2023年11月9日、SBCメーカーのFireflyは、Rockchip RK3588を搭載したSBC、「ROC-RK3588-RT」は発売しました。
2023年12月22日にはオプションボード「EXT-2.5GE-RK3588-RT」が発売されています。
スペック
■ ROC-RK3588-RT | |
CPU | Rockchip RK3588 |
---|---|
メモリ | 4~16GB LPDDR4 |
ストレージ | 32~128GB eMMC M.2 Key-M(2242) |
画面 | 14.0インチ IPS FHD |
インターフェース | USB Type-C(3.0)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×1 HDMI2.1 HDMI2.0 2.5GbE 有線LAN×1 1GbE 有線LAN×2 microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | M.2 Key-E |
サイズ | 108.48×74.98mm |
特徴
Fireflyは独特というか独自性の強いボードを出すメーカーで、「ROC-RK3588-RT」もまた、他メーカーとは全く違う、ユニーク性の強いSBC(シングルボードコンピューター)となっています。
モデル名も”PC”とか”AIO”とかなんとなく方向性の分かる要素が入っており、それを踏まえると”RT”はルーター向けってことでしょうか。
SoC
「ROC-RK3588-RT」のSoCはRockchip RK3588。
工業グレードのRK3588J(動作範囲が-40度~85度に拡大)も搭載できますが、要問合せとなっているようです。
RK3588は最近だとFriendlyELEC「CM3588」や「Orange Pi 5 Plus」などに搭載されています。
ブロックダイアグラムはこんな感じ。
地味にHDMI-IN (HDMI RX)をサポートしています(「ROC-RK3588-RT」では使われません)。
GeekBenchスコアはこんな感じ。
SBC界隈で主流のRK3399のざっと3倍、PC向けと比較するとシングル・マルチ性能ともにCeleron N5105と同等程度です。
なお、弟分のRK3588Sと比較すると、違いは以下のようになっています。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
RK3588Sは、CPU/GPU/NPU構成はRK3588と同じで、インターフェース周りが簡素化された分、パッケージサイズが小型化しています。
そのため、もともと搭載できるインターフェースの限られる、クレカサイズSBCに採用されやすいという側面があります。
参考 RK3588 データシート:CNX Software ※PDF
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
メモリとストレージ
「ROC-RK3588-RT」はメモリとストレージの組み合わせが決まっていて、4GB+32GB、8GB+64GB、16GB+128GBの3パターンが用意されています。
メモリはおそらくLPDDR4(スペック表ではLPDDR4/LPDDR4x/LPDDR5と書かれていますが、さすがにランダムはないと思います)。
ストレージはeMMCです。
また、ボード上にはSSD用のM.2 Key-Mスロットがあり、M.2 SSDも使えます(接続はPCIe 2.0 x1接続なので、片方向500MB/s)。
OSはAndroid 12、Ubuntuのほか、OpenWRTが用意されています。
参考 ダウンロード(ROC-RK3588-RT):Firefly
その他
無線LANはなし。代わりにM.2 Key-Eスロットがあり、お好みでWi-fiカードを搭載できます。
技適問題がある日本で使う分には、ありがたい仕様です。
変わったところではPCIe 3.0 x4なBTBコネクタを搭載。
BTBコネクタで接続するボードと組み合わせることができます。
外観
本体の表裏です。
SoC・メモリ・ストレージは裏側にあります。
また、インターフェースは左右(前後)に分かれていて、側面部分にはありません。
インターフェース。
デュアルHDMI+DisplayPort(Type-C)でトリプルディスプレイに対応しています。
有線LANも3ポート付いています。
オプションの「EXT-2.5GE-RK3588-RT」。
BTBコネクタをクアッドGen3 x1として使い、クアッド2.5GbE LANポートを搭載します。
合体すると7ポートLAN(うち5ポートが2.5GbE)という豪華仕様に。
これでM.2 SSDとWi-fiボードも載せられるというのだから、とんでもないボードが爆誕したなって。
まとめ
「ROC-RK3588-RT」の価格は以下の通り。
4GB+32GB:189ドル
8GB+64GB:229ドル
16GB+128GB:319ドル
2.5GbEボード:55ドル
RK3588搭載ボードとしては高めな値付けですが、ユニーク性を考えればこの価格でも買う人は結構いそう。
値段は張るものの、ルーターボードを組もうってなったときに真っ先に候補に出るボードになりそうです。
ただ、標準で同梱される電源には、さすがにPSEマークはなさそう…
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