細長ーい。Gateworks「Newport GW6903」はふたつのmPCIeスロット持ち

シングルボード

2019年12月18日、アメリカのSBCメーカーのGateworksは、mPCIeを2スロット持つ細長いネットワークSBC「Newport GW6903」を発表しました。

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スペック

モデル名Newport GW6903
メーカーGateworks
発売日2019/12
価格
価格(日本円)
CPUCavium Octeon TX CN8020
(800MHz ThunderX x 2)
GPU
NPU
メモリー1GB DDR4
サポートOSUbuntu
OpenWrt
有線LAN1GbE x 1
Wi-fi
Bluetooth
チップ
ストレージ8GB eMMC
USB3.0 x 1
GPIO
映像
カメラ
オーディオジャック
その他インターフェースmPCIe x 2
DIO header
消費電力4W
電源PoE(8~60V)
110mm
奥行き35mm
高さ21mm
その他重さ:85g

特徴

「Newport GW6903」が搭載するSoCはOcteon TXファミリーの(おそらく)CN8020またはCN8030です。がじぇっとりっぷでは初登場ですね。

Octeon TX CN8020はCaviumというネットワークデバイス向けマイクロプロセッサーを製造する半導体メーカーが手掛けた、ArmベースのSoCです。
もともとはMIPSアーキテクチャで、”Octeon”というブランドで2005年6月から販売していたのですが、2016年5月にArmベースの”Octeon TX”というブランドが誕生しました。

“Octeron TX”ではARMv8ベースのThunderXアーキテクチャなThunderX1コアが使われており(たぶんこれがTXの由来)、コア数と動作周波数でCN80xxからCN83xxまで4シリーズに分類されています。
ThunderXアーキテクチャはその後、ARMv8.1ベースのThunderX2(2016年5月発表、2018年5月ローンチ)、ARMv8.2ベースで7nmプロセスなThunderX3(2020年発表)と続いており、どうも本格的にARMベースに切り替えたようです。

なお、Cavium自体は2018年7月にMarvellに吸収されていて、ThunderX3はMarvell発となっています。

参考:64 ビット ARM ベースの SoC、OCTEON TX:Marvell
参考:OCTEON TX – Cavium:WikiChip

で、「Newport GW6903」に話を戻すと、SoCは2コア800MHzまたは4コア1500MHzとなっているので、製品仕様からCN8020またはCN8030と判断しました。

ほぼ最下位クラスなのでこんなスペックですが、上位のCN8370とかは24コアとか40GbE×3(または10GbE×12)とか豪華な仕様になっているので、これはこれで面白そうなんですよね。

本体の仕様としてはメモリに1GB DDR4、ストレージに8GB eMMCとエントリークラスのスペックです。
一応カスタムオプションとしては2GB RAMや最大64GBのeMMCが用意されています。
電源は…見る限りではPoEしかないんですよね…割り切っているというか癖がすごいというか…

インターフェースは表側は1GbE LANポートとUSB3.0が1ポート、DIO(Digital I/O)ヘッダくらいです。
裏側が特徴的で、ハーフサイズのmPCIeスロットを2スロット持っています。そのため、無線LANモジュールとLTEモジュールを同時に搭載できます。mPCIeスロットには最大8Wまで給電可能なので、高出力無線が使えるとのこと。
しかし、110×35mmによく詰め込んだなぁ…

両方使うとこんな感じですね。
ほかにオプションでGPSが載せられるようですが、どこに載せるんでしょう…?

ブロックダイアグラム図も公開されていますが、かなりシンプルです。

公式の対応アクセサリ(カード)はLTEカード、Wi-fi 5(802.11ac)対応カードのほかに、イリジウム衛星通信モデムカードなんてのもあります。
むしろそっちのほうが気になるというか、そんな代物が存在していたのかと…

OSはUbuntu、OpenWrtが対応しており、開発は格段にしやすくなっています。

用途としてはIoTゲートウェイ、IoTメッシュシステムなどとなっています。
電源さえ確保できればどんな環境でも通信できそうですが、PoE以外の給電方法は考えなかったのでしょうか?

まとめ

細長いSBCというのはこれまでもあったのですが、どちらかというとマイコン寄りで、ESP32とかSTM32がベースだったりすることが多く、いまいち紹介する気にはなれませんでした。
そんな中、「Newport GW6903」はSBC的なスペックを持っていたので紹介してみたのですが…やっぱり自由度の方向が普通のSBCとは違っていますね。

「Newport GW6903」自体の位置づけも産業用ということで、価格は「問い合わせ」になっています。
その代わり動作環境は-40℃~85℃と結構ぶっ飛んでいます。

はまれば面白そうな機種ではありますが、がじぇっとりっぷがこれまで紹介してきた中でもさらにニッチな分野になりそうです。

関連リンク


Raspberry Pi 4 Model B/4GB

Newport GW6903 Single Board Computer

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