2018年6月28日、NASメーカーのASUSTORが、10GbEポートを備えた低価格なNAS「AS4002T/4004T」を発売しました。
この2モデルは2018年1月の「CES 2018」、6月の「COMPUTEX TAIPEI 2018」で公開されていました。
スペック
比較として、同じく10GbE(ただしSFP+)を備えたQNAP「TS-431X2」を合わせて掲載します。
型番 | AS4002T | AS4004T | TS-431X2 |
メーカー | ASUSTER | QNAP | |
価格 | ¥32,900 | ¥45,900 | ¥52,970 |
発売日 | 2018/06 | 2018/06 | 2017/10 |
幅 | 114 | 174 | 160 |
高さ | 170 | 170 | 169 |
奥行き | 230 | 230 | 219 |
CPU | Marvell Armada-7020 1.6GHz Dual-Core | Annapurna Labs Alpine AL-214 1.7GHz Quad-Core | |
内部フラッシュメモリ | 512MB | ||
メモリ | 2GB DDR4 | 2GB/8GB DDR3 | |
最大メモリ | × | 8GB | |
ホットスワップ | ○ | ||
SSD対応 | ○ | ||
NIC (1GbE) | 2 | ||
NIC (10GbE) | 1 | 1(SFP+) | |
LA/PT | ○ | ||
USB2.0 | – | ||
USB3.0 | 2(Gen1) | 3 | |
USB type-c | – | ||
eSATA | – | ||
PCIe | – | ||
SDカード | – | ||
HDMI | – | ||
4K対応 | – | ||
DisplayPort | – | ||
S/PDIF | – | ||
ライン出力 | – | ||
スピーカー | – | ||
赤外線 レシーバー | × | ||
ハードウェア 暗号化 | ○ | ||
ハードウェア アクセラレーション | × | ||
IPカメラ (無償) | 2 | ||
IPカメラ (最大) | 30 | ||
仮想化 (VMWare) | × | ||
仮想化 (Windows) | × | ||
仮想化 (Citrix) | × | ||
仮想化 (OpenStack) | |||
仮想マシン (VirtualBox) | × | ||
仮想マシン (Docker) | ○ | ||
対応RAID | 0/1 | 0/1/5/6/10 | 0/1/5/6/10 |
ファイルシステム | EXT4 | EXT4 | EXT4 |
システム ファン | 70mm x 1 | 120mm x 1 | 120mm x 1 |
ノイズレベル | 18.6dB | 19.7dB | 19.5dB |
Wi-fi | USBアダプタ | USBアダプタ | USBアダプタ |
消費電力 | 19.5W | 31.5W | 26.19W |
重さ | 1.6kg | 2.2kg | 3kg |
DTCP+ | |||
DTCP-IP | × | ||
DLNA | – | ||
iSCSIターゲット | 64 | ○ | |
iSCSI LUN | 64 | ○ | |
ユーザー数 | 4096 | 4096 | |
グループ数 | 512 | 512 | |
並列接続数 | 512 | 1500 | |
共有フォルダ | 512 | 512 | |
スナップショット | 256 | ○ | |
read性能 | 1014 | ||
write性能 | 580 | ||
read性能 (暗号化) | 357 | ||
write性能 (暗号化) | 321 | ||
備考 | 3年保証 |
特徴
「AS4002T/4004T」に搭載されているCPUはMARVELL社の”Armada-7020″で、ARM Cortex-A72のデュアルコアです。
もともとゲートウェイ製品、NAS製品向けに設計されたもので、チップ内にグラフィック機能が含まれていません。
そのため、「AS4002T/4004T」にもHDMIなどのグラフィックポートがありません。
また、内部的にはSATAが2ポートしかないので、「AS4004T」ではPCIe→SATA変換で4ポートにしているものと思われます。
製品の動作周波数は1.4GHzなので、1.6GHzの「AS4002T/4004T」は若干のオーバークロックがされているようです。
「AS4002T/4004T」最大の特徴でもある10GbEについてもチップ内にコントローラーが内蔵されています。
カテゴリ6eの市販ケーブルで接続できるため、安価に高速ストレージを構築することができます。
コントローラー上では10GbE + 1/2.5GbE x2 となっていますが、2.5GbEとしての機能はオフにされているのでしょうか。
「AS4002T/4004T」の製品ページでは10GbE単体での使用と、1GbE x3としてのリンクアグリケーションが紹介されていますが、コントローラー自体は12Gbpsまで対応しているので、もしかすると10GbE+1GbE x2もできるかもしれません。
CPUについてはこのくらいにして、筐体に目を向けると、見た目はASUSTORのエントリー向け製品と変わりありません。
ダイヤモンドカットスタイルが面白いですが、サイドも僅かに膨らんでいるので、複数台並べると隙間が空きます。見栄えは悪くなりそうですがエアフロー的にはありなんでしょうか。
前面パネル(マグネット式で防塵パネルとなっています)を外すと、簡単にドライブトレーにアクセスできます。
HDDもツールレスで取り付けができるようになっています。
「AS4002T/4004T」より下のモデルでは筐体を開けて、スチールのトレーにネジ止めしてまた組み立てるので、「AS4002T/4004T」は低価格ながらもミドル寄り(もしくはミドルクラスの下の方)と呼べるようです(10GbEがある時点でエントリーモデルとは言えませんが)。
正面左には電源ボタンを一番上に、電源・システム・ネットワーク・USB・ディスクごとのアクセスと、結構な数のLEDが並んでいます。
LEDナイトモードというものがあるようなので、光量を落とすか光らなくすることができるようです。
昔は黒のビニールテープを貼ったものでした。
LEDライトとUSB端子の間にあるボタンについては不明です。他の製品も見てみたのですが、同じようなボタンのあるモデルが見当たりませんでした。
背面はUSBポートとLANポート、電源のみです。下部にコードブラケットがついており、ここを通しておくことで不意に電源コードが抜けることを防げます。
この画像だとサイドが膨らんでいるのがわかりますね。
ソフトウェア面では、ADM(ASUSTOR Data Master) 3.1以降をサポートしています。記事執筆時点でのADMの最新バージョンは3.1.4です。
仮想化についての記載はありませんでしたが、CPU的には仮想化対応しているため、Dockerはいけそうな雰囲気です。
VirtualBoxはCPUがARMであることとメモリ面で厳しいかもしれません。
とはいえ、wordpressを立てたり、ちょっとしたwebサーバーやDBサーバー程度なら問題ないと思われます。
モバイルアプリですが、用途ごとに用意されており、全部で8種類あります。多すぎですね。
この中の”AiMaster”というのがNAS管理用のアプリとなるようです。
また、外部バックアップについても複数のクラウドストレージに対応しています。
面白いのがコールドバックアップ(ASUSTORではMyArchiveと呼んでいます)ができる点で、HDD自体をストレージアーカイブとして取り出し・保管ができます。
まとめ
「AS4002T/4004T」は10GbEポートを備えながら価格が32,900円/45,900円と非常に安価です。
マルチメディア機能こそないものの、NASとしての機能はフルで備えていて、SOHOの現場などでは非常に重宝しそうです。
ただし、メモリが2GBと固定であるため、大量のアプリを並列稼働させる用途(内部でWebの開発環境を複数動作させるとか、社内wiki、チャット等をいくつも動かすとか)にはあまり向いていません。
“高速な外部ストレージ”をメインとして考えるべきでしょう。
上記のような複数のアプリの稼働を兼任させるのであれば、値段帯がひとつ高い上に10GbE規格がSFP+となりますが、メモリ増設が可能なQNAP「TS-431X2」を検討したほうがいいかもしれません。
10GbEは未だ普及曲線で言うところの”イノベーター”を過ぎて”アーリーアダプター”にさしかかったくらいの段階です。
家庭内でオール10GbE環境を整えようと思うと、10GbE対応スイッチはようやく4万円を切るくらい、PC側につけるNICも1万円超えとまだまだハードルは高いです。
それでもこうして10GbEを持った安価なデバイスが増えることは普及に向けての着実な一歩となるので、今後も10GbEポートを搭載したNASをバンバン出してほしいものです。
関連リンク
AS4002T – ユニスター
AS4004T – ユニスター
AS4002T – CFD販売
AS4004T – CFD販売
※公式サイトは何故か消滅しています
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