本日紹介するUbiquiti Networks「EdgeRouter X」は最新ではなく、2015年の製品です。性能に対するコスパがいいこと、やたらと評価が高いことから個人的に興味を持ったので、紹介することにしました。
スペック
model | EdgeRouter X | EdgeRouter X SFP |
メーカー | Ubiquiti Networks | |
発売日 | 2015 | |
価格 | 49ドル | 79ドル |
価格(日本円) | 9999円 | 12846円 |
CPU | Mediatek MT7621AT(2コア) (880MHz MIPS1004Kc) | |
メモリー | 256MB DDR3 | |
サポートOS | EdgeOS UNMS OpenWrt | |
有線LAN | 1GbE x 5 | 1GbE x 5 SFP x 1 |
消費電力 | 5W | |
電源 | DC 12V / 0.5A 24V PoE | DC 24V / 2.5A |
PoE | PoEパススルー | 合計出力 50W / 24V |
性能 | 64byte:260kpps 1518byte:1Gbps | |
認証 | CE,FCC,IC | |
幅 | 110mm | 142mm |
奥行き | 75mm | 75mm |
高さ | 22mm | 23mm |
重さ | 175g | 215g |
特徴
「EdgeRouter X」はPoEポートを備えた5ポートのギガビットルーターです。
「EdgeRouter X SFP」は外見としては「EdgeRouter X」にギガビットSFPを足しただけですが、電源が24V入力となり、5ポート合計50W(24V)までのPoE出力に対応しています。
見た目と大きさはそれこそ安物のスイッチングハブです。LEDも天板上に電源と各ポートのぶんがあるだけだけで、国内メーカーの発売するルーターのように、ステータスLEDがいくつも並んだりはしていません。
側面ではなく天板に並んでいるのは壁掛けを想定しているからかもしれません。
電源はDC12Vなのですが、24VのPoE(Power over Ethernet)入電も可能です。ただし、この24V入電というのは規格にはありません。
PoEにはIEEE802.3afとIEEE802.3atの2つの規格があるのですが、IEEE802.3afは44〜57Vで15.4Wまで、IEEE802.3atは50〜57Vで30Wまでとなっています。
ではどこから24Vが来たのかというと、販売元のUbiquiti Networksで24V用のPoEアダプタが売っていました。
また、PoEスプリッタという、PoEから電源を取るためのアダプタの中には、24Vを出力するものがあるようです。
「EdgeRouter X」ではeth0ポートで入電した24V電力をeth4ポートにパススルーできます。この機能はACアダプタで電源を取った際には利用できません。
OSにはLinux系のソフトウェアルーター Vyatta R6.3 をベースにした”EgdeOS”を用いていましたが、2017年にUNMS (Ubiquiti® Network Management System)というものが登場し、置き換えが可能となっています。
UNMSは複数のデバイスを一括で管理したり、スマホアプリ経由で管理したりと今風の作りになっていますがベータ版で未実装の機能も多く、一通り出揃うのは2018年4Qが予定されています。
それまでは従来通り、EdgeOSを使ったほうが良さそうです。
ファームウェアは現在も更新が続いており、最新は2018年3月21日のバージョン1.10.1となっています。
また、オープンソースのルーターソフトであるOpenWrtが「EdgeRouter X」に対応しており、OSを入れ替えることもできます。
中身の機能ですが、UNMSは未実装のものがあるのでEdgeOSベースで記載します。
ネットワーク機能は定番のNAT、802.1q VLAN、UPnP、PPPoEに加え、トンネルプロトコルとしてIP in IP、 GRE(Generic Routing Encapsulation)に対応しています。
ルーティング機能はやたらと多く、基本のRIP(Routing Information Protocol)、大規模ネットワーク向けのOSPF(Open Shortest Path First)、基幹ルーティング・プロトコルのBGP(Border Gateway Protocol)、ラベル式のMPLS(Multi-Protocol Label Switching)、MPLS網内で使われるLDP(Label Distribution Protocol)、RSVP-TE(Resource Reservation Protocol – Traffic Engineering)、MPLS網内での仮想ネットワーク構築に使われるVPLS(Virtual Private LAN Service)、経路の生存監視に使われるBFD(Bidirectional Forwarding Detection)があります。
VPNも対応プロトコルが多く、IPsec、L2TP、PPTP、OpenVPNに対応しています。
ルーターとしては持っておくべきDHCP、QoS、DDNS、DNS Forwardingなども一通り揃っていますし、ベースがLinuxなのでSSHやTelnetでログインできます。
ここまで長々と書いていますが、基本的にネットワークエンジニア以外は読み飛ばしても問題ないです。
ようは50ドルもしないのに数万円クラスの高機能ネットワーク機器並に多くの機能を備えているわけです。
それゆえに評判もよく、米Amazonでは500以上のレビューが付き、4.3と高い評価を得ています。
まとめ
Ubiquiti Networksは、アメリカ・ニューヨークで2005年に設立したネットワーク機器ベンチャーです。設立から13年目で年商も8.6億ドル、NASDAQにも上場しているので、すでにベンチャーと呼ぶべきではないかもしれませんが。
「EdgeRouter X」は本家ではすでに完売となっており、市場在庫のみの状態と思われます。
国内ではAmazonで9999円です。定価が49ドルということを考えると倍の値段は高く感じますが、販売業者が独自にPSE対応のACアダプタを同梱すること、2年間のセンドバック保証を行っていること、米国からの輸送費まで考慮するとこんなものかなと。
なお、「EdgeRouter X」については日本語情報もかなり多く、中でもyabe.jpさんが非常に詳しくまとめておられ、かつ綺麗で見やすいです。
他にも検索すればいっぱい出てくるので、気になった方は検索してみるといいでしょう。
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