【レビュー】HEADWOLF HPad 5:尖ったところはないけれどマイナスポイントもない優等生タイプのタブレット

レビュー

HEADWOLFは2016年設立の、新興のタブレットメーカーです。
新興メーカーは他社との差別化のためにしばしば尖った仕様に走りがちですが、HEADWOLFは堅実な仕様の製品が多く、手堅い印象です。

今回はそんな手堅い中でもちょっとだけ尖ったタブレット、10.5インチの「HPad 5」をレビューします。

当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。
機材を提供いただいたHEADWOLF様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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HEADWOLF HPad 5

CPUHelio G99(MT6789)
OSAndroid 14
メモリ8GB (+拡張8GB)
ストレージ128GB UFS2.2
画面10.51インチ IPS WUXGA
Widevine L1+Netflix
インターフェースUSB Type-C×1
microSD
オーディオジャック
カメラ前:800万画素
後:1600万画素
wi-fi802.11ac+BT5.2
4G/5G4G対応
FDD:B1/3/5/7/8/18/19/20/26/28AB/66
TDD:B41
バッテリー8,500mAh
サイズ254×152×7.6mm
重さ505g

GoodPoint
Widevine L1+Netflix対応
スピーカーの音が思った以上にいい
全社プラチナバンド対応

BadPoint
充電が最大20W
タブレットUI非対応

パッケージ

内容物
・本体
・電源アダプタ
・USB CtoCケーブル
・ユーザーマニュアル
・カードスロット取り出しピン

技適は、技適番号までしっかり記載されています。

参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(217-220453)

技適の結果を見ると、認証は令和4年3月22日、相互承認(MRA)で認証を受けています。
またこの先H8、H9、H10、H20というのもあるようです。

インターフェース

インターフェースは電源ボタン・音量ボタンともに長辺にあります。
Type-C端子はわずかに中心からずれていて、充電ケーブルを挿したままスタンドに縦置きすると、結構違和感を感じます。

パフォーマンス

「HPad 5」のSoCはHelio G99。2022年5月に発表された、割と新しいSoCです。
ARM Cortex-A76が2コア、Cortex-A55が6コアのbig.LITTLE構成で、GPUはMali-G57 MC2(2コア)。UNISOC T606/616はMali-G57 MC(1コア)なので、理屈の上では2倍近いグラフィック性能となります。

AnTuTu(v10)のスコアは総合39.1万点、CPU13.6万点、GPU6.3万点。
過去にレビューしたHelio G99機とほぼ変わらない程度ですが、メモリのスコアがやや低めで、それが多少ながら全体に影響しています。

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GeekBench5ではシングル533点、マルチで1705点。「iPlay50 Pro」がシングル548点、マルチで1835点だったので、マルチスレッド性能はやや低めです。

Core i5-7200UやCore i3-8130Uが1800点なので、だいたい同じくらいの性能ということになります。
最近のCPUだとCeleron J4125が1500点前後、Celeron N5095が2200点程度です。

メーカーHeadwolfAlldocubeAlldocubeBMAX
モデル名HPad5iPlay50 ProiPlay50 MiniI11
CPUHelio G99Helio G99Unisoc T606Unisoc T618
メモリ8GB8GB4GB8GB
ストレージ128GB UFS2.2256GB UFS2.264GB UFS128GB eMMC
OSAndroid 14Android 12Android 13Android 11
AnTuTu (v9)総合342536359132198298223069
CPU1010771030826132468995
GPU80136857892140744818
MEM67836730385725637250
UX93487972235831172006
AnTuTu (v10)総合391899416037243685262720
CPU1361401388028250786894
GPU63386798832329843285
MEM89395976277873759525
UX103068997255959373016
GeekBench 4シングル2390252714711620
マルチ6607711549394851
Compute5323562740834556
GeekBench 5シングル553548311371
マルチ1705183512921248
Compute14581544516821
GeekBench 6シングル713724382447
マルチ1879201513611304
Compute12941295446833
GeekBench MLCPU383263164184
GPU166470201112
NPU完走できず完走できず110132
3DMarkWild Life12221246412559
Wild Life Unlimited12071231421556
Wild Life EX34034497142
Wild Life EX Unlimited332336
Sling Shot3285352214261741
Sling Shot Unlimited3559378015051756
Sling Shot EX253025939521178
Sling Shot EX Unlimited25562640
IceStormMaxed outMaxed outMaxed outMaxed out
IceStorm EXMaxed outMaxed outMaxed outMaxed out
IceStorm Unlimited30889326951670520943
PassMarkSystem7998976662366045
CPU4522474429562930
Memory6226161961201214171
Disk45725573565131014295
2D17372232071370424330
3D21026216811376218181
ブラウザjetstream278.28368.89246.73852.617
BaseMark351.6290.9194.73258.39
WebXPRT3100986590
WebXPRT486724559
MotionMark660.4341.5511.12114.6
Octane24433222481183814590
Speedometer 2.073.642.640.1337.1
Speedometer 3.04.624
PCMarkWork 3.09286887571227952
Battery (100%)6h25m7h48m4h30m5h20m
Battery (50%)10h50m15h55m7h35m10h6m
Burnout11.412.77.86
AI-Benchmark6470.536.642
AiTuTu v3総合4206042485
Super Resorusion848982
Style Transfer42284491
画像分類2122621230
オブジェクト検出1575815782
AiTuTu v2総合801655265968296
Image302302599928512
Object330532538936977
SR1688212712807

他の製品との比較。
同じHelio G99相手だとやや劣るスコアですが、UNISOC T606やT618に比べれば高い性能を誇り、その分できることも多くなっています。

ストレージ

「HPad 5」のストレージは128GB UFS2.2。最近では256GBも増えてきましたが、いまだ標準は128GBなので、特に少ないということもありません。
microSDも対応しています。

カードスロットはmicroSD+nanoSIMのコンボスロット

ストレージ速度の計測結果。
#2が内部ストレージ、#1がmicroSD(Samsung 128GB)です。

内部ストレージはリード475MB/s、ライト171MB/s
同じHelio G99を搭載する「iPlay50 Pro」のリード610MB/s、ライト180MB/sに比べるとやや遅めです。

microSDはリード78MB/s、ライト38MB/sで「iPlay50 mini/iPlay50 Pro」と同程度。
というか、安価な1万円台後半~2万円台のタブレットはだいたい横並びです。

使ってみた

ディスプレイ

「HPad 5」のディスプレイは10.5インチWUXGA(1920×1200)
最近は一時期流行した10.4インチ2000×1200が終息しつつあり、FHD解像度の動画再生に向いたWUXGAが主流に返り咲いています。

HEADWOLFの”H”シリーズは、その時期の流行りを追いかける傾向があるようで、「HPad 5」発売時はぽつぽつと10.5インチが登場しているころでした。
ちなみに次の「HPad 6」はこれも2023年末頃の流行である12インチ2000×1200です。

明るさごとの比較。
0%はかなり暗く、かろうじて見えるくらい。室内でも0%での操作は無理なレベルです。
100%はちょっと明るすぎるかなーって程度で、明るすぎて無理とはなりません。屋外の日向では100%ではちょっと見づらいです。

USB顕微鏡で拡大してみます。

Chromeのアイコン部分の拡大。
IPSパネルによくある、くの字型のドットです。

サウンド

「HPad 5」はクアッドスピーカーを内蔵
この時点で結構力を入れてるなーってなるわけですが、実際に聞いてみるとタブレットのスピーカーにしては割と高音質
もちろん外付けのスピーカーと比べると微妙ではあるのですが、動画視聴に耐えられる範囲の音ではあります。

低音は弱め。一応強化されているそうですが、他社も強化しているわけで、あまり差が分かりません。

中音はしっかりしているものの、シャカシャカ感の強い音。
ボーカルを持ち上げるような処理はされていないので、曲によってはボーカルが楽器の一つであるかのように感じます。

高音はよく鳴っていますが、抜け感があるとまでは言えません。

評価としては高いものではありませんが、他のタブレットと比べればいい音です。
ドラマや映画も、重厚感こそ薄れますが、スピーカーが両サイドの同じ位置にあるので変な偏りもないし、前述の通り視聴には耐えられる範囲でした。

なお、ステレオ方向は横向きで固定で、縦持ち時に左右が変更されるということがないのが惜しいところ。

動画

「HPad 5」のWidevineはL1で、VOD(動画配信)サービスのHD画質視聴に対応
NetflixのHD再生にも対応していますが、契約していないので未確認です。

Amazon PrimeではFHD(1080p)再生表示を確認。10.5インチと半回り大きい画面なので、心なしか見やすい気がします。

WidevineとはDRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)のひとつで、Google独自のデジタル著作権管理テクノロジーです。
他のDRMにはMicrosoftのPlayReady、AppleのFairPlayなどがあります。

WidevineにはL1(最高)からL3(最低)の3段階があり、Amazon PrimeではHD画質以上での再生にはL1(と独自のAmazon認証)が必要となります。
NetFlixなどもWidevineDRMを採用しており、L1でないとHD画質での再生ができません。

ゲーム

PUBG

PUBGは選択できるのは”HDの高”まで。
ただプレイ中は割と滑らかに動くので、グラフィック性能分の差はある感じです。

原神

原神は、”最低”画質で”スムーズ”、”低”画質で”やや高い”、”中”画質で”非常に高い”になりました。

また、カスタムで60fpsにすると”最低”画質でも”非常に高い”に。

実際のプレイでは“中”画質で60fpsでも普通に戦闘をして、デイリー任務くらいなら問題なくクリアできます
負荷は高いはずですが動作温度は低く、人肌程度。しばらくプレイした中ではサーマルスロットリング(動作抑制)は起こりませんでした。

カメラ

カメラはリアが1600万画素(4632×3480)、フロントが800万画素(3624×2448)です。

カメラアプリは「iPlay50 mini Pro」と同じモノのようで、項目が完全に一致しています。
Android標準のカメラアプリなのかな?

【レビュー】 ALLDOCUBE iPlay50 mini Pro:不満点は残るものの、現状の8インチクラスの決定版!なタブレット

下の画像は幅800に縮小した以外の加工はしていません。

リアカメラでの撮影。レンズなのかセンサーなのか、周縁が赤みがかっています。

等倍での切り抜き。
実は結構難しい被写体なので、ディティールの甘さがはっきり出ています。
まぁ他のタブレットも似たり寄ったりなので、タブレットのカメラは実質おまけです。
…おまけなら画素を下げてでも出っ張らないカメラにした方がユーザーの受けがいいと思うんだけどなぁ…

マニュアルを撮影したところ。
周囲の色のおかしさはこっちの方が分かりやすいかも。

等倍で切り抜くと、何とか読める範囲ではあります。

陰になりやすいですが、近付けて撮影する分には普通に読めます。

フロントカメラでの撮影。
左右反転はしているものの、色味は自然。オートフォーカスはないもののフォーカスも割としっかり取れていて、web会議には十分使えそうです。

バッテリー

バッテリーはディスプレイ輝度100%で6時間25分、輝度50%で10時間50分でした。

10.1インチだったら7,000~7,500mAh相当くらいの稼働時間です。
液晶パネルは大きいほど(&輝度が高いほど)消費電力が多いのですが、それを踏まえても8,500mAhの容量の割にはちょっと短いですね。

消費電力

8.6W

アイドル(輝度100%)5.1W
アイドル(輝度50%)3.5W
アイドル(輝度0%)1.7W
GeekBench(輝度100%)W
GeekBench(輝度0%)4.9W
原神(輝度100%)8.9~9.4W
充電中(画面オフ)20.8W
充電中+GeekBench(輝度100%)20.8W
充電中+原神(輝度100%)20.8W

「HPad 5」はグローバル版は30W充電に対応しているようですが、国内版は20Wまで
実際の計測でもいくつかの充電器を使って確認しましたが、20Wきっかりとなりました(端数はPD充電器の消費分)。

外観

外箱はシンプルながら、ちょっと高級感。

モデル名は「H5A」。シリアルナンバーは分かりやすいですね。多分24年の第9週に製造されたものと思われます。

パッケージ全体。

同梱物

電源アダプタはPSE取得済み。最大で12V/1.67A(=20W)の出力です。
カードスロット取り出しピンの形状が、一般的なものと違っています。

マニュアルは図解入り。

マニュアルの日本語はいわゆる中華フォントが使われています
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。

また機械翻訳なのか、日本語としてもかなり怪しいです。

本体

本体。
ベゼルが極端に細いとかもなく、タブレットとしては平均的な見た目です。

インターフェース。
クアッドスピーカーは横置き時に左右に位置しています。

おそらくこれがマイク。

背面はツートーンになっていて、ちょっとおしゃれ。

カメラ(再掲)。
前述の通り、マイクは側面です。

保護フィルムは標準で張られていますが、ちょっと爪でこすっただけでも跡が残り、いいフィルムとは言えません。
真面目に使うのであればフィルムは張り替えた方がいいでしょう。

システム

「HPad 5」はほぼ素のAndroidです。
いわゆるスマホUIでして、ナビゲーションドックにアプリを固定できるタブレットUIには対応していません。

アプリ一覧。
独自要素は”Headwolf”アプリくらいです。

その”Headwolf”アプリはプロモーションと操作ガイド(YouTubeへのリンク)となっています。

“設定”画面も素のAndroidですね。

Androidバージョンは14
セキュリティアップデートは2023年11月。

システムは2024年3月が最新。

ストレージの使用量とメモリ拡張設定。最大8GBのメモリ拡張ができますが、内蔵メモリが8GBあるので、よほどのことがない限りは拡張しなくても大丈夫でしょう。

ディスプレイ設定。
カラーの選択は4種類ありますが、あまり違いは感じられず。

バッテリーは、90%で充電を止めるバッテリーセーバーに対応

まとめ

「HPad 5」の価格は記事執筆時点で23,500円
Helio G99はWidevine L3、L1、L1+Netflixと、いくつかバージョンがあり、L1+Netflix対応機としては安めの部類です。

出来ればグローバル版と同じく30W充電に対応してほしかったところですが、よほど急ぎでもない限りは20Wでも間に合います。

UNISOC T606/616よりはパワフルなHelio G99を搭載し、動画視聴に寄った構成ではあるものの、それ以外の点は可もなく不可もなく。尖った要素がない代わりに大きなマイナス点もない、いい意味での平凡機といえます。

Helio G99機は数が多く、どれを選べばいいか迷いがちなので、変に尖っていない標準的なやつでいいんだよって層には検討してもらいたい一台です。

関連リンク

付録:ベンチマーク スクリーンショット

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