初出は2016年9月とちょっと(というか、かなり)古いSBC(シングルボードコンピューター)なのですが、現在でもミドルクラスのスペックとPCIeスロットを備えるという面白いSBC、HiHope「Poplar(Hoperun)」を見つけたので紹介します。
スペック
model | Poplar(Hoperun) |
メーカー | Hihope |
発売日 | 2016/08 |
価格 | 79ドル(1GB) 99ドル(2GB) |
価格(日本円) | |
CPU | HiSilicon Hi3798C V200 (2.0GHz A53 x4) |
GPU | Mali T720 |
メモリー | 2GB DDR3 |
サポートOS | Android 5.1.1 Debian |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | 802.11ac 2×2 |
Bluetooth | 4.1 |
チップ | |
ストレージ | 8GB eMMC microSD |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 1 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI(2.0a 4K/60Hz) |
カメラ | × |
オーディオジャック | ○ S/PDIF |
その他インターフェース | PCIe Gen2 x8 TS Connector SmartCard connector UART console(microUSB) JTAG(8pin) IR receiver |
消費電力 | |
電源 | DC 12V/2A |
幅 | 160mm |
奥行き | 120mm |
高さ | |
その他 |
特徴
SoCの「Hi3798C V200」は、HiSilicon社がSTB(セットトップボックス)向けに開発し、2015年9月に発表したもので、HiSilicon社のサイトでは”High-end Hybrid UHD chipset”と銘打たれています。
CPU部は4コアのCortex A53、GPU部にはMali T720という、当時としてはハイスペックな仕様となっています。
2015年9月といえばぎりぎりAndroid5.1の時代で(Android6.0が2015年10月)、その頃にHDMI2.0a、4K再生、HDR再生に対応していたということからも、当時としては最新のスペックだったことが分かります。
また、公式のデータシート(※pdf)でも、記述の半分くらいが音楽/映像に関することという点からも、SoCの立ち位置が映像系に寄っていることが伝わってきます。
そんなSoCを搭載する「Poplar」は、2GBメモリ、8GB eMMCと現在で言えばミドルクラスのスペックとなります。
インターフェースは一部を除いてシンプルで、音楽/映像系としてHDMI(2.0a)、S/PDIF、ヘッドホンジャックを備えるほかは、USB3.0×1、USB2.0×1、GbE LANポート、SDカードなどとなっています。
Wi-fiはこの時代のものとしては珍しく、802.11 ac(2×2)を搭載しており、最大866Mbpsでの通信に対応しています。
そんな中で異様を放っているのがPCIeスロットとTS(Transport Stream)コネクタ、スマートカード拡張コネクタです。
他にPCIeスロットを備えたSBCは、がじぇっとりっぷの知る範囲では「RockPro64」くらいなので、かなり珍しいですね。
PCIeスロットについては説明不要かと思いますが、「Poplar」にはPCIe Gen2 x8スロットが搭載されており、一般的なPCIeボードを装着することができます。
エッジがふさがっているので、PCIe x16ボードを装着するには加工が必要です。
TSコネクタにはチューナーボードなどを拡張できるようです(上の画像)。ブロックダイアグラムの右上部分、「TS in x6 or〜」というのがこのコネクタにあたるようです。
拡張ボードの実売はされていないようで、見つかりませんでした。
また、スマートカード拡張コネクタに至っては、説明も見つかりませんでした。
なお、背面には何もありません。
パッケージ(Taobao版)には電源アダプタやリモコンが同梱されています。
リモコン付きな辺りがTV Boxっぽいですね。
一方、Tocoding Technologiesが代理店となって販売しているAliExpressでは電源アダプタやリモコンは別売となっていますが、多機能リモコンとなっています。
まとめ
「Poplar」を開発したHiHope社は、ARM系CPUのLinuxカーネルなどを開発する非営利組織「Linaro」に参画しており、「Poplar」はLinaroのIoT向けオープン規格「96Boards」シリーズの、TVプラットフォームの最初の製品として名を連ねています。
HiHope社については「Hikey 960/970」の開発元と言ったほうが、SBC界隈では通じやすいでしょうか。
価格については1GB版がAliExpressで79ドル(約8,800円)、2GB版がTaobaoでリモコンや電源アダプタ等を同梱して800元(約13,300円)となっています。
「Poplar」は対応OSがAndroid5.1.1となっていますが、実際にはAndroid TV向け開発用という立ち位置のようです。
ただ最近のAndroid TVは音声操作もできたりするので、「Poplar」では力不足かもしれません。
それでもPCIeスロット搭載という尖った特徴を持っているので、PCIeを使って遊ぶには全然アリかと思います。
関連リンク
製品ページ – HiHope
製品ページ – 96boards
プレスリリース – 96boards
ドキュメント – GitHub
ユーザーマニュアル – Github
Hi3798C V200 Data Sheet – Hisilicon ※pdf
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