前回の記事で遊べる高機能ルーターとして「EdgeRouter X」を紹介しましたが、Twitterで他にも似たようなルーターがあるとの情報を頂いたので紹介します。
スペック
比較のために「EdgeRouter X」のスペックを併記します。
model | hEX RB750Gr3 | EdgeRouter X |
メーカー | mikrotik | Ubiquiti |
発売日 | 2016/10 | 2015/04 |
価格 | 59.95ドル | 49ドル |
価格(日本円) | 11456円 | 9999円 |
CPU | Mediatek MT7621A(2コア) (880MHz MIPS1004Kc) | |
メモリー | 256MB | 256MB DDR3 |
ストレージ | 16MB microSD | 256MB |
サポートOS | RouterOS OpenWrt | EdgeOS UNMS OpenWrt |
有線LAN | 1GbE x 5 | 1GbE x 5 |
USB | 1(2.0) | – |
消費電力 | 5W | 5W |
電源 | DC 8〜30V PoE 8〜30V | DC 12V / 0.5A 24V PoE |
PoE | – | PoEパススルー |
性能 | Routing: 64byte:1035kpps(529.9MBps) 1518byte:162.4kpps(1972.2Mbps) IPsec(AES-256-CBC+SHA256): 64byte:20.7Mbps 1400byte:359.5Mbps | 64byte:260kpps 1518byte:1Gbps |
認証 | CE | CE,FCC,IC |
幅 | 113mm | 110mm |
奥行き | 89mm | 75mm |
高さ | 28mm | 22mm |
重さ | 295g? | 175g |
特徴
CPUは「EdgeRouter X」と同じ、MediaTek MT7621ATです。MikroTikとMediaTek、紛らわしいですね。
このCPU、ルーターではよく使われているCPUのようで、ASUSやLinksys、Netgear、TP-Linkなどのエントリークラスのルーターでも採用されています。
他にも複数のLANポートを持つSBC(シングルボードコンピューター)などでも使われている事例があります。
処理能力としては互角ですが、「EdgeRouter X」にはない要素としてUSB2.0とmicroSDスロットがあります。
本体のFLASHストレージが16MBしかありませんが、ログなどをminroSDに逃がすことで容量的な問題は起こりにくくなっています。
USBにWi-fiアダプターをつないで無線LANルーター化することはできません。フォーラムでも何度か質問されていましたが、無線APを繋ぐしかないよ、という結論でした。
しかし、3G/LTEモデムなら動作するものがあるということで、技適を取得しているデバイスを検証している方がおられました。
MikroTik RouterOSで利用可能な技適があるUSB接続の3G/LTEモデムを探してみた – pirosapの備忘録
なお、USBの横にある「MODE」スイッチは、将来的に機能を割り当てるかもしれないが現状は押しても何も起こらないとのこと。
内部はこんな感じ。部品数も極力減らしており、最近主流の個体コンデンサではなく、電解コンデンサを使っているあたりにコスト削減の要素が見えますね。
OSはMikroTikが開発しているRouterOSで、linux v3.3.5 kernelがベースとなっています。
「EdgeRouter X」のEdgeOSと同じく、大概のことはできるようです。当然WebUIもありますし、SSH/telnetログインしてCUI操作もできます。
機能を見比べた限りでは、EdgeOSにできてRouterOSにできないのはmDNSくらいでしょうか。5年以上前からリクエストされているようですが、実装されていません。
また、RouterOS自体は配布もされており、例えばVMware社のESXi上にソフトウェアルーターを構築すると言ったことができるようです。
ただし、フル機能を利用するにはライセンス料を払う必要があり、無料版では機能が制限されています。
RouterOSライセンスについて – MikroTik wiki ※英語
転送速度は公称940Mbpsですが、実測でもほぼ940Mbps出ているようです。
まとめ
MikroTikは1996年に設立した、ラトビアの企業です。
1997年にはRouterOSを開発しており、20年以上の歴史を持つ古参だったりします。
2016年のデータでは売上高2億2385万ユーロ(約300億円)、純利益6624万ユーロ(約87億円)ということです。
世界最大手であるCiscoの売上高480億ドル(約5.3兆円)、純利益96億ドル(約1050億円)と比較すると吹けば飛ぶような数字ですが、国内コンシューマー向け大手のバッファロー(メルコホールディングス)のネットワーク部門の売上高が210億円(2016年度)と考えると、そこそこなのかなぁと。
MikroTik製品は過去にも国内で販売されたことがあり、2014年には「RB951Ui-2HnD」が、2016年には同社初の5GHz帯11ac対応製品「hAP AC」が秋葉原で販売されています。
そんなMikroTikの「RB750Gr3」ですが、価格はAmazonで11,456円、(多分)国内代理店のライフシードでは14,000円となっています。
なお、どちらもPSE取得アダプタは付属しません。
2018年6月29日追記:ライフシード様よりご連絡いただきました。現在はPSE取得アダプタに入れ替えているそうです。
日本語記事の数は「EdgeRouter X」と比べようもないくらい少ないですが、海外でのノウハウ記事は同じくらいのように感じます。
フォーラムなんかは活発ですので、ちょっとひねった機器を好む方にはちょうどいいかもしれません。
コメント
ご紹介ありがとうございます。株式会社ライフシードです。
現在はPSE取得のACアダプタに入れ替えてお送りしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
ご連絡ありがとうございます。
記事内に追記いたしました。