2020年5月8日、ハードウェア専門のクラウドファンディングサイトのCROWD SUPPLYで、CPU(SoC)にNXP/Freescale社のi.MX8MQを搭載した、オープンハードウェアなノートPC「MNT Reform」のファンディングが開始されました。
MNT Reform:CROWD SUPPLY
スペック
メーカー | MNT Research GmbH |
---|---|
名称 | MNT Reform |
発売日 | 2020/05 |
定価 | 550ドル~ |
実売価格 | |
価格条件 | |
CPU | i.MX8MQ |
グラフィック | Vivante GC7000Lite |
メモリ | 4GB |
メモリ規格 | LPDDR4 |
メモリ増設 | × |
2.5inch | × |
M.2 | 2280(NVMe) x 1 |
画面 | 12.5インチ |
解像度 | 1920×1080 |
ベゼル幅 | やや太 |
表面 | |
タッチ対応 | × |
光学ドライブ | × |
USB2.0 | 2(内部) |
USB3.0 | 3(3.0) |
USB3 type-c | – |
USB PD | – |
HDMI | 1 |
LANポート | 1GbE |
wi-fi | △(mPCIe) |
Bluetooth | – |
office | × |
カードリーダー | SD |
Webカメラ | ×(MIPI-CSI) |
赤外線カメラ | × |
NFC | × |
指紋センサー | × |
Windows Hello | × |
オーディオジャック | ○ |
マイク | |
スピーカー | 1W+1W |
スピーカー位置 | ディスプレイ下部 |
サウンド | Wolfson/Cirrus WM8960 |
バッテリー | 38.4WHr |
稼働時間 | 5Hr |
ACアダプタ | |
幅 | 290mm |
奥行き | 205mm |
高さ | 40mm |
重量 | 1.9kg |
開口角度 | |
カラー | ブラック |
その他特徴 | トラックボール OLED(128×32) |
特徴
「MNT Reform」の特徴はオープンハードウェア(オープンソースのハードウェア版、オープンソースハードウェアとも)として仕様が公開されていることです。
もっと大規模なものだと、2011年にFacebookが提唱した、データセンターのハードウェア仕様をオープンソース化したオープン・コンピュ―ト・プロジェクト(OCP)なんてものもあります。
オープンハードウェアの代表としてはArduinoが挙げられます。
PINE64「PINEBOOK Pro」もオープンハードウェアを謳っています。
最近でいえばメドトロニック社やNVIDIAなど各社が公開した人工呼吸器システムも、一種のオープンハードウェアと呼べるでしょう(実際、公開されたメドトロニック社PB560の仕様を元に、ルネサス エレクトロニクス株式会社がリファレンスデザインを作成したりしています)。
「MNT Reform」はOpen Source Hardware Associationにも登録されたオープンハードウェア(登録番号:DE000017)で、ライセンスについてはハードウェアはCERN、ソフトウェアはGPLとなっています。
完成品としての姿も持っていますが、使用されたモジュールの型番が公開されていて、その気になれば換装することもできます。
ファンディングページに記載されているだけでも、以下のモジュールが挙げられますし、プロジェクトページでは詳細な仕様も公開されています。
バッテリー:18650リチウム電池×8
ヒンジ:Smooth Group SMS-ZZ-219
ディスプレイ:Innolux N125HCE-GN1
スピーカー:PUI Audio AS01808AO-3-R
トラックパッド:Azoteq TPS65-201A-Sなど
▼オープンハードウェアということで、既存のノートや「PINEBOOK」との比較も掲載されています。
本体の話に移ると、システムの要部分はSO-DIMMサイズのSoM(System on Module)で、Nitrogen8M SOMを使用しています。
内容としてはCPUに4コアCortex-A53なi.MX8MQ、GPUにVivante GC7000Lite、メモリは4GB LPDDR4となっています。
ストレージはSoM上のeMMCは使用せずドーターボード側にあり、M.2 NVMe SSDまたはSDカードとなります。
なお、接続はPCIe2.0 x1(片方向500MB/s)なので、SATA並みの速度しか出ません。
▲本体はめっちゃ分厚いです。
キーボードに加えて電池とトラックボール、ヒートシンクがこの厚さの要因のようです。
▲内部の全体図です。
真ん中のヒートシンクの下にSoMがあり、システム全体はファンレスとなっています。
ちなみに底面はアクリル板になるようです。
▲ドーターボード全体です。
SoM用のSO-DIMMスロットの横にはM.2スロットとminiPCIeスロットが並んでいます。
そういえばGPIOはないんですね。
▲インターフェースです。
右側にUSB×3、HDMI、左側に電源ポート、LANポート、オーディオジャック、SDスロットが並んでいます。
▲キーボードです。
印字は注文時にQWERTY(US-EN)、QWERTY(UK)、QWERTZ、AZERTY、NEO2、無印から選択ができます。
▲キーボード上部には128×32のOLEDディスプレイがついています。
ここは例えばOSを通さない電池残量の表示などを行うことができます。
▲ディスプレイは12.5インチ FHDです。
標準品はInnolux「N125HCE-GN1」で、接続はeDP(30pin)です。
逆に言えばeDP(30pin)接続であれば何でもいけるわけです。
Webカメラはありませんが、内部にMIPI-CSI端子が付いているので、頑張れば自力で付けることはできそうです。
▲タッチパッド部は標準で5ボタンのトラックパッドになっています。
▲ここは普通のタッチパッドに変更することもできます。
この辺りがオープンハードウェアっぽいですね。
まとめ
「MNT Reform」のプロジェクトの立ち上がりは2018年11月とかなり前で、ファンディング開始まで実に一年半近くかかっています。
当初はi.MX6ベースだったようで、2019年1月には稼働モックアップも出来上がっていたようですが、そこからブラッシュアップを重ね、2020年1月にバージョン2として現在の形となりました。
「MNT Reform」の価格はオープンハードウェアらしく、以下のようになっています。
550ドル:SoM、ドーターボード、ヒートシンク、電源、microSD(ブート用)
999ドル:本体組み立てキット
1300ドル:本体完成品、256GB SSD、電源
1500ドル:本体完成品、1TB SSD、電源、miniPCIe Wi-fiカード、レザースリーブ
Pinebookが199ドルだったことを考えるとかなり高いなぁとは思いますし、見た目もなんか1990年代のノートみたいですが、仕様と見比べながら勉強するにはいいんじゃないかと思います。
ファンディング終了は2020年6月19日、発送は2020年12月9日です。
…ちょっと先過ぎやしませんかね…?
関連リンク
MNT Reform:CROWD SUPPLY
ソースコード:MNT/reform
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