UGREENは充電ケーブルや充電器を中心にPC周辺機器を手掛けるメーカーとして有名ですが、実はオーディオ(イヤホン)も結構出しています。
TWS(True Wireless Stereo、完全ワイヤレスイヤホンの総称)だけでも記事執筆時点で6モデル販売しており、今回はその中でも最新のモデルである「HiTune X6」を試す機会をいただけました。
サンプルを提供いただいたUGREEN様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
UGREEN HiTune X6
GoodPoint
✔ パワフルな音
✔ 本体で音量調整可能
✔ しっかりと固定される
BadPoint
✖ 高音の伸びに欠ける
✖ 丸いデザインが持ちにくい
スペック
モデル | WS118 |
---|---|
Bluetoothバージョン | v5.1 |
チップ | RTL8773BLE |
対応プロファイル | A2DP, AVRCP, HSP, HFP |
対応コーデック | SBC, AAC |
ワイヤレス範囲 | 10m |
ドライバー径 | 10mm |
再生周波数帯域 | 20Hz~20KHz |
ANC機能 | -35dB |
バッテリー駆動時間 | 6時間(音量80%) 26時間 (ケース込) |
充電時間 | 本体:1.5時間 ケース:2時間 |
バッテリー容量 | 本体:100mAh ケース:400mAh |
充電端子 | Type-C |
防水&防塵規格 | IPX5 |
重量 | 本体:5.2g(片方) ケース:50g |
技適も取得していて、技適番号は217-210287です。
国内で検査したわけではなく、海外での認証をもとに認証する、相互認証での登録です。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索 (217-210287):総務省
パッケージ
・充電ケース
・USBケーブル
・イヤーパッド(3種3セット)
・ユーザーマニュアル
・セーフティガイド
操作について
左側 | 右側 | |
---|---|---|
電源オン | ・充電ケースを開ける ・3秒長押し | |
電源オフ | ・充電ケースを閉じる ・5秒長押し | |
音楽 | ||
再生・一次停止 | 1回押す | |
音量アップ | – | 2回押す |
音量ダウン | 2回押す | – |
曲送り | – | 3回押す |
曲戻し | 3回押す | – |
通話 | ||
電話に出る | 1回押す | |
電話を切る | 1回押す | |
着信拒否 | 2秒長押し | |
その他 | ||
低遅延モード切り替え | 4回押す | |
ANC切り替え | 1秒長押し | |
音声アシスタント | 2秒長押し | |
リセット | ・充電ケースに入れた状態で 充電ケースのボタンを10秒長押し ・電源オフから10秒長押し |
操作は4回タップまであってやや複雑ですが、本体のみで音量調整やペアリングができるのは良ポイントです。
使ってみた感想
接続について
接続は両方取り出した状態であれば両方セットで行われます。
片方だけ取り出して接続すると片耳モードになるらしいのですが、がじぇっとりっぷがあれこれ試した限りではうまくいかず、片方がペアリングするともう片方も起動時点で自動的にペアリングされました。
…片耳ずつバラバラに使えるのではなく、片方だけでも動作するって意味なんでしょう。
また、本体のみでペアリングのリセットができるので、ペアリング先を変更するときもいちいちケースにしまう必要がないのは楽です。
かけ心地について
かけ心地は何というか、耳に触れる部分が少なく固定された感が薄くて落ちるんじゃないかと不安になりますが、意外としっかりしています。
スピーカー部分が楕円形のため、ひねるとロックがかかったようになり、頭を振っても落ちない程度には固定されます。というか、固定の度合いでは過去トップクラスです。
それでいて耳が押し広げられた感というのはそこまで強くなく、長時間の装着にも耐えられます。
ただしひねらないとするっと落ちます。
音質について
「HiTune X6」のドライバー径は10mm。音の傾向は逆かまぼこのドンシャリ型です。
音は解像度が高く、全域にわたってパワフルさがあるものの、奥行きがやや過剰に強調され過ぎて、ちょっと離れた位置から音が出ている感が強いです。
オーケストラをかけた時は2階席最前列で聞いているような感じです。
バンド曲だと最前列ではなく少し後ろから聞いている感じですね。よく言えばライブの距離感が感じられます。
低音はそこそこに重く、重低音に近いところまで出ています。
そのためかなりの深みと臨場感のある音になっています。イヤホンで表現できるレベルとしてはかなり優秀です。
その代わり、低音の強い曲だと中高音を圧倒してしまうので、軽快さを求める層には不向きかもしれません。
中音はフラット。前述の通り解像感が高いので人の声などははっきりしています。
男女問わずボーカルが強調され、力強く聞こえます。
とはいえ前述の通り低音が入ると負けがちになるので、弾き語りのような曲はいいものの、ドラムの強い曲ではボーカルがやや埋もれます。
ボーカルも楽器の一つなヘヴィメタルなどではそこまで気になりません。
高音も澄んだというより力強さの方が先に立っています。透明感には欠けています。
エッジの立った音、例えばギターや三味線など弦をはじく音などはピンと震えるところまではっきりするくらいに鮮明です。
全体の評価としては、極端に弱い部分がなく高いレベルでまとまっています。
低音がいいのでロックバンド全盛期を経験している50代後半~60代は結構気に入るんじゃないかと。
ただやっぱり低音がかなり強いので、個人的には好みですがズンドコ音が苦手な人にはおすすめできないです。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。
ノイズキャンセリング
「HiTune X6」のノイズキャンセリング能力は-35dB。
左右どちらかの1秒長押しでオンオフできます。
実際の効果としては、扇風機の”強”が”弱”くらいの音になります。
完全に消えるというわけではなく、周波数の低い部分が消えて、周波数の高い部分が残る感じです。
他のイヤホンでは気になったホワイトノイズはごくわずかです。
ある一定以上の周波数には効果がありませんが、車の走る音や機械の動作音などのかなりの部分が消えるのでかなり聞きやすくなりますし、耳栓として使うのもアリですね。
音への影響ですが、音量が1割ほど低くなります。また、音が丸くなります。
例えば女性の話し声のキンキンした部分が和らぎ、聞き取りやすくなります。
一方で高音の伸びがさらに伸びなくなるので透き通った声質のボーカルを聞くには向かないでしょう。
ゲーミングモード
「HiTune X6」にはゲーミングモードという、50msという低遅延モードが用意されています。
左右どちらかを4回タップでオンオフできます。
低音部は1枚布がかかったような音となり、高音もやや抑えられ、相対的に中音域が持ち上がります。
音量が少し下がるので、ノーマルモードより心持ち音量を上げるとちょうどよくなります。
個人的にはこれはこれでバランスがいいと感じました。
一方でパワフルさが抑えられてしまうので、力強い声のボーカルだと物足りなく感じます。
そしてこれは個体差かもしれませんが、YouTubeを聞いていると低遅延での処理が間に合っていないのか、時折音飛びが発生することがありました。
見ている動画によっては発生しなかったので、何らかの相性か音声部分のビットレートなどが影響しているのかもしれません。
音域について
音域テストには「WaveGene」というアプリを使用しています。
※昨年末か今年の初めころに開発者サイトが閉鎖されましたが、archive.orgでダウンロードできます。
低音に強いことを示すように、25Hzくらいから音が出ています。
上は20kHzまではかすかに鳴っているのは分かるものの、まともに聞こえる範囲は13.5kHzくらいまででした。
動作時間について
「HiTune X6」の動作時間は、仕様上は音量80%で6時間、ANC ONで5.5時間とされています。
がじぇっとりっぷの耳にちょうどよかった音量50%で計測した結果が以下。
時間 | |
90% | 20分 |
80% | 60分 |
70% | 100分 |
60% | 130分 |
50% | 170分 |
40% | 200分 |
30% | 240分 |
20% | 280分 |
10% | 320分 |
OFF | 368分 |
音量は仕様より小さいものの、実測で6時間オーバーとなりました。
音量を上げると消費電力も増えるので、音量80%だと5時間くらいになると思います。
外観
外箱は黒をベースにしたおしゃれなデザインです。
開けるときはこのベロを引っ張ります。
ベロは割としっかりしているものの、ちぎれたりはがれたりしたらアウトです。
イヤーピースがデザインの一部になっているのは初めて見ました。
上でも掲載したパッケージ全体です。
紙類はマニュアルとセーフティガイドの2種類。
マニュアルは図解式でとても分かりやすいです。
USBケーブルはUGREENブランドのものが使われています。さすが周辺機器ブランド。
ケースはツートーンカラー。
前面にはLED、背面には充電端子とリセットボタンがあります。
開けるとこんな感じでイヤホンが収まっています。
イヤホン本体はまるまるっとした形状で角がありません。
充電端子の保護シールはハッキリ分かるものが使われています。
マイクはこの位置に3つずつの計6か所。
これは内部分解図で見たほうが分かりやすいですね。
LEDはこの位置。
装着したら周りから見えない位置です。
左右(LR)表記は色分けされています。
地味ながらユーザビリティに優れているので、他のメーカーにも広まってほしいくらい。
スピーカー口はわずかに楕円形。
スピーカー口の根元には通気口らしき部分。
まとめ
「HiTune X6」の価格について定価は5,399円ですが、記事執筆時点では30%オフクーポンで3,779円となっています。
…正直、3千円台で買えていい音じゃないですね。
ここ数年でTWSの技術が飛躍的に進歩していることを考慮しても、セール価格で5,000円と言われても納得するレベルです。
ゲーミングモードも面白いですし、丸っこくシックなデザインは女性が付けても違和感がないのも良ポイントです。
低音が強いので万人とまでは言えませんが、かなり広い層にお奨めできる一台と言えます。
関連リンク
製品ページ:UGREEN
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