認証)が必要となります。
NetFlixなどもWidevineDRMを採用しており、L1でないとHD画質での再生ができません。

ゲーム

PUBG

PUBGは”HDの高”までの選択。
プレイ中は結構滑らかに動き、特に問題なくプレイできます。

原神

原神はフル画面表示対応。

メニューはカメラ(左端)を避けて表示されます。

負荷は、”最低”画質で”スムーズ”、”低”画質で”やや高い”、”中”画質で”非常に高い”になりました。

また、カスタムで45fpsにすると”最低”画質でも”非常に高い”に。

しかし、「SHARK 8」は冷却能力については製品ページでもアピールするくらいに力を入れています。

そこで実際にプレイしてみると“高”画質の60fpsでも問題なくプレイでき、特にカクつくこともなし
秘境も含めて30分ほどのプレイでも人肌よりちょっと暖かい程度。指も当たらないのでプレイ中に不快さを感じることもありませんでした。

“高”画質/60fpsで30分プレイ後にサーマルカメラ(FLIR ONE)で見てみると、表面温度は37度台。
同じHelio G99の「iPlay50 Pro mini」では”中”画質/60fpsでカクついたので、本当に冷却能力は高いようです

バッテリー

バッテリーはディスプレイ輝度100%で13時間28分、輝度50%で16時間49分でした。

同じ5,000mAhの「iPlay50 Pro mini」だと輝度100%で5時間43分、輝度50%で8時間53分だったので、画面サイズによる差はかなり大きいです。

カメラ

今回はスマホレビューということで、カメラはタブレットより重点的に見ていきます。
なお、撮影センス、題材選びのセンスがないことは自覚しているので、そこは無視してください。

カメラはリアが6400万画素、フロントが1300万画素です。
リアカメラのセンサーはSamsung ISOCELL GW3で、1/1.97インチ。画像処理エンジンにBlackview ArcSoft 7.0を内蔵します。
6400万画素ですが、ピクセルビニング技術(4ピクセルをひとつのスーパーピクセルとして扱う)によって、明るく撮れる1600万画素相当として扱われます

ちなみにフロントカメラのセンサーはSamsung ISOCELL 3L6です。

カメラアプリ上でも基本は最高16MP(1600万画素)となっています。
主なアスペクト比に4:3、16:9、fullがありますが、横幅は変わらない点に注意

カメラアプリではピクセルビニングをしない64MPモードや自由設定できるPROモードなどが用意されています。

他の機能はこんな感じ。
スローモーションはおおむね1/4倍速になります。

設定からはシャッター音をオフにしたり、ウォーターマークもカスタマイズできます。

以下オートで撮影、作例は幅800への縮小加工のみを行っています(WordPress側で縮小・圧縮される場合があります)。
撮影は曇りの日の午後5時前なので辺りはやや暗めのシチュエーションです。

アスペクト比を、4:3、16:9、fullに変更して撮影。横は変わらず、縦だけ狭くなっています。

比較として、「Xperia 1 II」で撮った作例。
「Xperia 1 II」は3眼カメラですが、メイン(広角)のセンサーは1/1.7インチのIMX555 Exmor RSです。画像処理エンジンはBIONZ X for mobileです。

とはいえ、「SHARK 8」の方がコントラストがはっきりしていて、これだと「SHARK 8」の方を選んでしまうかも。

ズームは最大4倍。

「Xperia 1 II」は3眼カメラなので、ここまでズームできます。

拝殿内。
暗くなり始めの時間で、かつ陰になる天井と、その向こうに外が同時に映っているシーンですが、HDRがしっかり効いていてどちらもしっかり表現できています。

流石にこのシーンは画像処理エンジンの差で「Xperia 1 II」の方が自然な感じに仕上がっています。

上の画像の等倍切り出し。
ナイトモードで撮ればもう少しましだったかもしれませんが、結構ノイジーです。

「Xperia 1 II」の等倍切り出しはノイズ少な目。
おそらく本格的な夜景になると、この差はもっと広がるでしょう。

場所を変えて、スーパーの店先の花をアップで。

等倍での切り出し。10cmくらいの距離での撮影ですが、ギリギリピントが合っています。
マクロとまではいかないものの、思ったより寄れました。

最後は料理。もうちょっと色のあるものにすればよかった…
「SHARK 8」のカメラアプリにはAIによるシーン判定がないのですが、このくらい撮れればまぁいいかなぁ…

「SHARK 8」はカメラ性能をアピールしているだけあって、安価ながら思ったよりしっかり撮れました
現行ハイエンドには追いつかないまでも、夜景でなければ数年前のハイエンド機とそれなりに勝負できるところまで来ています。

まとめ

「SHARK 8」の公式ストアでの販売価格は128GBモデルが159.99ドル(記事執筆時点レートで23,326円)。256GBモデルが169.99ドル(同24,784円)です。
Amazonだと128GBが26,900円、256GBが31,900円です。

AliExpressの公式ストアでは記事執筆時点ではセール中で、クーポン込み102.99ドル(約1.6万円)なんてとんでもない安値が付いています。この価格で利益出るの?

がじぇっとりっぷはスマホはこれまで扱っておらず、普段使うスマホの買い替えくらいしかしてなかったので、いまどきの2万円スマホがここまで来ていることは素直に驚きました。
120Hzディスプレイとか33W充電とか、2万円ちょっとでも採用できるものなんですね。

カメラも思った以上によく撮れましたし、2万円スマホ、侮りがたし…

関連リンク

公式製品ページ:Blackview

付録:ベンチマーク スクリーンショット

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