2020年7月21日、AMDはデスクトップ向けのRyzen 4000Gシリーズ6製品、Ryzen PRO 4000Gシリーズ6製品、Athlon 3000Gシリーズ3製品、Athlon PRO 3000Gシリーズ3製品の、合計18製品を発表しました。
一部モデルについては2020年8月8日に販売が始まっています。
また、2020年8月5日には文教向けとなる、14nmプロセスでZenアーキテクチャなローエンドAPU「AMD e」シリーズを発表しました。
ラインナップ
Ryzen 4000G
モデル | コア/スレッド数 | ベースクロック | Boostクロック | GPUコア数 | GPUクロック | L1キャッシュ | L2キャッシュ | L3キャッシュ | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 4700G | 8 (16) | 3.6 GHz | 4.4 GHz | 8 | 2100 MHz | 512KB | 4MB | 8MB | 65W |
Ryzen 7 4700GE | 8 (16) | 3.1 GHz | 4.3 GHz | 8 | 2000 MHz | 512KB | 4MB | 8MB | 35W |
Ryzen 5 4600G | 6 (12) | 3.7 GHz | 4.2 GHz | 7 | 1900 MHz | 384KB | 3MB | 8MB | 65W |
Ryzen 5 4600GE | 6 (12) | 3.3 GHz | 4.2 GHz | 7 | 1900 MHz | 384KB | 3MB | 8MB | 35W |
Ryzen 3 4300G | 4 (8) | 3.8 GHz | 4 GHz | 6 | 1700 MHz | 256KB | 2MB | 4MB | 65W |
Ryzen 3 4300GE | 4 (8) | 3.5 GHz | 4 GHz | 6 | 1700 MHz | 256KB | 2MB | 4MB | 35W |
モデル | コア/スレッド数 | ベースクロック | Boostクロック | GPUコア数 | GPUクロック | L1キャッシュ | L2キャッシュ | L3キャッシュ | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 PRO 4750G | 8 (16) | 3.6 GHz | 4.4 GHz | 8 | 2100 MHz | 512KB | 4MB | 8MB | 65W |
Ryzen 7 PRO 4750GE | 8 (16) | 3.1 GHz | 4.3 GHz | 8 | 2000 MHz | 512KB | 4MB | 8MB | 35W |
Ryzen 5 PRO 4650G | 6 (12) | 3.7 GHz | 4.2 GHz | 7 | 1900 MHz | 384KB | 3MB | 8MB | 65W |
Ryzen 5 PRO 4650GE | 6 (12) | 3.3 GHz | 4.2 GHz | 7 | 1900 MHz | 384KB | 3MB | 8MB | 35W |
Ryzen 3 PRO 4350G | 4 (8) | 3.8 GHz | 4 GHz | 6 | 1700 MHz | 256KB | 2MB | 4MB | 65W |
Ryzen 3 PRO 4350GE | 4 (8) | 3.5 GHz | 4 GHz | 6 | 1700 MHz | 256KB | 2MB | 4MB | 35W |
Athlon 3000G
モデル | コア/スレッド数 | ベースクロック | Boostクロック | GPUコア数 | GPUクロック | L1キャッシュ | L2キャッシュ | L3キャッシュ | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Athlon Gold 3150G | 4 (4) | 3.9 GHz | – | 3 | 1100 MHz | 384KB | 2MB | 4MB | 65W |
Athlon Gold 3150GE | 4 (4) | 3.8 GHz | – | 3 | 1100 MHz | 384KB | 2MB | 4MB | 35W |
Athlon Silver 3050GE | 2 (4) | 3.4 GHz | – | 3 | 1100 MHz | 192KB | 1MB | 4MB | 35W |
モデル | コア/スレッド数 | ベースクロック | Boostクロック | GPUコア数 | GPUクロック | L1キャッシュ | L2キャッシュ | L3キャッシュ | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Athlon Gold PRO 3150G | 4 (4) | 3.5 GHz | 3.9 GHz | 3 | 1100 MHz | 384KB | 2MB | 4MB | 65W |
Athlon Gold PRO 3150GE | 4 (4) | 3.3 GHz | 3.8 GHz | 3 | 1100 MHz | 384KB | 2MB | 4MB | 35W |
Athlon Silver PRO 3125GE | 2 (4) | 3.4 GHz | – | 3 | 1100 MHz | 192KB | 1MB | 4MB | 35W |
AMD e
モデル | コア/スレッド数 | ベースクロック | Boostクロック | GPUコア数 | GPUクロック | L1キャッシュ | L2キャッシュ | L3キャッシュ | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Athlon Silver 3050e | 2 (4) | 2.8 GHz | – | 3 | 1000 MHz | 192KB | 1MB | 4MB | 6W |
AMD 3020e | 2 (2) | 1.2 GHz | 2.6 GHz | 3 | 1000 MHz | 192KB | 1MB | 4MB | 6W |
AMD 3015e | 2 (2) | 1.2 GHz | 2.3 GHz | 3 | 600 MHz | 192KB | 1MB | 4MB | 6W |
Athlon Silver 3050eおよびAMD 3020eはメモリがDDR4-2400×2なのに対し、AMD 3015eはDDR4-1600×1とかなりスペックを落とされています。
グラフィックもAMD 3015eだけGPU周波数が低いですね。
特徴
Ryzen 4000Gシリーズは、Zen2コアを搭載するAPUで、大雑把には以下のような特徴を持っています。
・7nmプロセス
・最大8コア
・DDR4-3200×2
・PCIeは3.0まで
・対応チップセットはX570とB550
対応チップセットは公式にはAMD 500シリーズのみで、A300などの旧チップセットはサポート外となっています。
が、BIOS側の対応で何とかなる場合もあるようで、ASRock「Deskmini A300」で動かした例などが報告されています(その後いくつか不具合があったようで、当該バージョンのBIOSは取り下げられました)。
A300でRenoirは遊びで使うならいいかもしれませんが
ASRock基準では動くと言えないので残念ながらやめました。
実装パーツでどうしてもRenoirが安定して動かないので
正式対応はX300のみです。— ASRock Japan (@AsrockJ) August 6, 2020
まだ記事にはしていませんが、ASRockからRyzen 4000Gシリーズに正式に対応した「Deskmini X300」が発表されています。
また、これまでの慣習と違う点もあります。
・初のRyzen 7モデル!
・PROモデルも同時投入
※PROモデルはセキュリティ機能が追加される代わりに倍率変更がロックされている
・非PROモデルはOEMオンリー
これまでRyzen PROシリーズは無印のGシリーズから遅れて発表されていましたが、今回は同時発表でした。
Athlon 3000Gシリーズは、モデル名が示す通り、Zen+アーキテクチャに基づいたAPUです。
なので、その特徴もZen+に準じています。
・12nmプロセス
・最大4コア
・DDR4-2933×2
・PCIe 3.0
また、Zen+シリーズの中でも下位モデルに当たるため、GPUコア数は3と少なくなっています。
性能について
記事執筆時点でPassmarkにスコアが掲載されていた分について、グラフにしてみました。
なお、サンプル数は3とか5とか少数なので、信頼性は高くない点、ご承知ください。
デスクトップ向けなので、かなり強力です。
同じ4コア8スレッドでも、Ryzen 5 3400GよりRyzen 3 4300Gの方が25%近くスコアが高いんですよね。
Zen+とZen2というアーキテクチャの差が大きいことが良く分かります。
Intel系との比較だと、8コア16スレッドなCore i7-10700と、6コア8スレッドなRyzen 5 4600Gが近いスコアとなっています。
同じ8コア16スレッド同士の比較だと、TDP125WなCore i7-10700Kが、TDP65WのRyzen 7 PRO 4750Gに負けています。
さらにグラフィック能力に至っては、もっと引き離しています。
第10世代Intel Core CPUはグラフィック機能としてUHD 630を搭載していますが、Ryzen 4000Gシリーズから比べると圧倒的にスコアが低いです。
ちなみにテストではメモリにDDR4-2666が使われており、DDR4-3200だとさらにスコアが伸びる可能性が高いです。
参考:Ryzen 7 Pro 4750G・Ryzen 5 Pro 4650G・Ryzen 3 Pro 4350G速攻ベンチマークレビュー:パソコン工房
まとめ
Ryzen 4000Gシリーズは基本的にOEMモデル(メーカー製PCに組み込み)であり、単体での市場供給は限られています。
実際に発売となったのは以下の3モデルです。
Ryzen 7 PRO 4750G:39,980円(税別)
Ryzen 5 PRO 4650G:26,980円(税別)
Ryzen 3 PRO 4350G:19,980円(税別)
なぜかPROモデルの方でなおかつバルク版(パーツとセット販売しないといけない)なんですよね。
なので、実売価格は上記に消費税とパーツ代が追加されたものとなります。
詳しい人の間では、メーカー側の準備が整う前に量産に入ってしまい、過剰供給になった分を放出しているのではないかと推測されています。
とにかく、グラフィックボードを搭載しないコンパクトデスクトップを作るとしたら、これ以上のものはないでしょう。
関連リンク
AMD Ryzen Desktop Processors with Radeon Graphics:AMD
AMD Athlon Desktop Processors with Radeon Graphics:AMD
AMD Ryzen PRO Desktop Processors:AMD
AMD Athlon PRO Desktop Processors:AMD
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