2021年5月17日、NASメーカーのASUSTORは2.5GbEに対応したエントリー上位クラスの2ベイNAS「AS3302T」および4ベイNAS「AS3304T」を発売いたしました。
スペック
■ASUSTOR AS3302T/AS3304T | |
CPU | Realtek RTD1296 |
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メモリ | 2GB DDR4 |
ストレージ | 2ベイ/4ベイ 8GB eMMC |
インターフェース | USB 3.2 Gen1×3 2.5GbE×1 |
サイズ | AS3302T:114×170×230mm AS3304T:174×170×230mm |
重さ | 1.6kg/2.2kg |
特徴
ASUSTOR製品は型番が整理されていて、非常に分かりやすくなっています。
個人/ホーム:AS1000、AS3000
SOHO /小規模オフィス:AS4000、AS5000
中規模の事業:AS6000
エンタープライズ:AS7000
「AS3302T/AS3304T」は個人/ホーム向け、つまりエントリークラスの上位モデルという位置づけになります。
他メーカでいえばQNAP「TS-231P3/TS-431P3」がだいたい同じ位置づけになりそうです。Synologyはまだ2.5GbE機がありません。
「AS3302T/AS3304T」は型番的には「AS3202T/AS3204T」の後継っぽいのですが、ちょっと中身が違いすぎて完全に別物です。というか、新製品のはずなのに妙に仕様が古いんですよね…
主要なASUSTOR製品を比較した表が以下となります。
AS3302T AS3304T | AS3202T AS3204T | AS1002T AS1004T | AS4002T AS4004T | AS5202T AS5304T | |
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クラス | エントリー上位 | エントリー上位(旧) | エントリー下位 | ミドル下位 | ミドル上位 |
価格(2ベイ) | 33,800円 | 18,900円 (16,500円) | 35,000円 | 38,800円 | |
価格(4ベイ) | 46,000円 | 35,000円 | 28,800円 (17,100円) | 50,600円 | 58,000円 |
CPU | Realtek RTD1296 クアッドコア | Celeron N3150 クアッドコア | Marvell ARMADA-385 デュアルコア | Marvell ARMADA-7020 デュアルコア | Celeron J4105 クアッドコア |
メモリ | 2GB DDR4 | 2GB DDR3L | 512MB | 2GB | 4GB DDR4 (最大8GB) |
ネットワーク | 2.5GbE × 1 | 1GbE × 2 | 1GbE × 1 | 10GbE × 1 1GbE × 2 | 2.5GbE × 2 |
USB | USB 3.2 Gen1 x 3 | USB 3.2 Gen1 x 3 | USB 3.2 Gen1 x 2 | USB 3.2 Gen1 x 2 | USB 3.2 Gen1 x 3 |
HDMI | – | 1.4b × 1 | – | – | 2.0a × 1 |
4ベイの価格がランクとして分かりやすいですね。2ベイは…「AS5202T」を買っておけば間違いないかと。
なお、「AS1002T/AS1004T」はもうすぐ後継の「AS1102T/AS1104T」が登場するため投げ売りされています。表記は投げ売り直前の価格、括弧内が投げ売り価格です。
SoCはRealtek
「AS3302T/AS3304T」のCPU(SoC)にはRealtek RTD1296が使われています。
RTD1296が最初に使われた(と思われる)のは2017年9月のSynology「DS418」なので、4年近く前ということになります。リーク資料の類だと2016年12月にはその名前が確認できます。
引用元:Realtek RTD1296 STB/Media NAS SoC Coming Soon with Multiple Ethernet Ports, Dual SATA, HDMI 2.0 Input and Output:CNX Software
まぁ、「AS3202T/AS3204T」に使われているCeleron N3150(発表は2015年)に比べれば2年分更新していますし、GeekBenchスコアが3倍くらいになるようなので、変更は間違ってはいないのですが…
考えてみれば「AS5202T/AS5304T」のCeleron J4105も2017年ですしね。
メモリは2GB、ROMは8GB
「AS3302T/AS3304T」のメモリは2GB DDR4です。オンボードで拡張はできません。
エントリークラスながら2GBは立派と思いきや、2015年発売の「AS3102T」からずっと2GBでした。
参考:AS3102T/AS3104T プレスリリース(2015年10月12日):ASUSTOR
内蔵のフラッシュメモリ、つまりOS用のストレージとしては8GB eMMCが組み込まれています。
LANが2.5GbEに
「AS3302T/AS3304T」はASUSTORのエントリークラス製品として初めて2.5GbEを搭載しています。
ミドルクラスでは「AS4002T/AS4004T」がARM+10GbE、「AS5202T/AS5304T」がIntel+デュアル2.5GbEなので、エントリーモデルでARM+シングル2.5GbEは妥当なところと言えます。
転送速度はメーカーテストでリード:216 MB/s、ライト:279 MB/s。2.5GbEがきっちり活きていますね。
独自機能
メーカーの独自機能として、「メディアモード」と「MyArchive」を紹介。
「メディアモード」は有効にしておくと、動画の再生とデコードのために512MBのメモリ容量を確保し、動画のスムーズな再生を実現します。
「MyArchive」はコールドバックアップ技術で、NASのハードディスクを取り外し可能なストレージアーカイブとして扱える機能です。
取り出したMyArchiveディスクは別のASUSTOR NASに移動させることもできます。
筐体
フロントはこれまでのダイアモンドプレートデザインから、ミドルクラスで取り入れられていたダイアモンドカットデザインに変更されました。
背面にあった電源ボタンもフロントに移動しています。
背面は2.5GbEにUSBが2ポートとシンプルです。
エントリークラスなのでHDMIなど余計なものはありません。
ストレージベイはツールレス(3.5インチの場合)タイプです。
パッケージにはLANケーブル、2.5インチ用のネジなどが含まれています。
…Cat5eって規格上の伝送速度は1Gbpsなので、2.5GbEに対応させるにはCat6A(もしくはメーカー勝手規格なCat6e)以上でないとダメな気がするんですが…
これ、ネットワーク経路の再構築時に問題になるパターンだよなぁ…
まとめ
「AS3302T/AS3304T」の価格は、「AS3302T」が33,800円前後、「AS3304T」が46,000円前後です。
QNAP「TS-231P3/TS-431P3」は2.5GbE+1GbE、メモリ換装可能でワンランク上の価格帯(45,600円/58,000円)なので、現状では割と安価な2.5GbE NASになりそうです(おそらく最安はI-O DATA「HDL2-AAX0/E」)。
安価に高速、それなりに多機能なNASを求める場合は、丁度いい選択肢になりそうです。
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