2022年1月9日、SBCメーカーのRadxaは自社フォーラム上でRockchip RK3588を搭載したPico-ITXサイズのSBC(シングルボードコンピューター)「ROCK 5 Model B」(以下ROCK 5B)を発表しました。
リリースノート Introduce ROCK 5 Model B – ARM Desktop level SBC
スペック
モデル名 | Rock 5B |
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メーカー | radxa |
発売日 | 2022/07 |
価格 | 129ドル(4GB) 149ドル(8GB) 189ドル(16GB) |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3588 (8コア) (2.4GHz A76×4 + 1.8GHz A55 x4) |
GPU | Mali G610 MP4 |
NPU | 6TPOS |
メモリー | 4〜16GB LPDDR4x |
サポートOS | Debian 10 Android 12 |
有線LAN | 2.5GbE x 1 (48V PoE対応) |
Wi-fi | M.2 Key-E |
Bluetooth | 5.2 |
チップ | |
ストレージ | M.2 Key-M(2280) x1 microSD eMMC |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI(2.1) × 2 DP(Type-C) |
カメラ | |
オーディオジャック | |
その他インターフェース | |
消費電力 | |
電源 | |
幅 | 100mm |
奥行き | 72mm |
高さ | |
その他 |
特徴
radxaのSBCは2018年に「ROCK Pi 4」、2020年にラズパイ4風の「ROCK Pi 4C」、2021年にRK3568を搭載した「ROCK 3A」を発表しています。
「ROCK 3A」からはラズパイクローンとは別の方向性を目指すという意図で”Pi”の文字が外されました。

そして「ROCK 5B」は「ROCK 3A」の発展形的な位置となります。
CPU(SoC)
「ROCK 5B」に搭載されるSoC(System on Chip)はRockchipの新フラグシップモデルであるRK3588です。
2019年4月のイベントで発表されたもののその後音沙汰がなく、2021年12月になってようやくリーク情報が出始めました。
RK3588はRockchip初の8nmプロセスで製造されるSoCで、4コアのCortex-A76と4コアのCortex-A55のbig.Litte構成を取っています。
グラフィックは2021年5月に発表されたばかりのMali G-x10シリーズからミドルハイクラスとなるMali-G610の4コア(MP4)モデルを採用。
おそらくRK3588の当初はMali-G68とかMali-G78を予定していたはずで、グラフィックの変更がリリースの遅れに影響したのではないかと思われます。
ちなみにRK3588のデータシートの初版は2021年7月です。
ブロックダイアグラムはこんな感じ
PCIeはGen3が4レーンあり、「ROCK 5B」ではM.2 SSDスロットに割り当てられています。
Combo PIPE PHYという、SATA/USB/PCIe 2.1で排他利用となるインターフェースが3つあり、これがWi-fiカード用のM.2 Key-Eスロットと2.5GbEに割り当てられているようです。
グラフィックが強く、8K表示可能なHDMI2.1に対応しているので、サイネージ系にも良さそうです。
あと、CPU部とGPU部の間にさらっと1行だけ「High Performance NPU」と書かれていますが、6TPOSの性能を持っています。
RK3588の性能は飛躍的に向上していて、RK3399のざっと3倍です。
比較としてはSnapdragon 855の2倍、Snapdragon 888のちょっと下くらいで、AnTuTu(v9)では54万点を叩き出したようです。
なんというか、性能上がりすぎでは…?
参考 GeekBench4 Search
参考 GeekBench5 Search
参考 Rockchip RK3588 benchmarks:CNX Software
メモリ
メモリはLPDDR4xで、4GB、8GBに加え、16GBがラインナップに入っています。
…SBCの世界もついに16GBかぁ…「お前のPC、SBC以下かよw」って言われるのかな…?
ストレージについては明らかになっていませんが、ボード上にmicroSDスロットとeMMCソケットが見えます。
あとはM.2 NVMeスロットがあり、SoCのパワフルさを考えると、eMMCかM.2 SSDでの運用が正道なのでしょう。
その他
上でも書いていますが、ネットワークは2.5GbEとM.2 Key-Eで対応します。
Key-Eスロットは802.11ax(Wi-fi 6E)カードにも対応します。
2.5GbEはPoE(48V)にも対応するので、PoEハブを使えばLANケーブル1本での稼働も可能です。
電源は標準で12V/2A。Radxaでの想定最大消費電力は65W(CPUが15W、USB 3.0が9W、USB 2.0が5W、SSDが10W、その他)だそうですが、標準的には24Wで足りるだろうとのこと。
あと、あまり言及がないのですが、4K/60fpsのHDMI-INも持っているようです(どこで対応しているのかは不明)。
OSはDebian BusterまたはAndroid 12。
最新SoCだけあってOSも最新となっています。
外観
いわゆる第一報な状況のため、画像は多くありません。
2023年5月19日追記:インターフェース画像を差し替えました。差し替え前はV1.0、差し替え後はV1.42です。
表裏の全体です。
MIPIが2スロットありますが、CSI(カメラ)なのかDSI(映像)なのかは不明です。
というか、めっちゃ密度が高いですね…
RK3588をフルに使おうとするとこのサイズ(100×72mm)が限界なようで、今後予定しているSoM(System on Module)ではPCIe3.0がなくサイズが小型化されたRK3588Sを使うとのこと。
Wi-fiカードとeMMCを載せたらこんな感じです。
まとめ
「ROCK 5B」の価格は以下のようになっています。
4GB:129ドル(約14,800円)
8GB:149ドル(約17,000円)
16GB:189ドル(約21,600円)
購入先はallnetchinaまたはameridroidとなります。
で、「ROCK 5B」はreedem codeという割引形態を取っています。
これは50ドルの割引コード(+優先販売権)を5ドルで販売するというもので、実質的にはデポジット制の予約と同じです。
これには複数のメリットがあり
・事前に需要数を探ることで作りすぎを防ぐ
・チップメーカーに「これだけ予約が入っている」とアピールすることでチップの確保をしやすくなる
・割引コードを買った人には連絡がつくのでアナウンスがしやすい
など、Win-Winの関係を気付くことができます。
これだけ性能が上がって、16GBモデルがあって、それが139ドルで買えるとか、とんでもないですね。
というか、まじめな話、システムをeMMCに突っ込めば、M.2スロットでやりたい放題できそうな気が。
例えばこんなのとか。
しかしこれは、遊んでみたくなる…
関連リンク
Introduce ROCK 5 Model B – ARM Desktop level SBC:Radxa forum
Rock5 Model B Pre-order:allnetchina
Rock5 Model B Pre-order:ameridroid
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