2020年1月29日、ASRockのサーバー/ワークステーション向けブランドASRock Rackから、Ryzenベースで構成が変態的なサーバーグレードのMini-ITXマザーボード「X570D4I-2T」が登場しました。
スペック
モデル名 | X570D4I-2T |
---|---|
メーカー | ASRock |
規格 | Mini-ITX |
対応CPU | Ryzen (第2世代、第3世代、〜105W) |
CPUソケット | Socket AM4 |
チップセット | X570 |
対応メモリ | DDR4 SO-DIMM x 4(最大64GB) |
ECC対応 | ○ |
拡張スロット | PCIe4.0 x16 |
SATA | 8 (OCuLink経由) |
M.2 | 2280 x 1 (PCIe4.0対応) |
イーサネット | 10GbE x 2 (Intel X550-AT2) 1GbE x 1 (Realtek RTL8211E) |
グラフィック | ASPEED AST2500 (DDR4 16MB) |
リアインターフェース | D-Sub x 1 USB3.2 Gen2 x 2 |
内部インターフェース | COMヘッダ x 1 USBヘッダ x 1 (USB3.0 x 2) スピーカーヘッダ(4pin) x 1 TPMヘッダ(13pin) x 1 IPMBヘッダ x 1 電源(8pin+4pin+4pin) |
BIOS | 32MB AMI UEFI Legal BIOS |
モニター | CPU/メモリ温度 MB/カード温度 ファンコントロール 電圧 |
環境 | 動作時:10〜35° 非動作時:-40〜70° |
特徴
「X570D4I-2T」は前述の通り、サーバー向けのマザーボードです。
この手のものはIntel Xeon向けが主流で、最近はAMD EPYC向けが登場していますが、Ryzen向けというのはそれほど多くありません。
Mini-ITXフォームファクタとなると、もっと数が絞られます。
そんな中でポンと出てきたというか、見つけたのが「X570D4I-2T」です。
チップセットにX570を搭載し、CPUはTDP105Wまでの第2世代と第3世代Ryzenが使えます。
中身についてはこれがまた変態すぎる構成で、自作ユーザーならTOP画像を見て違和感しかなかったんじゃないでしょうか?
まず、Mini-ITXなのにメモリスロットが4本あります。
まぁこれ自体はサーバーグレードだとよくあることなのですが、パーツショップなどでは早々お目にかかることはありません。普通は2本です。4本あるのを見つけた日には小躍りします。
スペック上では最大64GBとなっていますが、「Ryzen+メモリ128GBで組んでみた」な話は先例が結構あるので、BIOSさえ対応していれば出来るんじゃないかと思っています。
ちなみに、メモリに関して一番変態的なのは同じASRock Rackの「EPC621D6I」で、裏側に2本のスロットをつけることで、最大6枚の対応となっています。
参考:EPC621D6I:ASRock Rack
もうひとつの大きな変態ポイントが、デュアル10GbEです。
コントローラーチップはIntel X550-AT2です。X550-AT2は2015年に登場した、「枯れた」コントローラーなので、ドライバも成熟しています。
悪名高きX540-T2(X540-AT2)と違って発熱も抑えられています。
Mini-ITXに10GbEを搭載する例はXeon向けの「D2143D4I2-2T」「D2163D4I2-2T」や、がじぇっとりっぷでも紹介したオンボードCPUタイプの「IPC-FP5V-10GE」「IPC-FP5R-10GE」などがあります。
LANポートはもうひとつありますが、こちらは管理用で、BMC(ベースボードマネジメントコントローラ)にASPEED AST2500、IPMI(Intelligent Platform Management Interface)対応コントローラーにRealtek RTL8211Eを使っています。
BMC/IPMIは数百台・数千台規模のサーバー群を効率的に管理するには必須の機能で、かつ、チップ側のマイコンで処理が完結するのでCPUリソースを消費しないという利点があります。
さらにBMCは画面出力が可能なため、Windows系などGUIメインなサーバーも集中管理できます(ただしGeForceとかQuadroとかのグラボをつなぐと使えなくなる)。
PCIeスロットはPCIe4.0 x16対応となっています(CPUが対応している必要があります)。
今のところ、PCIe4.0対応拡張カードはほとんどがSSD増設カードばかりですが、推論用AIプロセッサ搭載カードなども存在はしています。
参考:Habana Labsの推論用AIプロセッサー搭載PCIeカードがPCI-SIGの認証を獲得:EDA EXPRESS
ストレージはPCIe4.0対応のM.2 2280スロットがひとつと、SATAが8ポートです。
SATAポートはオンボードではなく、OCuLink経由となります(4ポート用が2つついています)。
純粋なサーバー用マザーボードなので、インターフェースは簡素です。HDMIすらついていません。
グラフィックなしCPUが想定されているので、VGA出力は前述のASPEED AST2500が担っています。
USBはUSB3.2 Gen2対応が2ポートですが、USB3.0×2のピンヘッダが用意されています。
また、残念ながらWi-fiカードスロットはありません。
背面はバックプレートのみとなっています。
まとめ
「X570D4I-2T」は記事執筆時点では一般向けの販売は見当たらず、価格も出ていません。
10GbEが乗ると価格が跳ね上がるので、10万円超えもありえます。
2020年2月9日追記:読者の方よりコメントをいただき、オーストラリアのWireless Professional Solutionsというショップで予約価格が公開されていました。価格は709.5オーストラリアドル=約52,000円です。…なんか安くない…?
ASRockは変態的な製品を出すことで有名で、がじぇっとりっぷ的にはMini-ITXにこれだけ載せてくる「X570D4I-2T」も十分変態だと思っていたのですが、どうも世間では違うようで。
ASRockファンにとっての変態はDDR3/DDR4両対応だったり、規格違いのCPUが乗ったり、今の御時世にAGPをつけるようなことを言うらしく、この程度では「真面目」あるいは「真面目な変態」扱いとなっていました。
…たしかに昔は変態の方向性が違っていましたね…
とはいえ、これだけの構成はコンシューマー向けではなかなかお目にかかれないのも事実なので、どこかで販売されることを期待します。
関連リンク
X570D4I-2T:ASRock Rack
コメント
wisp.net.auに先行予約商品として価格掲載がありましたが709AUD=473ドルほどのようです
私もほしいと思ってますが電源が見たことないピン数なのでそこが不安ですね
情報ありがとうございます!記事内に追記いたしました。
デュアル10GbEで約52,000円というのは安すぎて逆に不安になる値段ですね。
電源については自作でよく使うATX規格ではなく、サーバー向けのEPS規格となります。
12Vのみの入力でボード側で降圧するので、3.3Vや5Vを含む20/24ピンの必要はないという考えですね。
ATX電源でも8ピン(または4+4ピン)はEPS互換としているものが多いのですが、残る4ピンふたつは変換ケーブルを使って何とかする必要がありそうです。
EPYC3251D4I-2T(EPYC Embedded搭載みたいです)をRyzen用にした感じですね。
neweggで8/14に発売らしいです
価格は$459.00とのこと