2021年4月21日、SBCメーカーのFireflyはRockchip RK3568を搭載したSBC「ROC-RK3568-PC」を発表いたしました。
スペック
モデル名 | ROC-RK3568-PC |
---|---|
メーカー | Firefly |
発売日 | 2021/04 |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3568 (4コア) (2.0GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G52 2EE |
NPU | 0.8TOPS |
メモリー | 2〜8GB LPDDR4 |
サポートOS | Ubuntu 18.04 Android 11 Station OS |
有線LAN | 1GbE x 2 |
Wi-fi | 802.11ax |
Bluetooth | 5 |
チップ | AP6275S |
ストレージ | 32~128GB eMMC M.2 Key-E(2280) x1 microSD |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 2 2.0 x 1(Type-C) |
GPIO | 28pin x 2 |
映像 | HDMI(2.0 4K/60Hz) MIPI DSI x 2 eDP |
カメラ | MIPI CSI x 2 |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | IR Receiver RS232+RS485(RJ45) |
消費電力 | |
電源 | DC 5V(Type-C) |
幅 | 138mm |
奥行き | 77.5mm |
高さ | 19mm |
その他 | トリプルディスプレイ |
特徴
「ROC-RK3568-PC」は名前の通り、Rockchip社のRK3568を搭載しています。
Fireflyは以前にも同SoCでコアボードタイプの「Core-3568J」を発売しています。
構成としては4コアのCortex-A55に、GPUはMali-G52 2EE、さらに0.8TOPSのNPUも搭載しています。
RK3568の弟分にはRK3566があり、こちらは「ROC-RK3566-PC」というSBCを発表しています。
RK3566とRK3568のざっくりとした違いは以下の通り
Rockchip RK3566 | Rockchip RK3568 | |
---|---|---|
CPU | Quad-core Cortex-A55 | |
GPU | Mali-G52 2EE | |
NPU | 0.8 TOPS | |
メモリ | DDR3/DDR3L/DDR4 LPDDR3/LPDDR4/LPDDR4X | |
ECC対応 | × | ○(DDR3/DDR3L/DDR4) |
ストレージ | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 8K OTP | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 x3 8K OTP |
映像出力 | デュアルディスプレイ | トリプルディスプレイ |
ネットワーク | Gigabit Ethernet (GMAC) x1 | Gigabit Ethernet (GMAC) x2 QSGMII |
USB | USB 2.0 host x2 USB 2.0 OTG x1 USB 3.0 host | USB 2.0 host x2 USB 3.0/2.0 OTG USB 3.0 host |
PCIe | PCIe 2.1 1×1 lane | PCIe 2.1 1×1 lane PCIe 3.0 1×2 lane or 2x 1-lane |
その他 I/Os | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x2 | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x8 CAN FD x3 |
パッケージ | FCCSP565L (15.5mm x 14.4mm) | FCBGA636L (19mm x 19mm) |
まず、パッケージサイズからして違うので、SoCを乗せ換えるだけという真似はできず、それぞれで別の設計が必要になります。
コンパクトなRK3566ボード、少し大きいけど多機能なRK3568ボード、みたいになるでしょう。
性能面でもRK3566とRK3568のGeekBenchスコアはRaspberry Pi 4に搭載されるBroadcom BCM2711とほぼ同等なので、丁度いいライバルですね。0.8TOPSのNPUを搭載している分、AIoT用途にはRK3566/RK3568に分がありそうです。
参考:February Update: Show and Tell:Pine64
また、新世代SoCならではのメリットとして、8GB LPDDR4メモリまで搭載可能です。さらにRK3568はECCメモリにも対応しています。
これは従来のRK3399ではできなかったことの一つで、Raspberry Pi 4と肩を並べることができる要素です。
ストレージは32GBから128GBまでのeMMC。メモリとの組み合わせは記事執筆時点では不明です。
その他のポイントとしては、Wi-fiがさりげなく802.11ax(Wi-fi 6)に対応していることでしょうか。
Broadcom AP6275Sというチップが使われていて、最大1200Mbpsの通信が可能です。
参考:AP6275S
▲インターフェースです。
「ROC-RK3568-PC」は138.0×77.5mmとやや大柄な点を活かし、PCIe 3.0に対応したM.2 2280スロットがドーンと用意されています。
おそらくPCIe 3.0 x2なので、片方向最大2GB/s(1,969MB/s)弱になると思われます。実際は1,700~1,800MB/s出ればいい方でしょう。
そもそもSBCとしてはオーバースペックもいいところな数字ですし、そもそもCPU側が処理できるかも怪しいですが…
さらにその下にもリボンケーブルタイプのSATAポートが用意されています。
映像出力はHDMI(4K@60Hz)、MIPI DSI(FHD@60Hz×2または2.5K@60Hz×1)、eDP(2.5K@60Hz×1)が用意され、トリプルディスプレイが可能です。
有線LANも2系統あったりと、SoCの持つインターフェースが最大限に使われていることが分かります。
▲シリアルポート用のRJ45があり、合計3ポートのシリアルポートを引き出すことができます。
Station P2
「ROC-RK3568-PC」にガワを付けた「Station P2」という製品があり、Indiegogoでファンディングが行われていました(目標未達で終了)。
こちらもFireflyの製品リストにラインナップされているので、いずれ発売されると思われます。
まとめ
「ROC-RK3568-PC」の価格や発売時期は、記事執筆時点では公開されていません。
Indiegogoのファンディングでは「Station P2」(ケーブルや電源もセット)の定価が2GBモデルで150ドル、8GBモデルで242ドルとされていたことから、ボード単体の「ROC-RK3568-PC」であれば2GBモデルで90~100ドル、8GBモデルで180~200ドルくらいな気がします。
4GBなRK3399機が50ドル台から販売されていることを考えると高く見えますが、Fireflyは割高な代わりにキャッチアップが早いので、「最初は高いけどしばらくしたら安い製品が出回る」の”最初”の部分と思えばいいです。
…大半のユーザーは価格を先に見るので「Station P2」も目標未達に終わったわけですが…
まぁ、RK3566/RK3568の使い方というか方向性のようなものを示す役割は果たしていますし、他メーカーも追従して製品を出してくることでしょう。例えばPine64はRK3566を搭載した「Quartz64」を開発しています。
今後が期待できるSoCの初期製品、普及前に人より先に触ってみたいという方はいかがでしょうか。
関連リンク
ROC-RK3568-PC Quad-Core 64-Bit Mini Computer:Firefly
ROC-RK3568-PCDocument&Tools:Firefly
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