2022年8月23日、SBCメーカーのUP Boardは産業向けであるElkhart Lakeを搭載したSBC「UP Squared v2」を発表、予約を開始しました。
スペック

■ UP Squared v2 | |
CPU | Celeron N6210 Pentium J6426 |
---|---|
メモリ | 2~16GB DDR4-3200 |
ストレージ | 32~64GB eMMC 空きM.2スロットあり |
インターフェース | USB 3.2 Gen2×3 HDMI DisplayPort 1GbE 有線LAN×2 オーディオジャック |
wi-fi | M.2 Key-E |
サイズ | 85.6×90mm |
重さ | 1.3kg |
特徴
UP Boardはいくつかのシリーズを出していて、記事執筆時点では「UP Squared」はApollo Lake世代のCPUを搭載した初代「UP Squared」(159ドル~)、「UP Squared Pro」(199ドル~)、「UP Squared Pro」の後継的な「UP Squared 6000」(219ドル~)の3シリーズが販売されています。
4シリーズ目として加わったのが、「UP Squared v2」です。
「UP Squared v2」は名前の通り、無印「UP Squared」の2代目にあたります。
Gemini Lakeをすっ飛ばして2世代分の進化ですが、形状やインターフェース配置にも互換性があり、置き換えも可能です。
CPU
CPUはElkhart Lake世代のCeleron N6210またはPentium J6426です。
Celeron N6210は2コア2スレッドで16EU、Pentium J6426は4コア4スレッドで32EUです。

構成から見てCeleron N6210はCeleron N4500の動作周波数を1割落としたくらい、Pentium J6426はPentium N6005の動作周波数を1割落としたくらいとみていいようです。
Elkhart Lakeはベンチマークデータがほとんどないので何とも言えませんが、数少ない公開データとしてはPentium J6426のPassMarkスコア(CPU)が4200弱というものがあります。
Pentium N6005が4500強なので、9割強くらいのスコアです。
グラフィックについてもEU数に応じた性能とみていいので、Core i3-1115G4(48EU)の3分の1から3分の2程度のスコアとなるでしょう。
メモリとストレージ
メモリは2GBから16GBのDDR4、ストレージは32GBまたは64GBのeMMCです。
メモリスロットらしきものは見当たらないので、オンボードですね。
拡張要素としてM.2 SSDに使えるKey-M(2280)スロットと、SATAポートが一つあります。
ただ、用途的なことを考えると、M.2スロットは同社の「AI Core X」(IntelのAIチップを搭載した、M.2で使えるAIボード)や「Hailo-8」(これもAIボード)などに使うのが正統なのかなと。
その他
無線LANはM.2 2230スロットがあるものの、Wi-fiカードはオプションです。
この点は技適に縛られている日本としては使いやすいと言えます。
有線LANは1GbE×2で、どちらもPCIe to GbE変換チップのRTL8111Hが用いられています。
上位機種とでも呼ぶべき「UP Squared 6000」は2.5GbE+1GbEなので、ここはきっちりと差がつけれれています。
でもこう、せっかく内部的に2.5GbEを持っているElkhart Lakeを使っているのだから、ここは気前よく2.5GbEにしてほしかったなぁと。
電源は12Vで、オプションの電源アダプターは12V/6Aです。
公式の消費電力(平均)は30~38Wとされています。
OSはUbuntu 20.04、Yocto 3.1のほか、Windows IoT Core、そしてIntel CPUらしく通常のWindows 10にも(そしておそらくWindows 11にも)対応しています。
Windows 11が対応OSに入っていないのはドライバーの確認が終わっていないとか、そんな理由じゃないかと。
TPM2.0には対応しているので、Windows 11のアップグレード要件は満たしていると思いますし。
外観
インターフェースです。
85.6×90mmのサイズの中に、うまく詰め込まれています。
映像出力はHDMIとDisplayPortのほかにeDPに対応しているあたりがSBCらしいですね。
なお、HDMIは1.4(4K/30Hzまで)、DisplayPortは1.2(4K/75Hzまで)となっています。
USBは3ポートともUSB3.2 Gen2です。
端子類はこんな感じ。
PC用マザーボードを極限まで削った感があります。
底面側はほぼ全面ヒートシンクです。
ケースについては先代「UP Squared」向けのケースがそのまま使えそうです。
このケースを使うときは、上の画像のヒートシンクを外して、ケースのフタ兼ヒートシンクに付け替えます。
まとめ
「UP Squared v2」は9月15日まで予約セールを行っていまして、通常価格から10%オフとなっています。
構成と価格は以下の通り。
CPU | メモリ | ストレージ | 通常価格 | 予約価格 |
---|---|---|---|---|
Celeron N6210 | 2GB | 32GB | 179ドル | 161ドル |
4GB | 199ドル | 179ドル | ||
Pentium J6426 | 249ドル | 224ドル | ||
8GB | 64GB | 299ドル | 269ドル | |
16GB | 359ドル | 323ドル |
最安は161ドル(約22,000円)から、メモリ16GBにすると323ドル(約44,000円)と結構高くなります。
電源アダプタは15.99ドル、ファンレスケースは28.99ドルです。
これがコンシューマ向けであればちょっと高いなぁとなるところですが、産業向けと考えれば割と安いんじゃないかと。
ただGPIOがいらなくて、コンシューマ向けPC的使い方しかしないなら、普通のミニPCを買った方がいいでしょう。
用途や使用環境(粉塵の舞う工場内とか)に応じての住み分けができていればいいってだけの話ですね。
マニュアル類も比較的しっかりしていますし(「UP Squared v2」の資料はまだ間に合っていませんが)、GPIO付きの小型ボードとしても使えますし、いろいろと面白いボードです。
関連リンク
UP Squared v2 Series:UP Board
UP Squared fanless chassis:UP Board
Hailo-8:UP Board
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