がじぇっとりっぷではPCを購入するごとにUSBメモリにバックアップをとっているのですが、最近は数が増えてきて管理が面倒なこと、1台に一本使っていると空き容量がもったいないことなどから、大容量のUSBストレージを検討していました。
USBメモリは容量が大きくなってもシーケンシャルで100〜130MB/s程度しか出ないので、USB SSDも視野に入れて探したのですが、そこそこのお値段がします。
結果、裸のSSDを買ってきて外付けケースに入れるのがコストパフォーマンスが良さそうという結論になりました。
がじぇっとりっぷは外付けUSB HDD用として3.5インチ用のAOTECH「AOK-35ALCASE-U3BK」を所有していますが、ケースを開け閉めに多少手間がかかること、毎回電源ケーブルをつなぐのが面倒なことから、玄人志向から出ている2.5インチ用のUSB HDDケース「GW2.5OR-U3」を購入しました。
購入の決め手はUSB3.0対応製品の中でショップで一番安かったから、という身も蓋もない理由です。
GW2.5OR-U3
GoodPoint
✔ とにかく安価
✔ 組み立てが簡単
✔ そこそこのシーケンシャル速度
BadPoint
✖ microUSB3.0端子がマイナー
✖ 4Kランダムが遅い
外観
パッケージは本体、USBケーブル(約50cm)、マニュアルの他に、2.5インチストレージの厚さに応じたスポンジが入っています。
本体とUSBメモリの大きさ比較。
体積比で10倍以上の差があります。
USB端子は最近はだいぶ減ってきた感のあるmicroUSB 3.0です。
現在でも量販店での取り扱いはほとんど見ないので、今後、ケーブルの入手性が悪くなることが予想されます。
ケースの蓋はスライド式になっていて簡単に開けられます。
基板が見えないように工夫されていますね。
2.5インチSSDをはめ込んだところです。
端子の部分にはほんの少しだけ遊びがあって、ひっくり返すとSSDの高さ分ほど端っこが下がるので、取り出しも難しくありません。
ベンチマーク
ケースとしての限界を測るという目的から、今回は2.5インチSSDを使用します。
また、SSDによる差も確認するため、性質の異なる2種類のSSDで計測しました。
ベンチマークの計測に使用したのはDELL「Optiplex 5050」です。
TOP画像ではノートPCに接続していますが、計測には使っていません。
SSD
ひとつ目のSSDはHP印のSeagate「600 Pro SSD」です(画像は使い回しです)。
2013年6月製造と古いものになりますが、データセンター向けのハイエンド品です。
外観はアルミケースで重厚感があり、ハイエンド感が漂います。
CrystalDiskMarkでは使用時間14,000時間弱と、かなり使われています。
24時間365日稼働なサーバー用途であれば18ヶ月強ですが、電源投入回数が多いので、業務用PCかワークステーションあたりで使われたものと思われます。
もうひとつは現行品最安値クラスとなるCFD「CSSD-S6B240CG3VX」です。
プラスチック筐体は軽く、持った感じの重さは「600 Pro SSD」の半分以下です。
エントリー品だからか、CrystalDiskMarkの項目がやたらと少ないです。
スペックを比較すると以下のようになります。
モデル名 | 600 Pro SSD | CSSD-S6B240CG3VX |
購入価格 | 2,238円 | 2,786円 |
容量 | 240GB | 240GB |
NAND | 東芝製MLC | 3D TLC |
リード | 520 MB/s | 550 MB/s |
ライト | 450 MB/s | 510 MB/s |
ランダムリード | 85,000 IOPS | 82,000 IOPS |
ランダムライト | 11,000 IOPS | 89,000 IOPS |
TBW | 134TBW | 70TBW |
MTBF | 不明 | 200万時間 |
スペック的には近いですが、NANDがMLC(Multiple Level Cell)か3D TLC(Triple Level Cell)かという大きな違いがあります。
詳細は書きませんが、セルあたりの書き換え可能回数、耐久性がまったく異なっています。
「600 Pro SSD」のランダムライトが低いですが、「作業負荷I/Oレベルに基づいて消費電力を自動調整する」機能によるものだそうです。
後述するベンチマーク結果を見てもあまり低さは感じられません。
ネイティブ
まずは内部のSATAに繋いで、本来のパフォーマンスを計測しました。
600 Pro SSD
シーケンシャルリード・ライトともに公称以上の速度となっています。
6年前のものとは思えないくらい快調に動いています。
CSSD-S6B240CG3VX
シーケンシャルリードは公称以上となっていますが、シーケンシャルライトがやや届いていません。
USB
600 Pro SSD
CSSD-S6B240CG3VX
USB接続ではちょっと面白い結果になりました。
シーケンシャルではリード・ライトともに「600 Pro SSD」が上回っています。
USB3.0は規格上5Gbps(625MB/s)ですが、8b/10b(8ビットのデータを10ビットのデータに変換して転送)という転送方式をとっているため、実データ的には4Gbps(500MB/s)が上限です。
さすがにそこまでは無理にしても、400MB/sいけば上々かなと思っていたので、「600 Pro SSD」のシーケンシャル速度はぎりぎり及第点といったところです。むしろ980円のケースにしては頑張っていると言えるでしょう。
一方で、4Kランダムの数字はネイティブ接続と比べてかなり落ち込んでいます。
気になるところではありますが、そもそもの用途がノートのイメージを取ってバックアップする(=シーケンシャルが中心)ことなので、まぁ980円だしと割り切れる範囲ではあります。
まとめ
SSD+ケースにした結果、GB単価は13.4〜15.7円となりました。480GBとかもっと大きな容量にすれば、この数字はもうちょっと下がります。
これまで使っていた32GBのUSBメモリはだいたい800円(GB単価25円)だったので、だいたい半分になりました。
240〜256GBクラスだとUSBメモリでも最安値で3,000円(GB単価12円)くらいなのでGB単価は変わりませんが、速度が得られた分良かったかなと。
ただ、場所的にはUSBメモリ10本分くらいのスペースを取るので、速度とのトレードオフで割り切れるかどうかになります。
速度もコンパクトさも欲しいとなるとM.2 SSD+M.2用ケースになるわけですが、今度はコストがかさむようになるので、結局は速度・サイズ・価格のどれかを諦めざるを得ません。
この3者のバランスが取れた外付けストレージが出たら嬉しいのですが、無理だろうなぁ・・・
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