2022年6月30日、Raspberry Pi財団は「Raspberry Pi Pico」のWi-fi対応モデル「Raspberry Pi Pico W」を発売しました。
国内では現時点で工事設計認証(技適)未取得のため未発売、技適取得次第販売が開始される予定です。
同日にはあらかじめピンヘッダを搭載した「Raspberry Pi Pico H」も発売されました。
スペック
モデル名 | Raspberry Pi Pico |
---|---|
メーカー | Raspberry |
発売日 | 2022/06 |
価格 | 6ドル |
価格(日本円) | 990円(予定) |
CPU | RP2040 (133MHz M0+ x 2) |
GPU | – |
NPU | – |
メモリー | 264KB SRAM |
ストレージ | 2MB NOR Flash |
サポートOS | – |
有線LAN | – |
Wi-fi | 802.11n |
Bluetooth | – |
チップ | CYW43439 |
USB | 1.1 x 1 |
GPIO | 40pin |
映像 | – |
カメラ | – |
オーディオジャック | – |
その他インターフェース | – |
消費電力 | 不明 |
電源 | microUSB |
幅 | 51.3mm |
奥行き | 21mm |
高さ | 3.9mm |
その他 | マイコン |
特徴
冒頭の通り、「Raspberry Pi Pico W」は「Raspberry Pi Pico」にWi-fi機能を追加したものです。
SoCとなるRP2040については上の記事に詳しいので、そちらを参照してください。
一応言っておくと、「Raspberry Pi Pico W」はSBC(シングルボードコンピューター)ではなくマイコン(マイクロコントローラー)に分類され、OSレスで直接コードを実行します。
「Raspberry Pi Pico」は4ドルと安価で、USB接続で書き込めるマイコンとして人気を博し、ニュースリリースによると出荷台数は200万台近くに上るとのこと。
しかしながらライバルとなるESP32に対してはWi-fi非対応であるという点で後塵を拝し、RP2040+ESP32なんてキメラ製品まで出てくる始末でした。
参考 UDOO Key
1年半かけてようやくWi-fiに対応したことで、IoTの現場でも導入が進むと思われます。
Wi-fiチップに使われたInfineon CYW43439は802.11 b/g/n(Wi-fi 4)+BT5.2という変わった組み合わせのサポートですが、「Raspberry Pi Pico W」では現時点では802.11nのみ、さらにBluetoothはオフにされているとのこと。将来的には対応する可能性もあるそうです。
ちなみに802.11 nは2.4GHz帯のみで、1レーンのみの最大96Mbpsとなっています。
Wi-fiの使い方
「Raspberry Pi Pico W」はOSレスなマイコンなので、プログラム内でWi-fiを起動させる必要があります。
リリースに合わせてSDKおよびファームウェアもアップデートされ、以下のようなコードで接続できるようになります。
import network wlan = network.WLAN(network.STA_IF) wlan.active(True) wlan.connect('Wireless Network', 'The Password') wlan.disconnect();
接続マニュアル内では簡易的なWEBサーバー(html形式でレスポンスを返すだけ)で接続を確認できるコードが掲載されています。
外観
「Raspberry Pi Pico W」の全体です。
左から「Raspberry Pi Pico」「Raspberry Pi Pico H」「Raspberry Pi Pico W」です。
「Raspberry Pi Pico H」は40ピン以外にJST SH 3ピンコネクタ(デバッグ端子用)も実装されています。
「Raspberry Pi Pico W」はプリント配線が大幅に変更されているほか、Wi-fiチップへの給電が必要となるのでスイッチングレギュレーター(電圧を変えるチップ)が最大800mAのRT6150B-33GQWから最大4AのRT6154AGQWに変更されています。
そのため、電源回り(USB端子の右下)がかなりいじられています。
おまけ。「Raspberry Pi Pico H」の背面です。
サポートが入っていて、予想外にがっちりしたものになっていました。
まとめ
冒頭に書いたように、「Raspberry Pi Pico W」は技適を取得してからの国内発売となります。
しかしすでに販売ページは用意されていて、スイッチサイエンスでは1,111円、KSYでは990円(いずれも税込)が予価として提示されています。
無印の「Raspberry Pi Pico」が572円(スイッチサイエンス)ということを考えると7割以上高いわけですが、内容が内容だけにこんなものかなと。
なんというか、本格的に遊べて実用できるものが来たなぁという感じですね。
関連リンク
【未発売】Raspberry Pi Pico W:スイッチサイエンス
Raspberry Pi Pico W [SC0918]:KSY
データシート:raspberrypi.com
接続マニュアル:raspberrypi.com
ニュースリリース:raspberrypi.com
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