後発らしい攻めっぷり。FriendlyELEC「NanoPC-T6」はRK3588にデュアル2.5GbEで100ドルきっかりから

シングルボード

2023年5月8日、SBCメーカーのFriendlyELECはRockchip RK3588を搭載したSBC「NanoPC-T6」を発売しました。

NanoPC-T6:FriendlyELEC

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スペック

■ NanoPC-T6
CPURockchip RK3588
メモリ4~16GB LPDDR4X-2133
ストレージ32~256GB eMMC
M.2 Key-M(2280)
インターフェースUSB Type-C(3.0)×1
USB 3.0×1
HDMI×2
HDMI-IN×1
2.5GbE有線LAN×2
microSDXC
microSIM
オーディオジャック
wi-fiM.2 Key-E
サイズ110×80mm
電源12V(5.5*2.1mm)

特徴

「NanoPC」シリーズは幅100mmのちょっと大きめのSBCで、これまで「T1」から「T4」まで存在しています。「T4」についてはレビューしています。

[レビュー] FriendryElec「NanoPC-T4」を買って、あれこれいじってみました

順当にいけば次は「T5」のはずですが、ひとつ飛ばして「T6」となりました。

SoC

「NanoPC-T6」のSoCはRockchip RK3588。最近増えてきたRK3588Sではなく、無印の方のRK3588です。

RK3588はRockchip初の8nmプロセスで製造されるSoCで、4コアのCortex-A76と4コアのCortex-A55のbig.Litte構成を取っています。
グラフィックは2021年5月に発表されたMali G-x10シリーズからミドルハイクラスとなるMali-G610の4コア(MP4)モデルを採用。
さらに6.0TOPSのNPUも内蔵し、かなり強力なSoCに仕上がっています。

ブロックダイアグラムはこんな感じ。
地味にHDMI-IN (HDMI RX)をサポートしています。

GeekBenchスコアはこんな感じ。
SBC界隈で主流のRK3399のざっと3倍、PC向けと比較するとシングルコア性能はCeleron N5100と同等、8コアな分マルチスレッド性能はN5100の1.5倍くらいでしょうか。

なお、弟分のRK3588Sと比較すると、違いは以下のようになっています。

RK3588SRK3588
CPUCortex A76 ×4
Cortex A55 ×4
GPUMali-G610 MP4
NPU6TOPS
メモリLPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5
最大32GB
映像出力HDMI 2.1/eDP ×1
DisplayPort ×1
MIPI DSI ×2
HDMI 2.1/eDP ×2
DisplayPort ×2
MIPI DSI ×2
映像入力48MP ISP
MIPI CSI 4×2lane
DVP
48MP ISP
MIPI CSI 4×2lane
DVP
HDMI-IN (4K/60Hz)
ネットワーク1GbE ×11GbE ×2
USBUSB3.1 Gen1(OTG) ×1
USB3.1 Gen1(HOST) ×1
USB2.0 (HOST) ×2
USB3.1 Gen1(OTG) ×2
USB3.1 Gen1(HOST) ×1
USB2.0 (OTG) ×2
PCIePCIe 3.0 x4
Combo PIPE2ポート3ポート
低速I/OSPI ×5
I2C ×9
UART/GPIO ×10
12bit ADC
CAN bus ×3
SPI ×5
I2C ×9
UART/GPIO ×10
12bit ADC
サイズ17×17mm21.45×21.45mm

RK3588Sは、CPU/GPU/NPU構成はRK3588と同じで、インターフェース周りが簡素化された分、パッケージサイズが小型化しています。
そのため、もともと搭載できるインターフェースの限られる、クレカサイズSBCに採用されやすいという側面があります。

参考 RK3588 データシート:CNX Software ※PDF
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF

メモリとストレージ

メモリは4GBから16GBのLPDDR4X-2133
ここは他のRK3588/RK3588S搭載SBCと同じです。今のところ32GBは用意されないようです。

ストレージは32GBから256GB eMMC。メモリとストレージの組み合わせは固定となっています。
背面には2280サイズ限定のM.2 SSDスロットがあり、PCIe Gen3 x4接続に対応しています。でもなぜか最高2,500MB/sになっています。ちょっと謎。

その他

無線LANは直接は搭載されず、M.2 Key-Eスロットでの提供。技適問題がある日本としては、技適なしのオンボードよりこちらの方がありがたいです。
オプションでWi-fiカード(チップは8822CE)も用意されています。

有線LANはデュアル2.5GbE。使用しているのはPCIe2.1 to 2.5GbEチップのRTL8125BG×2です。

RK3588はSATA/PCIe2.1/USB3.0に使えるCombo PIPEというのが3レーンあるので、これが無線LANと有線LANに使われているようです。

また、4G/LTEモジュール用のminiPCIeスロットも用意されています。PCIeレーンはもう残ってないよなぁと思いながら回路図を追うと、内部的にはUSB2.0接続となっていました。
合わせてボード上にはmicroSIMスロットも用意されています。最近ではnanoSIMが一般的なので、変換アダプタが必須ですね。

電源は5.5×2.1mmのバレルジャックで、12Vオンリー。
Type-C給電(USB PD)については記載がないので、非対応と思われます。

OSはDevian11、Ubuntu22.04、Android12のほか、Ubuntu20.04ベースのFriendryCoreやOpenWrtベースのFriendryWrtなどに対応しています。
インストール手順などはwiki上で丁寧に解説されています。

外観

インターフェースです。みっちり詰まっていますね。
SoCが斜め配置ですが、回路がなかなかに芸術的。

個人的なポイントは、ファンコネクタが用意されている点。これがあるとGPIOの5V・GNDピンを使う必要がなく、すっきりします。まぁ公式ケースを使うとファンレスになるんですけど

端っこにはRTCコネクタもありますね。

FriendlyELEC製品はほぼ標準でケース(メタルケース)が用意されています。
過去の例からするに、ケース自体がSoCに接触し、ヒートシンクの役割も兼ねることになります。

Wi-fiオプションを選択すると、アンテナも付いてくるようです。

まとめ

「NanoPC-T6」の価格は以下の通り。

・4GB/32GB:100ドル (約13,500円)
・8GB/64GB:120ドル (約16,500円)
・16GB/256GB:149ドル (約20,500円)
・ケース:20ドル
・Wi-fi:18ドル
・電源アダプタ:9.89ドル

「Rock 5B」は予約価格が終了しているので、記事執筆時点で最安のRK3588搭載SBCでしょう。

比較されるのはその「Rock 5B」になると思いますが、「NanoPC-T6」はデフォルトでストレージ搭載(「Rock 5B」はeMMCソケットだけ)でデュアル2.5GbE、4G/LTEにも対応可能でMIPIはCSI/DSIともに2スロットずつ(「Rock 5B」は各1スロット)用意されるなど、内容的に「Rock 5B」を上回っています

後発だからと言ってしまえばそれまでですが、ここまでがっつり盛り込んでおきながら16GBモデルでも2万円強ですし、ケースと電源、日本までの送料(16ドル)を合わせても194.89ドル(約26,500円)と200ドルを切ります。

なんというか、これ、普通に人気が出るんじゃないかなぁ…

関連リンク

NanoPC-T6:FriendlyELEC
NanoPC-T6:FriendlyELEC Wiki

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