2023年5月18日、SBCメーカーのXunlong Softwareは、Rockchip RK3588を搭載したSBC「Orange Pi 5 Plus」を発売しました。
スペック
■ Orange Pi 5 Plus | |
CPU | Rockchip RK3588 |
---|---|
メモリ | 4~16GB LPDDR4X |
ストレージ | 32~256GB eMMC M.2 Key-M(2280) |
インターフェース | USB Type-C(3.0)×1 USB 3.0×2 USB 2.0×2 HDMI×2 HDMI-IN×1 2.5GbE有線LAN×2 microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | M.2 Key-E |
サイズ | 100×75mm |
電源 | Type-C (5V/4A) |
特徴
「Orange Pi 5 Plus」は「Orange Pi 5」の豪華版…と見せかけて、全く別のSBCです。そもそもボードサイズもインターフェースの並びも違います。なぜこれで「Plus」にしようと思ったんだ…
「NanoPC-T6」同様にRK3588搭載機としては後発組ですが、「NanoPC-T6」ほどは攻めておらず、割と堅実な内容となっています。
SoC
「Orange Pi 5 Plus」のSoCはRockchip RK3588。最近増えてきたRK3588Sではなく、無印の方のRK3588です。
最近だと、「NanoPC-T6」があります。
RK3588はRockchip初の8nmプロセスで製造されるSoCで、4コアのCortex-A76と4コアのCortex-A55のbig.Litte構成を取っています。
グラフィックは2021年5月に発表されたMali G-x10シリーズからミドルハイクラスとなるMali-G610の4コア(MP4)モデルを採用。
さらに6.0TOPSのNPUも内蔵し、かなり強力なSoCに仕上がっています。
ブロックダイアグラムはこんな感じ。
地味にHDMI-IN (HDMI RX)をサポートしています。
GeekBenchスコアはこんな感じ。
SBC界隈で主流のRK3399のざっと3倍、PC向けと比較するとシングルコア性能はCeleron N5100と同等、8コアな分マルチスレッド性能はN5100の1.5倍くらいでしょうか。
なお、弟分のRK3588Sと比較すると、違いは以下のようになっています。
RK3588S | RK3588 | |
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CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
RK3588Sは、CPU/GPU/NPU構成はRK3588と同じで、インターフェース周りが簡素化された分、パッケージサイズが小型化しています。
そのため、もともと搭載できるインターフェースの限られる、クレカサイズSBCに採用されやすいという側面があります。
参考 RK3588 データシート:CNX Software ※PDF
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
メモリとストレージ
メモリは4GBから16GBのLPDDR4/4x。
ここは他のRK3588/RK3588S搭載SBCと同じです。「Orange Pi 5」ではアナウンスされている32GBは用意されないようです。
ストレージはなし。microSDカードスロットとeMMCスロット、M.2 SSDスロット(NVMe、2280サイズのみ) が用意されています。
その他
無線LANは直接は搭載されず、M.2 Key-Eスロットでの提供。技適問題がある日本としては、技適なしのオンボードよりこちらの方がありがたいです。
「Orange Pi 5」向けですが、Wi-fi 6対応カード(チップはSparkLAN AP6275P)も用意されています。AP6275Pは中身的にはBroadcom BCM43752が使われています。
有線LANはデュアル2.5GbE。使用しているのはPCIe2.1 to 2.5GbEチップのRTL8125BG×2です。
「NanoPC-T6」と違って4G/LTE(miniPCIe)は非対応。というか、4G/LTEが必要なユーザーって結構限られる気がするから、無理に搭載する必要はないかと。
その分別のところに回してもらった方がwin-winですね。4G/LTEが必要なユーザーは「NanoPC-T6」を買えばいいんだし。
電源はType-Cの5V/4A入力に対応。
「NanoPC-T6」よりは電源の入手性がよさそうと見せかけておいて、そもそもUSB PDの規格上は5V/3Aまでなので、5V/4Aが出力できるType-C電源アダプタってそんなにないんですよね。
まぁ5V/3Aでもある程度は動くというか、高負荷時に制限がかかる程度になるとは思いますが。
OSはOrangePi OSが記載されていますが、記事執筆時点ではダウンロードリンクは用意されていません。
最終的には「Orange Pi 5」と同じ(Debian、Ubuntu、Androidに加えてLinuxベースの「Orange Pi OS(arch)」、デスクトップUIを備えたAndroidベースの「Orange Pi OS(Droid)」など)になると思われます。
外観
インターフェースです。
「Orange Pi 5 Plus」のポイントは、USBが多いこと。
USBハブチップ(GL3523)を使っているので、USB3.0が3ポート、USB2.0は2ポートの合計5ポート搭載されています。
気になるのはPMU(電源チップ)周りがやや簡素なところ。
おそらくは12V to 5V変換が不要だから簡素に見えるだけで、特に問題はないんでしょうけど。
あと地味にタッチインターフェースが用意されていて、タッチパネルに対応しています。
組み込み向けだとタッチ操作はままあるので、ちょっとした差別化ですね。
まとめ
「Orange Pi 5 Plus」のAliExpress公式ストアでの価格は以下の通り。送料は別(10.52ドル)となっています。
4GB:89.9ドル (約12,500円)
8GB:109ドル (約15,300円)
16GB:129ドル (約18,000円)
「NanoPC-T6」よりも安くなっていますが、「Orange Pi 5 Plus」にはストレージがありません。まぁ、SSD運用前提であればeMMCはなくてもいいんですけど。
というか、16GBモデルに至っては「Rock 5B」の予約価格(139ドル)より安いんだけど…
「Orange Pi」シリーズもケースは用意されることが多いのですが、登場はボードよりかなり後になることが多いです。
「Orange Pi 5」ではサードパーディーから大型のヒートシンクやケースが発売されたので、「Orange Pi 5 Plus」でも期待できるんじゃないかなぁと。
関連リンク
Orange Pi 5 Plus:Orange Pi
Orange Pi 5 Plus 4GB:AliExpress公式ストア
Orange Pi 5 Plus 8GB:AliExpress公式ストア
Orange Pi 5 Plus 16GB:AliExpress公式ストア
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