2020年10月19日、英国Raspberry Pi財団は「Raspberry Pi 4 Model B」の組み込みモジュール版となる「Raspberry Pi Compute Module 4」(以下CM4)を発表いたしました。
発表から半年近く経ってからの記事化ですが、CM4はキャリアボードあってのモジュールなので、ある程度対応モジュールが出てからということで、このタイミングとなっています。
…忘れていたわけではないですヨ?
スペック
モデル名 | Pi CM4 | Pi CM4 Lite |
---|---|---|
メーカー | Raspberry | |
発売日 | 2020/10 | |
価格 | 30ドル~90ドル | 25ドル~75ドル |
価格(日本円) | ||
CPU | Broadcom BCM2711 (1.5GHz A72 x 4) | |
GPU | VideoCore VI | |
NPU | – | |
メモリー | 1〜8GB LPDDR4-3200 | |
サポートOS | Raspberry Pi OS 他多数 | |
有線LAN | 1GbE x 1 | |
Wi-fi | 802.11 ac | |
Bluetooth | 5 | |
チップ | BCM54210PE BCM43455 | |
ストレージ | 8〜32GB eMMC | microSD |
USB | 2.0 x 1 | |
GPIO | 28pin | |
映像 | HDMI(2.0) x 2 MIPI DSI x 2 (4lane + 2lane) | |
カメラ | MIPI-CSI x 2 (4lane + 2lane) | |
オーディオジャック | ||
その他インターフェース | PCIe2.0 x1 | |
消費電力 | ||
電源 | 5V | |
幅 | 55mm | |
奥行き | 40mm | |
高さ | 4.7mm | |
その他 |
特徴
CM4は2019年6月に発売された「Raspberry Pi 4」と同じSoCを用いたモジュールボードです。
SoCのBroadcom BCM2711は1.5GHz駆動のCortex-A72を4コア持ち、GPU部分はVideoCore VIとなっています。
メモリは1GB~8GBのLPDDR4-3200。
「Raspberry Pi 4」はLPDDR4-2400だからスペックアップしたのかと思ったら、どうやら「Raspberry Pi 4」ももともとLPDDR4-3200だったようです(海外でも表記ミスなのか変更なのか議論されていました)。
ストレージはなし~32GB。ストレージなしは「CM4 Lite」と表記されます。
ストレージはeMMCで、転送速度は最大100MB/sとされています。
ストレージなしの場合、microSDを使用することができます(ストレージとmicroSDは排他関係)。
CM4はCM3以前と形状が大きく異なり、DDR2 SODIMMフォームファクタから、2x100pinの高密度コネクタに変更されています。
インターフェース…はないので、パーツ配置図です。
Wi-fiはモジュール内に組み込まれており、キャリアボード側で用意する必要はありません。
Wi-fiチップはCypress BCM43455で、最大433Mbps、Bluetoothは5.0です。
データシートによるとBCM43455はBT4.1までとなっているので、実情はBT5.0に対応したCYW43455と思われます。
背面には100pinコネクタが2本あります。
対応OSは「Raspberry Pi 4」と同様で、公式OSはRaspberry Pi OS(旧Raspbian)、サードパーティだとNOOBS(New Out Of Box Software)、Ubuntu、Windows 10 IoT Core(≠Windows 10)など、数多くリリースされています。
価格
CM4はWi-fiの有無、メモリ(1/2/4/8GB)が4通り、ストレージ(0/8/16/32GB)が4通りで全32パターンが用意され、その価格は25ドルから90ドルとなっています。
用途にもよるでしょうが、ストレージ(eMMC)とmicroSDは排他の関係にあるため、ストレージなし(Lite)が人気になるんじゃないかと思われます。
ちなみに「Raspberry Pi 4B(Wi-fi有、ストレージ無)」は2GBが35ドル(※)、4GBが55ドル、8GBが75ドルなので、実はあまり値段が変わらなかったりします。
※元は1GBモデルが35ドルだったが、2020年2月に45ドルより値下げして1GBモデルはキャンセルされた。
対応ボード
Compute Module 4 IO Board
公式のインターフェースボードです。
サイズは大きいですが全インターフェースを引き出しています。PCIeはPCIeスロットそのままですね。
CutiePi
CM4をタブレット化するキットです。キットにはCM4 2GB Liteが付属します。
ざっくりとしたスペックは以下の通り。
ディスプレイ: 8インチ IPS(1280×800)
バッテリー: Li-Po 5000 mAh
Wi-fi:802.11ac+BT5.0
カメラ:5MP(1080p)
インターフェース:USB(Type-A+Type-C)、microHDMI、microSD
サイズ:206(W) x 134(H) x 14(D) mm
価格はCM4込みで229ドル、発送は2021年7月を予定していますが記事執筆時点で予約を受け付けています。
SATA Board for Raspberry PI CM4
CM4をNAS化するボードです。「RockPi SATA HAT」の類似品ですね。
ただ、そもそもCM4がインターフェースを持たないため、「SATA Board」上にLANポート、HDMI、USB2.0×2、microSDスロットを持っています。
NASキットということで要求電力は高く、12V 5A(=60W)となっています。
開発段階ではType-C端子でのUSB PD給電をサポートする予定だったものの、ユーザーが低出力アダプタを使ってしまう恐れ(NASで電力不足は致命的ですし)、60W以上が出力できるUSBアダプタは値段が高いことを考えてオミットしたとのこと。
転送速度についてはテストされていて、シーケンシャルで300MB/s強となるようです。
まぁそもそもCM4の持つPCIe2.0 x1(片方向500MB/s)を利用しているわけで、このくらいが限度となるのは当たり前と言えます。
2021年1月15日追記:開発元は開発を断念し、オープンソース化しました。
StereoPi v2
クラウドファンディング製品ですが、カメラインターフェース(CSI)が二つあることを利用した、3Dカメラキットです。
ちなみにv2とあるのは、CM1~CM3向けのv1(正確には無印のStereoPi)があるからです。
Dual Gigabit Ethernet Carrier Board
seeedstudioが45ドルで発売している、デュアルLANボードです。
75×64mmと形は違うものの底面積は「Raspberry Pi 4」とほぼ同じで、GbE LANが2ポートあること、GPIOがないことが一番の違いですね。
IoT Router Carrier Board Mini
DFRobotが発表した、コンパクトなIoTルーターボードです。61.5×55mmと、上で紹介したデュアルLANボードより一回り小さくなっています。
インターフェースはデュアルGbEにUSB 2.0(Type-C)が一つに、26ピンGPIOにmicroSDと絞られていて、MIPI端子やHDMIは持ちません。まさにルーター用途ですね。
関連リンク
製品ページ
リリースノート
Compute Module 4:スイッチサイエンス
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