2018年10月9日、SBC(シングルボードコンピューター)やミニボードのメーカーであるFriendlyELECより、ラズパイの半分強の大きさでありながらRockchip RK3399を搭載する、「NanoPi NEO4」が発売されました。
スペック
model | NanoPi NEO4 |
メーカー | FriendlyElec |
発売日 | 2018/10 |
価格 | 45ドル |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3399(6コア) (A72 x2 + A53 x4) |
GPU | Mali-T864 |
メモリー | 1GB DDR3-1866 |
サポートOS | FriendlyDesktop 18.04 FriendlyCore 18.04 Android 7.1.2 / 8.1 Lubuntu 16.04 Aembian 3rd |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | 802.11b/g/n |
Bluetooth | 4.0 |
チップ | AP6212 RTL8211E |
ストレージ | eMMC microSD(〜128GB) |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 1 2.0 x 1(Type-C) 2.0 x 1(pin) |
GPIO | 40pin x 1 8pin x 1 |
映像 | HDMI(2.0 4K/60Hz) |
カメラ | MIPI-CSI x 1 |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | UART |
消費電力 | |
電源 | USB-C 5V /3A |
幅 | 60mm |
奥行き | 45mm |
高さ | |
その他 | 30.25g アンテナ1本付 |
特徴
「NanoPi NEO4」の特徴は、その大きさです。
ご覧の通り、Raspberry Piの半分強の大きさしかありません。
初期の頃の「Firefly-RK3399」や「RockPro64」なんかがクレカ2枚分(≒Raspberry Pi 2枚分)の大きさだったことを考えると、1/4に近いサイズにまでコンパクト化したことになります。
多彩なインターフェースを持つSoCで、ハイスペックゆえの排熱の問題から、RK3399搭載機はクレカサイズ(≒Raspberry Piサイズ)が限界だろうなぁと思っていただけに、この大きさにまとめてきたことは驚きました。
もちろん、狭いゆえの弊害も多くあります。
まずはメモリが1GBしかないことです。
「NanoPi NEO4」では裏表で1枚ずつ、計2枚のメモリチップが搭載されています。合わせて1GBなので4Gbit DRAMチップですね。
「NanoPC-T4」や「NanoPi M4」に使われているメモリチップと比べると、半分の大きさというあまり見かけないチップが使われているので、8Gbit DRAMや16Gbit DRAMチップがなくて1GBメモリにならざるを得なかったのかもしれません。
インターフェースもかなり絞られています。
USBはかろうじて3ポート+ピンヘッダを確保していますが、MIPI-CSIはひとつだけですし、MIPI-DSIやeDPなどは実装されていません。
ついでに言うと、LANポートとUSBポートは基板を盛大にはみ出しているので、幅60mmはちょっと嘘つきなところがあったりします。
実際は65mmくらいになるんじゃないでしょうか。
電源はUSB Type-Cからの供給となり、5V@3Aです。
RK3399はフルロード時の消費電力が12V@0.6A(≒7.2W)とされており、5V換算で1.44Aに相当します。そこにUSB3.0が900mA、USB2.0は500mA、Wi-fiがだいたい100mA弱となり、この時点で2.94Aとギリギリです。
メモリや他LANポート他、細々としたものは10mAとかのレベルですが、まるっと100mAくらいでしょうか。
この時点で3Aを超えるので、HDMI出力まで入れたら完全に足りていません。PCIeなんて以ての外ですね。
実際は常時フルロードではありませんし、USB出力も上限まで使うのはスマホ充電くらいでしょう。Wi-fiと有線LANを同時運用することもまれだと思うので、そうした結果5V@3Aで収まることになります。
逆に言えば、フルに動かそうとすると電源不足で落ちる可能性があるということです。
「NanoPi NEO4」を使うときはその点に留意しておく必要がありそうです(同じ問題はmicroUSB給電の「NanoPi M4」にも言えますね)。
ストレージはmicroSD(最大128GB)とeMMCです。
ソケットにeMMCを挿入した状態が上の画像となります。HDMI端子の上にかぶさるように、狭い面積をうまく活用しています。
ヒートシンクは「NanoPi M4」とお揃いのデザインです。
パッケージは本体とアンテナのみ。ちなみに無線LANは802.11 b/g/nなので2.4GHzのみとなります。
電源アダプタやヒートシンク、eMMCなどは別売となります。
まとめ
「NanoPi NEO4」はRK3399を搭載しながら限界までコンパクトにしたSBCです。
削られたものも多いですが、価格も削られて45ドル(約5000円)という脅威の安値となっています。
まぁ、値段のかなりの部分がメモリチップ代であることを考えると、1GBメモリな「NanoPi NEO4」がこの値段なのは理解できますが。
もしも2GB版が登場できたとしたらプラス15ドルで60ドルといったところでしょう。
これは「RockPro64」の2GB版(59.99ドル)と同じ水準となります。
ヒートシンクは5.99ドル、5V@4A(やっぱり3Aだと不安なんでしょうか?)な電源アダプタは8.99ドル、16GB eMMCが12ドルです。
発売前レビューによると、常時アイドルにするつもりじゃなければヒートシンクは必須、5V@3Aでなく5V@4Aアダプタ推奨とのことでした。
FrienlyELECはサポートも充実しており、Wikiには各OSのインストール手順やOpenCVの使い方などが丁寧に説明されていますし、OSのイメージファイルもすでに公開されています。
安値ということもあり、メモリが少ないことに目をつぶれば、とりあえずの一台にちょうどいいんじゃないでしょうか。
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コメント
>ダイ面積が半分というあまり見かけないチップが使われているので、
型番からチップサイズ情報を入手されたのかもしれませんが、パッケージサイズ≠チップサイズです。
後は
基盤ではなく、基板です。
コメントありがとうございます。
ご指摘を受け、表現を修正いたしました。
専門っぽい用語を使おうとするとボロが出てしまいますね…