2022年11月21日、Banana Pi teamはSynaptics社のVideoSmart VS680というSoCを搭載したSBC「BPI-M6」を発表しました。
あと気付いていなかったのですが、開発チームが「Sinovoip and Foxconn team」から「BIPAI KEJI」(2021年11月~12月)を経て「Banana Pi team」(2022年1月~)に変更されています。
スペック
■ BPI-M6 | |
CPU | VideoSmart VS680 |
---|---|
メモリ | 4GB LPDDR4X |
ストレージ | 16GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(給電)×1 USB 3.0×4 HDMI×1 HDMI入力×1 microSDXC 1GbE 有線LAN |
wi-fi | M.2 E-Key |
サイズ | 92×60mm |
重さ | 48g |
モデル名 | Banana Pi M6 |
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メーカー | Banana Pi |
発売日 | 2022/12 ? |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | Synaptics VideoSmart VS680 (2.1GHz A73 x4) |
GPU | PowerVR GE9920 |
NPU | Vivante VIP9000 6.75TOPS |
メモリー | 4GB LPDDR4X |
サポートOS | Android Linux |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | M.2 Key-E |
Bluetooth | × |
チップ | |
ストレージ | 16GB eMMC microSD(最大256GB) |
USB | 3.0 x 4 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | microHDMI(2.1 4K/60Hz) MIPI-DSI |
カメラ | × |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | microHDMI-In PoEヘッダ(4pin) |
消費電力 | |
電源 | USB-C 5V/3A |
幅 | 92mm |
奥行き | 60mm |
高さ | |
その他 | 重量:48g |
特徴
「BPI-M6」は、Synaptics社の「VideoSmart VS680」というSoCを搭載しています。単なるOEMのようで、中身はSenaryTech社のSN3680です。
ぶっちゃけ、初めて聞くSoCです。
参考 SN3680 スペック表:SenaryTech
「VS680」はブランド名の”VideoSmart”からも分かるように、マルチメディア、あるいはスマートホームを主眼に据えたSoCです。
4コアの2.1GHz Cortex-A73にGPUはPowerVR GE9920。GE9920はRk3399のMali T820よりは強力ですが、昨今のMali Gシリーズには及ばないようです。
ここまではミドルローくらいなのですが、6.75TOPS(INT8)という強力なNPU(Neural Processing Unit)を搭載していて、Deep Learning(AI)に強くなっています。
記事執筆時点ではAIベンチマークランキングで1位に輝いています。
SoCの紹介スライドでも、超解像やノイズ低減といったAI処理が謳われていました。
同じくAI処理として物体認識や音声認識、顔認識能力も高いようです。
汎用的に使えなくもないですが、AI処理を活用したスマートホームデバイスとか監視ソリューション向けが用途として適していますね。
一応、セットトップボックス(Fire TV Stickのような)使い方(要はFire TV Stick的)もできるようですが、さすがにもったいない使い方な気がします。
メモリは4GB LPDDR4X、ストレージは16GB eMMCです。
オンボードWi-fiはないものの、M.2 E-Keyスロットを持っているので、好きなWi-fiカードが使えます(なおドライバは自分で探す必要があります)。
有線LANは1GbEです。
外観
インターフェースです。
見た目にはラズパイライクなのですが…よく見たらHDMIはRXとTX、つまり片方はHDMI入力です。なにそのトラップ。
電源はType-Cで5V/3A入力。microSDは256GBまで対応しているとのこと。
まとめ
「BPI-M6」は価格も発売予定も不明です。
いつもはもうちょっと情報が出揃ってから紹介するところですが、ぶっちゃけいまいち興味を惹かれなかったので、ネタを温めるまでもないと早々の記事化です。
いや、価格次第では「安価なのに強力なNPUを持ったSBC」ってなるんでしょうけれど。
Rockchip RK3588/RK3588Sが6TOPSのNPUを内蔵しているうえにCPU部分もアホみたいに強力、それでいて意外と安価っていうのがありまして。
例えばRK3588S搭載の「Orange Pi 5」は4GBメモリだと1万円切り、16GBメモリでも1.6万円で買えちゃうんですよね。
なので、5~6,000円(35~45ドル)くらいで出れば興味を持つ人もいるかもね?っていうのが感想です。
まぁ、このご時世ではその価格は無理でしょうから…B2Bがメインで、コンシューマ向けではポシャるんじゃないかなぁ…
(おまけという名のメモ)チーム変更について
Banana Piはオープンソースコミュニティであり、開発チームはちょっと複雑です。
大本にあるのが、2004年設立のSinoVoip(深圳市源创通信技术有限公司)です。
Raspberry Pi(2012年)がヒットした翌年の2013年にはオープンソース ハードウェア プロジェクトを開始、Foxconnのサポートを受けながら2014年に初代「Banana Pi」を発売しました。
これが、開発チーム名が「Sinovoip and Foxconn team」だった理由ですね。
参考 Banana pi 香蕉派开源硬件通过CE,FCC,RoHS 认证(初代「Banana pi」が認証取得したときのブログ記事)
そこから2015年に独立したのがGuangdong Bipai Keji Cpa(广东比派科技有限公司)で、本拠をdongguan(東莞市)の松山湖ハイテク産業パークに、営業部門と工場を深センに構えた…というか、SinoVoipが建てた工場を使っている雰囲気です。
Banana Piにおける”bpiロゴ”はこのBipaiが保有しているようです。
参考 Bipai公式サイト
2021年11月のサイトリニューアルに合わせて開発チーム名を「BIPAI KEJI」に変更したものの、何かしらの紆余曲折を経て「Banana Pi team」に収まったというのが経緯のようです。
ちなみにSinoVoipの創設者でCEOを務めるWang LionがBipaiのCEOも務めているうえ、湖南工学院卒ということでガチエンジニアのようです。初期のころは自分で解説したりしています。
参考 CEOのFacebookページ
参考 CEOのSlideShareページ
関連リンク
Banana Pi BPI-M6 製品ページ:Banana Pi
Banana Pi BPI-M6:BPI Wiki
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