2021年3月24日、SBCメーカーのFireflyはRockchip社の新世代SoC RK3568を搭載した「Core-3568J AI Core Board」(以下Core-3568J)を発表いたしました。
スペック
モデル名 | Core-3568J |
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メーカー | Firefly |
発売日 | 2021/03 |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3568 (4コア) (2.0GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G52 2EE |
NPU | 0.8TOPS |
メモリー | 2〜8GB LPDDR4 |
サポートOS | Ubuntu 18.04 Android 11 |
有線LAN | 1GbE x 2 |
Wi-fi | 802.11 ax |
Bluetooth | 5 |
チップ | |
ストレージ | 32~128GB eMMC M.2 Key-E x1 microSD |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 2.0 x 2(pin) |
GPIO | × |
映像 | HDMI(2.0 4K/60Hz) eDP1.3(2.5K/60Hz) MIPI DSI x 2 |
カメラ | MIPI CSI x 2 |
オーディオジャック | ○(in/out) |
その他インターフェース | miniPCIe x1 RS232 x2 RS485 x2 UART x2 Speaker x1 |
消費電力 | |
電源 | DC 12V PoE(オプション) |
幅 | 82.0mm |
奥行き | 53.5mm |
高さ | |
その他 | SO-DIMMタイプ トリプルディスプレイ |
特徴
「Core-3568J」は冒頭の通り、Rockchip社の新世代SoC RK3568を搭載しています。
RK3568搭載ボードはこれが初ではなく、2021年2月にGeniatechが「RK3568 Development Board」という、そのままな名前のボードを出しています。
RK3568は2020年11月に開催されたRockchip Developer Conference 2020で発表されたばかりの、本当に最新のSoCで、AI向けNPUを内蔵した、AIoTプロセッサという位置づけになります。
構成としては4コアのCortex-A55に、GPUはMali-G52 2EE、さらに0.8TOPSのNPUも搭載しています。
Mali-G52は2018年3月に発表された、ひとつ前の世代のGPU(最新世代は2020年5月に発表されたMali-G57)で、ここ最近に発表されたミドルクラスSoCのGPUによく採用されています。なお、最新世代のGPUはスマホ向けの5G対応SoCなどで使われ始めていますが、SBCにも使われるようなSoCに搭載されるのはもう少し先の話となるでしょう。
トータルの性能的にはRK3399の6割程度になるようです。6コア対4コアなので妥当と言えば妥当ですが。
ちょっと面白いのがブロックダイアグラム図のConnectivityのところで、Serdes lanesというものを3本持っており、SATAやUSB、PCIe2.1に割り振ることができます。
USB3.0×1+SATA×2とか、PCIe2.1+USB3.0×2とか、好きに組み合わせができるみたいですね。
もう一つ、新世代ならではのメリットで、メモリが4GBの壁を越えて8GB積めるようです。
これはRK3399にはできなかったことで、今のところ「Raspberry Pi 4」しかないメモリ8GB SBCに新たなラインナップが追加されることになります。
で、このことを踏まえたうえで、「Core-3568J」を見ていきます。
「Core-3568J」はメインボード/ドーターボード方式のSBCで、SODIMMタイプのメインボードにはSoCとメモリ、ストレージ(eMMC)が搭載されます。
メインボードは4隅にドーターボードと固定する用のスルーホールが、SoCを対角に挟んだ位置にヒートシンク/FAN固定用のホールが開いています。
ヒートシンク固定用のホールって、SBCによってあったりなかったりなので、きちんと備えられているのは好印象です。
ドーターボードに装着するとこうなります。
メインボードを挟んでM.2スロットが用意され、それぞれM.2 SSDとWWANカード(4G LTE/5G両対応)を装着できます。
なお、M.2 SSDはPCIe3.0 x1接続(片方向約1GB/s)となるので、SATAよりはマシ程度の速度になると思ってください。
WWAN用のスロットはPCIe2.1 x1と思われます。
映像出力はHDMI2.0(4K@60Hz)、MIPI-DSI(1080p@60Hz×2 or 2.5K@60Hz)、eDP1.3(2.5K@60Hz)が用意され、トリプルディスプレイまで対応しています。
電源は12Vのようですが、PoE(Power over Ethernet)モジュールを装着することでLANケーブル経由での給電も可能です。
スペックシートによるとメインボードはSATAインターフェースを持っているようですが、ドーターボードにはSATA端子は見当たりません。
メインボードの下には何もなく、WWANカードの下にはWi-fiチップが配置されています。
そして何気にWi-fiは802.11ax(Wi-fi 6)対応だったりします。
なお、対応OSはAndroid 11とUbuntu 18.04となっています。
Android 11は2020年9月9日に発表されたバージョンなので、半年ちょっとで対応してくるのは割と早いんじゃないかと。
Android 11ではデバイス・コントロール機能が盛り込まれているので、IoT家電(スマートデバイス)のハブの役割もこなしやすくなります。
まとめ
FireflyはRockchipが新SoCを発表したら、とりあえず最速レベルでボードを出してみる企業というイメージ(RK3399の時も早かったです)があり、今回も「やっぱりFireflyか」という印象でした。
ただ発表はされたものの「Core-3568J」の価格は発表されておらず、記事執筆時点は発売時期も不明です。
RK3568は絶対性能ではRK3399ほど強力ではありませんが、インターフェースにアレンジが効いたり、メモリ8GBを搭載できたりと面白いSoCですし、価格次第では今後RK3328に代わるミドルハイクラスのSBCの定番になるやもしれません。
なお、FireflyではRK3568を搭載した「Station P2」を出すらしく、3月26日にティザー動画が公開されています。
今のところ情報は上の動画だけですが、なかなか面白そうなのでこちらも発表が楽しみですね。
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