2022年7月15日、SBC(シングルボードコンピューター)メーカーのXunlong Softwareは、Rockchip RK3588Sを搭載したSBC「Orange Pi 5」を発表しました。
スペック

■ Orange Pi 5 | |
CPU | Rockchip RK3588S |
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メモリ | 4~32GB LPDDR4/4x |
ストレージ | 32GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(3.0)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×2 HDMI 1GbE 有線LAN microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ax+BT5.0 |
サイズ | 100×62mm |
モデル名 | Orange Pi 5 |
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メーカー | Xunlong |
発売日 | 2022/07 |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3588S (8コア) (2.4GHz A76×4 + 1.8GHz A55×4) |
GPU | Mali-G610 MP4 |
NPU | 6.0TOPS |
メモリー | 4~32GB LPDDR4/4x |
サポートOS | Android 12 Debian 11 |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | 802.11ax |
Bluetooth | 5 |
チップ | YT8531B AP6275P RK806-1 |
ストレージ | microSD 32GB eMMC |
USB | 3.0 x 1 3.0 x 1(Type-C) 2.0 x 2 |
GPIO | 26pin x 1 |
映像 | HDMI(2.1 8K/60Hz) MIPI-DSI (4lane) x 2 |
カメラ | MIPI-CSI x 1 MIPI D-PHY x 2 |
オーディオジャック | ○ mic x 1 |
その他インターフェース | UART |
消費電力 | |
電源 | DC 5V/4A Type-C 5V/4A |
幅 | 100mm |
奥行き | 62mm |
高さ | |
その他 |
特徴
「Orange Pi」シリーズは名前から分かるように、Raspberry PiクローンがスタートのSBCシリーズです。
名前に”Pi”とあるものの互換性などは全く意識していないようで、インターフェース配置はかなり好き放題だし、ボードサイズも全く異なっています。
明らかにクローンだなぁって言えるのは、(SBCに分類していいのかも微妙な)「Orange Pi 800」くらいかもしれません。

SoCについて
「Orange Pi 5」のSoCはRockchip社のRK3588S。
フラグシップSoCの世代交代ということで、各社からRK3588/RK3588S搭載ボードの発表が相次いでいて、「Orange Pi 5」もその一つとなります。
がじぇっとりっぷが紹介した中ではFirefly 「ROC-RK3588S-PC」が同じSoCを採用していますね。

RK3588SはRK3588の小型版で、CPU/GPU/NPUはそのままながら、インターフェース周りが簡素化されています。
RK3588S | RK3588 | |
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CPU | Cortex A74 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TPOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
性能比較としてはSnapdragon 855の2倍、Snapdragon 888のちょっと下くらいで、AnTuTu(v9)では54万点を叩き出したようです。
GeekBench5では2000点オーバー。近いのはCore i3-1005G1で、旧世代のSBCでよく使われていたRK3399比だと、ざっと3倍です。
メモリとストレージ
メモリは4~32GBのLPDDR4/4x。規格が定まっていないのは、容量によって違うものと思われます。
しかし、RK3588/RK3588S搭載ボードでもメモリ16GBまで(あるいは32GBは要問合せ)の製品が多い中、メモリ32GBを明記しているのは素晴らしいですね。
これ、カスタムなしでも買えるようになるのでしょうか?
ストレージは32GB eMMC。
こちらはメモリ容量にかかわらず固定です。
OSのイメージサイズが変わるわけでもないのに、メモリ量によってストレージ容量が増えるのってコストの無駄だと思っていたので、これはありがたいですね。
欲を言うならメモリとストレージの容量の組み合わせを好きにカスタマイズできたらベストですが…それこそコスト増につながりますし。
そういう点では最初からeMMCを外付けにしている「Rock 5」などは賢いと言えます。

その他
無線LANは802.11ax(Wi-fi 6)対応で、モジュールはSparkLAN AP6275P、チップはBroadcom BCM43752です。
内部接続はPCIeで、転送速度は1.2Gbpsです。
有線LANは1GbEでチップはYT8531B。
型番的にMotorcommっぽいですが、検索してもヒットしません。おそらくはYT8531C(「Orange Pi 4 LTS」に使われたLANチップ)の姉妹品と思われます。

電源はDC 5V4Aで、Type-CからのUSB PD給電にも対応しています。
外観
インターフェースです。
PMU(電源管理チップ)周りが整然として美しいですね。
構成としては割とシンプルで、GPIOが26ピンと少なめです。
映像出力はHDMI(8K対応!)にType-C(DisplayPort出力)、MIPI-DSIが表裏にひとつづつの4系統を持っています。
背面です。こちらはインターフェースはほとんどありません。
サイズは100×62mmと、クレカサイズより一回り大きいです。
RK3588/RK3588S搭載機はM.2スロットがある印象でしたが、ストレージもWi-fiもオンボードで済ませてしまうスタイルなので、スロットがありません。
日本だと技適がなくて困るパターンなんですよね…
GPIOのpin配置です。
まとめ
「Orange Pi 5」の価格はまだ公開されていません。
内容的には、4GBモデルで200ドルを切るくらいじゃないかなぁと予想しています。
全部入りな点は評価できますし、メモリ32GBモデルが一般販売されたらアツいんですけどね。
せっかくだから100×62mmと一回り大きいサイズを生かしてもう一捻りほしかったと思わなくもありません。
まぁ、RK3588系はどこもノウハウがないので、仕様・構成はどこも手探り状態なので、なかなか難しいところだとは思いますが。
関連リンク
Orange Pi 5:orangepi.org
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