上級者向け。Mixtile「Blade 3」はクラスター化前提なRK3588搭載SBC

シングルボード

2022年2月5日、Mixtileという新興のSBCメーカーが、Rockchip RK3588を搭載したスタッカブルSBC「Blade 3」を発表しました。

名前の通り、ブレードサーバーのような使い方ができるようです。ブレードサーバーとか久しぶりに聞いたな…

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スペック

■ Blade 3
CPURockchip RK3588
メモリ4~32GB LPDDR4
ストレージ32~256GB eMMC
microSD
インターフェースUSB Type-C(Gen2)×2
HDMI 2.1
HDMI-IN(2.0)
2.5GbE 有線LAN×2
U.2
wi-fiminiPCIe
サイズ100×72mm

モデル名Blade 3
メーカーMixtile
発売日2022/02
価格160ドル(4GB/32GB)
195ドル(8GB/64GB)
259ドル(16GB/128GB)
価格(日本円)
CPURockchip RK3588 (8コア)
(2.4GHz A76×4 + 1.8GHz A55 x4)
GPUMali G610 MP4
NPU6.0TOPS
メモリー4〜32GB LPDDR4
サポートOSMixtile OS
有線LAN2.5GbE x 2
Wi-fi×
Bluetooth×
チップRTL8125B
ストレージeMMC(最大256GB)
microSD
USB3.2Gen1 × 2(Type-C)
GPIO30pin x 1
映像HDMI(2.1 8K/60Hz)
HDMI-IN(2.0 4K/60Hz)
MIPI-DSI
カメラ×
オーディオジャック×
その他インターフェースU.2
miniPCIe
消費電力
電源DC 12V(SATA)
100mm
奥行き72mm
高さ
その他

特徴

「Blade 3」はU.2という、珍しいインターフェースを備えたSBC(シングルボードコンピューター)です。

U.2は以前はSFF-8639と呼ばれていたエンタープライズ向け規格で、元をたどるとSATA/SASドライブをホットスワップ可能なものとすることが目的でした。
しかしいまいち普及はせず、コンシューマ向けはM.2に負けて姿を消した規格となります。

コネクタ的にはSASにPCIe用のピンを追加した、SATA Express互換となっています。

「Blade 3」ではこのU.2コネクタを使って複数のボードを接続、クラスター化することができます

SoCについて

「Blade 3」のSoC(System on Chip、CPU/GPUと周辺チップを一体化したもの)にはRockchip RK3588を搭載します。
がじぇっとりっぷで取り上げるのは、Radxa「ROCK 5B」に次いで2機種目ですね。

ついにメモリ16GBに!Radxa「ROCK 5B」はRK3588搭載のPico-ITXサイズSBC

RK3588はRockchipの新フラグシップモデルでRockchip初の8nmプロセス製造、4コアのCortex-A76と4コアのCortex-A55のbig.Litte構成を取っています。
グラフィックは2021年5月に発表されたばかりのMali G-x10シリーズからミドルハイクラスとなるMali-G610の4コア(MP4)モデルを採用。
さらに6.0TOPSのNPUも内蔵し、かなり強力なSoCに仕上がっています。

ブロックダイアグラムはこんな感じ。
地味にHDMI-IN (HDMI RX)をサポートしています。

GeekBenchスコアはこんな感じ。
SBC界隈で主流のRK3399のざっと3倍、PC向けと比較するとシングルコア性能はCeleron N5100と同等、8コアな分マルチスレッド性能はN5100の1.5倍くらいでしょうか。

…ずいぶん性能いいですね?

メモリとストレージ

「Blade 3」のメモリは4GBから32GBのLPDDR4です。さすがに32GBは要問い合わせとなるようです。
ストレージは32GBから256GBのeMMC。メモリとストレージの組み合わせは固定となります。

その他

Wi-fiは非オンボードでminiPCIeスロットを使用します。
ただし、ホールがフルサイズ用しかないので、ハーフサイズのminiPCIeカードは使えません。miniPCIe to M.2変換アダプタを使うのが現実的でしょう。

有線LANはデュアル2.5GbE
内部的にはPCIe Gen2接続で、RTL8125Bチップを2つ使っています。

サイズは100×72mmの2.5位インチフォームファクター。
「ROCK 5B」も同じサイズなので、やっぱりフル機能を載せるとコンパクト化が難しいようです。

OSはAndroidとLinuxをミックスしたMixtile OSというものが用意されています。
現時点ではMixtile「Edge 2」向けとなっていますが、発売される頃には「Blade 3」にも対応すると思われます。

参考 Mixtile OS:Mixtile Docs

外観

インターフェースです。
裏面のコネクタはMIPI-CSIとなっていますが、下のブロックダイアグラム図ではMIPI-DSI、スペック表でもMIPI-DSIと記載されているので間違いと思われます。

クラスター化が前提のためか、外部インターフェースは一方向に集められています。
また、2つあるHDMIのうち片方はHDMI RX(Rceiver)、つまりHDMI-INとなっています。
HDMI-INはあって困るものではないと思いますが、クラスター向けSBCには似合わない気が。できるからやってみた感がありますね。

あと、さらっとType-CがDisplayPort 1.4a出力に対応していたりします。
HDMI+MIPI+Type-C×2のクアッドディスプレイができたりするんだろうか…?

クラスター向け、つまりエンタープライズ向けということを念頭に置くと、2.5GbEがデュアル構成な辺りも冗長化を図っているように感じます。

ブロックダイアグラムはこうなっています。
電源がU.2コネクタ経由しかないのがちょっと厄介かもしれません。

こんな感じでボード同士を接続してクラスター化ができます。

スタックしていくとこんな感じですね。

更に75台を1ユニットとして2U筐体に収めることで、合計消費電力1500W未満、トータル600コアのブレードサーバーを構築できるとのこと。

U.2接続なのでスワッパブル、つまり稼働させながら故障ボードだけを入れ替えることができるのは確かにブレードサーバー向きです。

まとめ

「Blade 3」を見つけた時は、いまさらU.2コネクタを見るとは思ってもいませんでしたが、でも確かにクラスター化には向いているコネクタだなぁと感心しました。
インターフェースの豊富なRK3588だからこそ実現できたボードとも言えます。

「Blade 3」の価格は以下の通り。

・4GB/32GB:160ドル (約19,500円)
・8GB/64GB:195ドル (約23,800円)
:16GB/128GB:259ドル (約31,500円)

「Blade 3」は記事執筆時点では初期の予約枠が埋まってしまい、次の予約枠の準備中となっています。

SoCの強力さにメモリ16GBでも3万円強の価格は、お手軽にHPC(High Performance Computer)を構築するにはよさそうです(実際はソフトウェア側が大変なんですけど)。
科学計算用途も行けそうですし、例えばスパコンで本番動作させる前の並列計算プログラムのデバッグとかにも行けそうな気がします(最近だとデバッグはラズパイクラスターでやってるのかな)。

同じRK3588でも「ROCK 5B」とは違う方向を向いていて、これはこれで面白いSBCです。

関連リンク

Blade 3:Mixtile
Blade 3:Mixtile Store

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