最近記事内容が偏り過ぎている気がしてなりません、がじぇっとりっぷです。
本日のネタは、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)スタイルのSBC(シングルボードコンピューター)の新顔、Wandboard「WandPi-8M」です。
Raspberry Piスタイルというのは特に定義がないのですが、おおよそ85mm×56mmサイズで40pinのGPIOとNIC(LANポート)、USBポートを備えていれば、大体Raspberry Piスタイルと呼んでいいんじゃないかと思います。
「WandPi-8M」もこの条件に当てはまっていますので、下記スペック表ではRaspberry Pi3 Model Bと比較しています。
スペック
model | WandPi 8M | Pi3 Model B |
メーカー | wandboard | Raspberry |
発売日 | 2018年 初春 | 2016/03 |
価格 | $89(1GB+4GBeMMC) $99(2GB+8GBeMMC) $119(2GB+16GBeMMC) | $35 |
価格(日本円) | 4815円 | |
CPU | NXP i.MX8M Quad(1.5GHz 4コア) | BCM2837 (1.2GHz 4コア) |
GPU | Vivante GC7000Lite | VideoCore IV 400MHz |
メモリー | 1〜2GB DDR4 | 1GB |
サポートOS | Linux Yocto Ubuntu Android | Linux (Debian、Fedora、Arch) RISC OS Windows 10 IoT Core |
有線LAN | 1GbE x 1 | 100MbE x 1 |
Wi-fi | ×(1GB) 802.11ac(2GB) | 802.11b/g/n(2.4GHz) |
Bluetooth | ×(1GB) 4.2(2GB) | 4.1 |
チップ | Atheros AR8035 Atheros QCA9377 | SMSC LAN9514 BCM43438 |
ストレージ | microSD | |
USB | 3.0 x 1 3.0 x 1(type-C) | 2.0 x 4 |
HDMI | HDMI(2.0a 4K/60Hz HDR) | HDMI (1.4 1080p/60Hz) |
オーディオジャック | × | ○ |
GPIO | 40pin x 1 | 40pin x 1 |
その他インターフェース | MIPI CSI MIPI DSI | コンポジット ビデオ/音声出力 |
消費電力 | 7W | |
電源 | USB-C 5V | microUSB 5V/2.5A |
幅 | 85.0mm | 85.6mm |
奥行き | 56.0mm | 56.5mm |
高さ | 17.5mm | 17mm |
「WandPi-8M」の特長
公式サイトのニュースリリースでもカラムをひとつ使って丁寧に説明していますが、「WandPi-8M」は強力なグラフィック機能を備えており、4K UHD(4K/60Hz HDR)を扱うことができます。
とはいえ、実のところ最近のRaspberry PiスタイルのSBCは強力なGPUを搭載しているものも結構出ていて、Rock64 Media Board($24.95〜)やLe Potato($35〜)なんかも4K UHDの再生に対応しています。
そうなると、89ドルで4K UHDが扱えることを強調しても、コストパフォーマンスからするといまいちなんです。
では、「WandPi-8M」にはいいところはないのかというと、そんなことはありません。
がじぇっとりっぷが知る限り、Raspberry PiスタイルでUSB3.0 Type-Cを搭載してきたのは「WandPi-8M」が初めてです。
Type-C端子自体はLinaro「HiKey 960」($239)に継いで2製品目なんですけど、「HiKey 960」はUSB2.0 type-Cなんです。
しかも、もうひとつある通常(Type-A)のUSB端子もUSB3.0です。何気にUSB3.0対応の端子を2つ備えているSBCって少なくて、他にはOdroid-XU4($59)くらいなんですが、こちらはHDMIが1.4aでフルHDまでの対応となっています。
他にも、無線LANが802.11acに対応しています。これはがじぇっとりっぷがまとめている中では初めてで、他のSBCは802.11b/g/n止まりとなっています。
チップセットのスペックを見ると、MIMO 1×1対応で最大433Mbpsとなっています。802.11b/g/nだと最大150Mbpsなので、実に3倍近い速度を出すことができます。
せっかく素晴らしい特長があるのに、ニュースリリースで全く触れられていなくて、なんとももったいないなぁと。
まとめ
そもそも「WandPi-8M」は11月16日に予約を開始したばかりで、公開されている情報もほとんどありません。
公式サイトのスペック表も、ここを書いて欲しいんだけど…ってところがいくつもあります。例えば基盤図には裏面にmicroSDスロットらしきものがありますが、スペック表のどこにも登場していません。
microUSBも備えているのですが、デバッグ用となっており(シリアル通信が行えます)、ストレージへOSを書き込む時はmicroUSB経由になるものと思われますが、通常使用ができるのかも不明です。
ちなみに発売は2018年初春で、当然、日本で取り扱っているところなどありません。
とはいえ、前述した「USB3.0端子を2つ(しかも片方はtype-C)備えていて、4K UHD出力に対応、さらに無線LANは802.11ac」という強みは他にないので、(当てはまる人はほとんどいなさそうですが)メディアサーバー的な使い方をメインにSBCを探している方がいれば、候補に入れてみてもいいんじゃないでしょうか。
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