SBC(シングルボードコンピューター)の変わり種。ネットワーク機能重視なGlobalscale Technologies社の「ESPRESSOBin」を紹介します。

寝て起きたら三連休がほぼ終わっていました、がじぇっとりっぷです。

本日はいつもと趣向を変えて、あまり一般には知られていないSBC(シングルボードコンピューター)のお話です。置いてけぼりになってしまうかもしれませんがご容赦を。

まず、SBC(シングルボードコンピューター)についてwikipediaより引用しますと

シングルボードコンピュータとは、むき出しの一枚(シングル)のプリント基板(ボード)の上に、必要なものに絞ったCPUと周辺部品、入出力インタフェースとコネクタを付けただけの極めて簡素なコンピュータである。

とあります。

SBCの分野は産業用途や組み込み向けに古くから存在していましたが、一般(と言ってもまだマニアックなレベルですが)に広まり始めたのは2000年代後半からです。
それから幾分か時が過ぎ、2012年登場のRaspberry Piによって広く認知されるようになりました。Raspberry Piは学校で基本的なコンピュータ科学の教育を促進することを目的として発売されたのですが、汎用性も高くそれまでのSBCより性能が良いということもあり、2016年12月時点で累計1100万台を販売するに至っています。
値段も5000円程度と安く、結構気軽に変えたこともあり、まさに「エンジニアのおもちゃ」状態でした。がじぇっとりっぷも発売当時に購入しましたし、知り合いも結構な割合で持っていました。

このRaspberry Piの大ヒット以降、Raspberry Piに似たSBCが多数登場しました。これら後発組はRaspberry Piより優れたインターフェース(GbE LANポートやUSB3.0など)を搭載するとか、より高スペックなCPUを搭載するなどで差別化を図っています。

そんな中、2016年10月に全く違うコンセプトで登場したのが今回紹介するGlobalscale Technologies社の「ESPRESSOBin」です。
Raspberry Piや後発組が、普段使うPCに近いことができるように作られているのに対し、「ESPRESSOBin」はネットワークコンピューティングに焦点を当てたSBCとなっています。

ESPRESSOBin

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スペック

比較のために、Raspberry Pi3のスペックも併記します。

model ESPRESSOBin Board Pi3 Model B
メーカー Globalscale Technologies Inc. Raspberry
発売日 2016/10 2016/03
価格 $49(1GB) / 5,576円
$79(2GB) / 8,989円
$35 / 4815円
CPU Marvell Armada 3700LP
(1.2GHz 2コア)
BCM2837
(1.2GHz 4コア)
GPU × VideoCore IV 400MHz
メモリー 1〜2GB DDR3 1GB
サポートOS OpenWrt
Ubuntu Core
Arch Linux(ARM版)
debian
yockt
Linux
(Debian、Fedora、Arch)
RISC OS
Windows 10 IoT Core
有線LAN 1GbE(LAN) x 2
1GbE(WAN) x 1
100MbE x 1
Wi-fi × 802.11b/g/n(2.4GHz)
Bluetooth × 4.1
チップ Topaz Networking Switch SMSC LAN9514
BCM43438
ストレージ SATA3.0 x 1
microSD
eMMC5.1(パターンのみ)
microSD
USB 2.0 x 1
3.0 x 1
2.0 x 4
HDMI × HDMI
(1.4 1080p/60Hz)
オーディオジャック ×
GPIO 46pin x 2 40pin x 1
その他インターフェース miniPCIe コンポジット
ビデオ/音声出力
消費電力 1W(1GHz駆動時) 7W
電源 DC 12V
microUSB
microUSB
5V/2.5A
100mm 86mm
奥行き 72mm 56mm
高さ 不明 17mm

ESPRESSOBin インターフェース

ポイント

「ESPRESSOBin」はネットワークコンピューティングに焦点を当てたSBCとなっているだけあって、玄人向けです。
まず、HDMIポートどころか、まともなグラフィックチップを搭載していないので、ディスプレイに接続することができません。USB接続で操作するか、ネットワーク越しに操作する必要があります。
また、初期状態ではシリアル接続しかできないので、USBシリアルケーブルを必要とします。
無線LANもないので、Wi-fiカードを別途用意する必要もあります。これは内蔵することで各国の技適を取得するよりも、各国の技適を取得したWi-fiカードを各自で用意したほうがトータルのコストが下がることを狙っているのではないかと勝手に思っています。

主な想定用途もまた、ネットワークコンピューティングが中心です。

「ESPRESSOBin」はSBCにしては珍しく、SATAポートを備えています。この、SATAポートは最近滅多に聞くことのなくなったポートマルチプライヤ(ひとつのSATAポートに複数のストレージを接続する規格)に対応していますので、複数台のHDDを接続して本格的なNASお構築することもできます。
USB3.0もあるので、USB HDDを使っても良いですね。
最近のNASはだいたい持っている機能のメディアサーバー的な使い方も(設定次第で)できます。

ESPRESSOBin NAS

ESPRESSOBin media server

そしてこれは他のSBCにはない特長ですが、Topaz Network Switchを搭載しています。これを活用し、様々なIoT機器のゲートウエイ/ネットワークブリッジとしての役割を担うことができます。

ESPRESSOBin camera

価格と入手法

「ESPRESSOBin」はクラウドファンディングのkickstarterでの出資受付は終わっていて、現在はAmazon.comもしくは公式サイト、そして中国の淘宝(タオバオ)の3通りの入手経路があります。
公式サイト以外はメモリ1GBモデルのみの取り扱いです。
そして公式サイトでは予約注文という形になっています。

値段は、
$49:1GBモデル
$79:2GBモデル

です。Wi-fiカードや電源アダプタは別売となっています。

まとめ

本日紹介した「ESPRESSOBin」はSBCの中でも特に癖が強いものの一つと言えると思います。正直素人にはお勧めできません。
それでも今回取り上げたのは、シングルボードコンピュータというのはガジェットの1ジャンルであるとがじぇっとりっぷでは考えているからです。
もともとは産業用や組み込み向けだったものが手軽に手に入るようになり、自分であれこれ工夫して新たな使い方を模索するというのは、ガジェット的だと思います。

「ESPRESSOBin」を購入するような層はすでにKickstarterの時点で目をつけているとは思いますが、結構遊べるんじゃないかと思います。

関連リンク

Kickstarter – Marvell ESPRESSOBin Board
公式サイト