2018年8月17日、NASメーカーのQNAPが、ホーム/SOHO向けモデルとして初めてPCIeスロットを搭載したIntel CPU搭載モデル「TS-251B」を発表しました。
2018年11月20日追記:当モデルについて機材をお借りし、レビューいたしました。
第1回:[レビュー] QNAP「TS-251B」を試用してみました [ハードウェア編]
第2回:[レビュー] QNAP「TS-251B」を試用してみました [ソフトウェア編]
第3回:[レビュー] QNAP「TS-251B」を試用してみました [拡張カード編]
スペック
筐体が共通となる「TS-253Be」と、型番上前世代となる「TS-251A」のスペックを併記します。
型番 | TS-251B | TS-253Be | TS-251A |
メーカー | QNAP | ||
価格 | 38,000円 | 53,900円 | 43,100円 (販売終了) |
発売日 | 2018/09 | 2018/02 | 2016/10 |
幅 | 105 | 102 | |
高さ | 226 | 219 | |
奥行き | 168 | 169 | |
CPU | Intel Celeron J3355 2.0GHz Dual-Core | Intel Celeron J3455 1.5GHz Quad-Core | Intel Celeron N3060 1.6Gz Dual-Core |
内部フラッシュメモリ | 4GB | 不明 | 4GB |
メモリ | 2GB/4GB SO-DIMM DDR3L-1866 | 2GB/4GB SO-DIMM DDR3L-1866 | 2GB SO-DIMM DDR3L-1600 |
最大メモリ | 8GB | ||
ホットスワップ | ○ | ||
SSD対応 | ○ | ||
NIC (1GbE) | 1 | 2 | |
NIC (10GbE) | オプション | – | |
LA/PT | ○ | ○ | |
USB2.0 | 3 | – | – |
USB3.0 | 2 | 5 | 3 1(microB) |
USB type-c | – | ||
eSATA | – | ||
PCIe | 1(2.0 x2,ロープロ) | – | |
SDカード | – | 1 | |
HDMI | 1.4b x1 | 1.4b x2 | 1 |
4K対応 | 4K/30Hz | ||
DisplayPort | – | ||
S/PDIF | – | ||
オーディオジャック | 3(in x2/out) | 2(in/out) | |
スピーカー | 1 | – | |
赤外線 レシーバー | ○ | ||
ハードウェア 暗号化 | ○ | ||
ハードウェア アクセラレーション | 不明 | ○ | 不明 |
IPカメラ (無償) | 8 | 4 | 2 |
IPカメラ (最大) | 128 | 40 | 32 |
仮想化 (VMWare) | 不明 | ○ | |
仮想化 (Windows) | 不明 | ○ | |
仮想化 (Citrix) | 不明 | ○ | |
仮想化 (OpenStack) | 不明 | ○ | |
仮想マシン (VirtualBox) | ○ | ||
仮想マシン (Docker) | ○ | ||
対応RAID | 0/1 | ||
ファイルシステム | EXT4 | ||
システム ファン | 70mm x 1 | ||
ノイズレベル | 17.3dB | 16.7dB | 18.3dB |
Wi-fi | USBアダプタ | ||
消費電力 | 15.25W | 20.42W | 16.2W |
重さ | 1.53kg | 1.66kg | 1.28kg |
DTCP+ | |||
DTCP-IP | × | ||
DLNA | ○ | ||
iSCSIターゲット | ○ | ||
iSCSI LUN | ○ | ||
ユーザー数 | 不明 | 4096 | |
グループ数 | 不明 | 512 | |
並列接続数 | 不明 | 800 | 700 |
共有フォルダ | 不明 | 512 | |
スナップショット | 1024 | ||
read性能 | 647 | 671 | 194.5 |
write性能 | 519 | 615 | 211.88 |
read性能 (暗号化) | 615 | 225 | 194.94 |
write性能 (暗号化) | 320 | 225 | 209.13 |
備考 | 65W ACアダプター read/writeは10GbE時 | 65W ACアダプター |
特徴
「TS-251B」は型番だけ見れば「TS-251A」の後継となるのですが、筐体は中小企業向けモデルの「TS-253B/TS-253Be」を流用しています。
そのため、ホーム/SOHO向けモデルとして初めてPCIeスロット(ロープロファイル)を搭載しています。
最近のQNAPは「QNAP QM2 カード(要はQNAP純正のPCIeボードの事です)」を推しており、決め打ちスペックが当たり前だったNASに拡張性をもたせる方向にシフトしています。
PCIeスロット付きは中小企業向けハイエンドから始まり、下位のミドルレンジにも搭載されるようになりましたが、今回はホーム/SOHO向けミドルレンジにきたということで、今後はPCIeスロット付きが当たり前になっていくと思われます。
QNAP純正PCIeボード(QM2カード)は結構な種類が発表されていますが、「TS-251B」はPCIeバージョンとレーンがPCIe2.0 x2(片方向1GB/s、双方向2GB/s)かつロープロファイルスロット(ブラケット長80mm)ということで、対応するボードが限られています。
現状では下記の3種類となります。
QM2-2S | デュアルM.2 22110/2280 SATA SSD |
QM2-2S-220A | デュアルM.2 22110/2280 SATA SSD |
QM2-2S10G1T | デュアルM.2 2280 SATA SSD シングルポート 10GbE |
M.2 SSD増設ボードは、速度の早いNVMeではなく、SATAとなります。NVMe対応ボードも行けるとは思いますが、1500MB/sとか出るNVMe SSDを搭載しても性能が全く発揮できないですし。
10GbEについても、1GB/s=8Gbpsということで、性能をフルに発揮することはできません。
PCIeから離れて本体についてですが、CPUはCeleron J3355です。2コア2スレッドということで、やや非力な部類のものになります。
ベンチマークのPassmarkではシングル:853、マルチ:1229となっており、「TS-253Be」に搭載されるCeleron J3455(シングル:776、マルチ:2141)の6割程度(マルチ比)となっています。
懐かしのCore 2 Duo T7500(10年前!)がシングル:768、マルチ:1273とほぼ互角の数値ということから、性能が想像できますね。
NASとしては十分ですが、昨今の多機能化に伴う複数の機能やアプリを十全に稼働させるには厳しいと思います。
インターフェースも「TS-253Be」の劣化版とも言えるものです。上が「TS-251B」、下が「TS-253Be」となります。
USBポートは「TS-251B」「TS-253Be」ともに合計5ポートですが、「TS-253Be」は全ポートUSB3.0だったものが「TS-251B」は2ポートがUSB2.0となっています。
HDMIとLANポートもひとつづつに削減されています。
これ、PCIeスロットがなかったらミドル下位扱いされても文句が言えないですね。
ちなみにTOP画像はHDDを引き出していますが、前面のカバーパネルは左側面から外せるようになっています。
まとめ
ホーム/SOHO向け初のPCIeスロット付きとなる「TS-251B」ですが、記事執筆時点で価格は公表されていません。
現行の「TS-253Be」がメモリ4GBモデルで53,900円(税込)なので、実質劣化版とも言える「TS-251B」は4GBモデルで4万円台前半、2GBモデルなら4万円を切るくらいになるんじゃないかと予想しています。
これより高いようなら「TS-253Be」を買うことをおすすめします。
※2018年9月25日追記:2018年9月21日に国内発売が開始されました(販売ページ)。2GBモデルで税込み38,000円なのでほぼ予想通りとなります。
ここまで劣化版だの非力だのと言ってきましたが、メモリは最大8GBまで搭載できるので、機能を絞って使う分には快適に使えるんじゃないでしょうか。
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