2020年5月18日、中国深センのモバイルPCメーカーGPD Technologyが、クラウドファンディングのIndiegogoにて8インチUMPC「GPD WIN Max」のファンディングを開始しました。
GPD WIN Max: Handheld Game Console for AAA Games:Indiegogo
スペック
CPU | Core i5-1035G7 |
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メモリ | 16GB LPDDR4X-3733 |
ストレージ | 512GB M.2 SSD |
画面 | 8インチ 1280×800 |
network | 802.11ax + BT5.0 |
USB | Thundebolt 3×1 Type-C(Gen2)×1、3.0×2 |
映像出力 | HDMI(2.0b)×1 |
サイズ | 207×145×26mm |
重量 | 0.79kg |
特徴
「GPD WIN Max」は8インチサイズのUMPC(ウルトラモバイルPC)ですが、もうちょっと正確に言うとウルトラモバイルゲーミングPCになります。
小型ながらその性能はそこらのノートPCより高く、グラフィック能力もCPU内蔵としては最高クラスとなっています。
そのCPUは第10世代(Ice Lake)のCore i5-1035G7です。
モバイル向けのYシリーズとかでなく、普通のノート向けのやつです。
Core i5-1035G7は動作周波数が1.2GHz、ターボブースト時は3.7GHzで、4コア8スレッドとなっています。
GPUはIris Plus Graphics 940で、動作周波数は300MHz~1.05GHz、EU数は64です。
▲PerformanceTest(PassMark)のCPUスコアでは9800オーバーで、Ryzenはおろか、高TDPなHシリーズのCore i5-9300Hをも上回っています。
ちなみにUMPCで人気だったCore m3-8100Yのスコアは3000程度なので、3倍以上ですね。
▲GPU性能も高くて、UHD 620の2.6倍強、グラフィックに優れたRyzen(Radeon RX Vega 10)の1.3倍弱のスコアで、モバイル向けdGPUのGeForce MX250とほぼ並んでいます。
▲独立したメモリを持たないCPU内蔵GPUにもかかわらず高いスコアを叩き出せているのは、LPDDR4X-3733という高速なメモリが下で支えているからです。
ベンチマークを取っていると、メモリの速度って意外と馬鹿にできないんですよね。
さらにメモリは16GBを積んでいるので、GPUに割り当てられるメモリが潤沢であることも要因の一つでしょう。
ストレージは512GB M.2 NVMe SSDで、リード2600MB/s、ライト2000MB/sと、高速な部類に入ります。コメント欄での回答によると、BIWINという中国メーカー製のSSDだそうです。
換装も可能ですが、内部スペースの都合上、片面実装のSSDしか搭載できません。
以上より、1280×800という限定された解像度ながら、重量級ゲームタイトルにおいても、ある程度のFPSを保つことができています。掲載タイトルが多いので、以下では一部タイトルを抜粋しています。
・Halo:Reach(Alpha) : 47~68FPS
・Call of Duty:Modern Warfare : 47~55 FPS
・Call of Duty:WWII : 43~72 FPS
・Devil May Cry 5 : 35~40 FPS
・World War Z : 55~79 FPS
・SEKIRO : 32~40 FPS
・Monster Hunter:World : 29~48 FPS
・Overwatch : 68~93 FPS
・GrandTheftAuto : 45~62 FPS
だいたい中量級までなら問題なく、最新の重量級タイトルでも快適とはいえないまでもプレイ可能な30FPSはキープできるとみてよさそうです。
まぁそもそも、重量級タイトルを快適にプレイできる性能をモバイルPCに求める方がおかしいとも言えますが…
UMPCは7インチでフルHD(1920×1080)とかWUXGA(1920×1200)なものもありますが、「GPD WIN Max」は8インチで1280×800という解像度を採用しています。
▲実はPPI(pixcel per inch)で見ると、これでも13.3インチFHDよりも細かかったりします。
加えて、ゲーム用途を主としたPCなので、FHD解像度にするとまともに動かなくなるとか、画面が細かすぎてプレイしづらいとか本末転倒になってしまうが故の解像度ということになります。
個人的には実解像度が2.5K(2560×1600)で標準設定が1280×800、なんて方がありがたいんですけどね…
▲ここからは筐体の話です。
本体は航空機グレードのABS樹脂製、天板はマグネシウムとアルミの合金です。
モバイル機なので耐久性には気を使っているようで、5mからの落下テストは92%が問題なく、燃焼性規格はClass V-0(5段階の真ん中)、ロックウェル硬さは109R、耐曲折性は26000kg/cm2となっています。
▲キーボード面は上部真ん中にタッチパッド、上部左右にジョイスティックと十字キー(Dパッド)、A/B/X/Yボタンが備わっています。
見た感じではWebカメラはなく、また仕様にも記載されていません。
何気に1GbE LANポートが搭載されているのがうれしいポイントです。
ネットワークついでにWi-fiのことも書くと、Wi-fi 6(802.11ax)に対応しており、最大通信速度は2.4Gbpsとなります。
先述していますが、ディスプレイは8インチの1280×800、10点マルチタッチに対応しており、スタイラスペンも使えます。
…しかし、ベゼル幅を見ると8.4インチもいけそうな雰囲気です。8.4インチなら2.5Kパネルがあるのですが…
▲キーボードです。
ThinkPadのような6列キーボードにすることでキー数を確保していますが、右側の記号キーがあちこちに散っているので、長文を書くのはちょっと大変かもしれません。
右のシフトキーを残したことについては、個人的には高評価です。
また、キーボードバックライトも備えています(さすがにRGBバックライトではありません)。
▲インターフェースの大部分は背面に集中しています。
HDMIはフルサイズの2.0bで、4K/60Hz出力に対応しています。
USBはType-Aが2ポート、Type-Cが2ポートです。Type-CはUMPCで初めてと思われるThunderbolt 3に対応しています。
もうひとつのType-CポートはUSB3.2 Gen2です。
左右にはL1/L2、R1/R2ボタンがあります。
▲Thunderbolt3を使えばGPU Box(eGPU)を接続することもできますし、他にも10GbEアダプタをつなぐこともできます。
あと、この画像だと前面にあるオーディオジャックが分かりやすいですね。
▲底面には大きな吸気口があります。
排気口は背面インターフェースの下側になります。
排気口についてはだいぶ上に戻りますが、最初の画像が一番わかりやすいです。
▲冷却は二つのファンと2本のヒートパイプで行われます。
画像を見る限りでは高級ノートに使われるベイパーチャンバーではなさそうです。
排気量は「GPD Win 2」の8倍とのことですが、結構うるさくなりそうな…?
▲充電器は65W出力で、満充電までは約2時間(といいつつ実際は2時間21分)です。
▲電源アダプタ(右)はGaN搭載で、65W出力としては世界最小クラスだそう。
PD3.0プロトコルがベースながら、QC 4.0 / 3.0, PE3.0、Super charge , Turbo charge, OPPO VOOC, DASH, mChargeなど多数の急速充電プロトコルに対応しているとのこと。
なお、コメント欄での回答を見ると、「GPD WIN Max」は18W充電器でも充電可能だそうです。
まとめ
8インチの筐体に詰め込めるだけ詰め込んだというか、詰め込みすぎな感のある「GPD WIN Max」のファンディング価格は6.038香港ドル(記事執筆時点レートで83,890円)です。
10万円コースかと思いきや、まさかの8万円台前半です。
Core i5-1035G7、16GBメモリ、512GB SSD、Thunderbolt 3ありというのは、大手メーカーでも10万円を超える構成だと思うので、普通に安いです。
ファンディング終了は2020年6月30日、発送は2020年7月となっています。
記事執筆時点では2000名以上から1.7億円以上の出資が集まっています。
また、国内でも2020年6月1日より公式ショップで予約受付を開始します。
こちらはまだ価格が出ていませんが、日本語サポートとオリジナル特典が付くようなので、クラウドファンディングのリスクが気になる人はこちらを待つといいでしょう。
関連リンク
GPD WIN Max: Handheld Game Console for AAA Games:Indiegogo
『2020年6月1日0時』予約受付開始予定:GPD Japan
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