がじぇっとりっぷではこれまでほとんど取り上げていませんが、ガジェットの一分野にゲームコンソールというものがあります。
見た目的にはポータブルゲーム機で、エミュレータソフトによって過去のゲームソフトを遊べるやつです。
前々から気にはなっていたものの、そもそもエミュレータが動けばいいという方針からスペック的にはパッとしないものが多く、なかなか食指が伸びませんでした(最近はあまりゲームをしなくなったというのもあります)。
潮目が変わったかなと感じたのは、「GPD XP」やAYN「Odin」が登場した辺り(※)でしょうか。
それまではLinuxカスタムUIでエミュレータ特化が主流だったところに、AndroidベースでAndroidゲームも余裕で遊べるハイスペック機というカテゴリが生まれ、高スペック機が増えてきました。
そんな流れで出てきたのが、今回レビューするAnbernic「RG505」です。
今まで買わず嫌いだったので、初ゲームコンソールですね。
機材を提供いただいたAnbernic様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
※この界隈をずっと追いかけていたわけではなく、時々チェックする程度の立場での感想です。
Anbernic RG505
CPU | Unisoc Tiger T618 |
---|---|
メモリ | 4GB LPDDR4x |
ストレージ | 128GB eMMC |
画面 | 4.95インチ 有機EL 960×544 |
インターフェース | USB Type-C(2.0)×1 microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ac+BT5.0 |
バッテリー | 5,000mAh |
サイズ | 189×87×18mm |
重さ | 286g |
GoodPoint
✔ お手軽にゲームで遊べる
✔ 有機ELディスプレイ
✔ Google Play対応
✔ ステレオスピーカー
BadPoint
✖ (記事執筆時点で)技適未確認
✖ ぼってりとした筐体
✖ HDMI出力なし
注意事項
記事執筆時点では技適未確認のため、有線接続にて検証しています。
レビュー内でがじぇっとりっぷが使用しているROMは、著作権法に違反しない形で利用しています。
当ブログは違法行為を推奨するものではありません。ROMは著作権を侵害しない方法で入手してください。
外観
外箱はシンプルですが、ワクワク感があるデザインです。
コントローラがあるので、保護材は厚手のものが使われています。
パッケージ全体。
保護ガラスが同梱されていました。
公式のものだけあって、ガラスは完全にフィット。よくあるスマホフィルムみたいに、「ふちが数mm開いていて気持ち悪い」がありません。
右にはファンクションボタンとリターンボタン。
左は音量ボタン。
上部にはUSB Type-Cとオーディオジャック。
下部にはmicroSDスロットと電源ボタン、そしてステレオスピーカー。
LRボタンは二つづつ。L3/R3はありません。
本体全景。
左右対称のデザインです。
充電中はスタートボタン横のLEDが点灯。
左右対称となる反対位置(セレクトボタン横)にも穴がありますが、そちらはマイクです。
底面には滑り止めのパッド。
厚みはないので、ないよりまし程度です。
ちなみにねじはおそらく1/16インチ六角レンチで、JIS規格のレンチは合いません。
中心のロゴ部。
技適マークは見当たりません。
「iPhone 8(4.7インチ)」と「Xperia 1 II(6.5インチ)」とのサイズ比較。
厚みは2倍ほどあります。
重量は296g。公称286gよりちょっと重いですね。
システム
「RG505」はSoCにUNISOC T618を、OSにAndroid 12を採用しています。さらには(アップデート後は)Google Playストアにも標準対応しています。
UNISOC T618は2万円前後のタブレットでよく使われるSoCで、AnTuTu(v9)は総合21万点台と(ゲームコンソール機としては)かなり強力。
PS1やニンテンドーDS、ドリームキャストなど90年代のハードは快適に動作するレベルで、ゲームキューブやWii、PS2など00年代ハードも一部のタイトルは動作します(これはハードというよりもエミュレータソフト側の対応状況が大きいです)。
面白いのがこのファンクションボタン。
Android画面とエミュレータインターフェースをワンボタンで行き来できます。
実際に使うとこんな感じ。
手間を感じることもなくゲームプレイに移行できます。
他のAndroidベースのゲームコンソールにも搭載されているのでしょうが、「なるほど、これが専用機か…」と感心しました。
Androidゲームでは「原神」をプレイ。
流石にグラフィック画質は「最低~低」が限界ですが、プレイは可能です。
キーマッピングを行うことで基本操作は画面に指をかけずにプレイできるので、4.95インチでもあまり狭さを感じないのがいいですね。
また、有機ELらしいコントラストの高さから、解像度の低さは感じません。これは他のアプリやストリーミングなどでも言えることで、びっくりしたポイントです。
「PUBG」は「HDのHigh」まで設定できました。
そして「ウマ娘」はプレイできず。
ストレージ
ストレージは内蔵がリード197MB/s、ライト104MB/s、SDカードがリード83MB/s、ライト40MB/s。
内蔵ストレージも十分な速度が出ていますし、SDカードが思った以上に早いです。
これだけ速度が出るのなら、増設ストレージとして使っても不満は感じないでしょう。
WideVine
WideVineはL1とされていますが、PrimeビデオはHD画質にはなりませんでした。SD表示も出なかったので、どんな解像度だったんだろう…?
YouTubeは(960×544解像度ですが)1080p60Hzまで対応しています。
初期設定
初起動時は英語か中国語でのセットアップ、記事執筆時点での最新ファームウェアでは日本語ロケールにも対応しています。
起動時の見た目は普通のAndroidです。
アップデート
最初にやっておくべきはアップデートです。
「FOTA UPDATE」よりアップデートの確認ができます。
記事執筆時点での最新はv1.19。
バージョンアップペースは結構早く、記事執筆中にもv1.18a→v1.18b→v1.19と3回アップデートされました。
v1.18以降にアップデートするとアプリが追加され、Googleプレイにも対応します。
v1.19では日本語に対応しました。
キーマッピング
クイック設定パネルはカスタマイズがされていて、「キーマッピング」が行えます。
「キーマッピング」の左隣のRマークは、前述のファンクションボタン(Android・エミュレーターのワンボタン切り替え)に当たります。
「原神」など一部のアプリにはプリセットが用意されていました。
アプリストア
「RG505」はアプリストアとして「Aptoide」と「APKPure」がプリインストールされています。
それぞれラインナップが少し異なっていますが、アプリ管理も行えます。
GeekBench4のような、Googleプレイから削除されたアプリもあったりするので、重要度としてはGoogleプレイよりは低いものの、あって困るものではないでしょう。
ベンチマーク
「RG505」にはハイパフォーマンスモードが用意されています。
なのでAnTuTuベンチマークではノーマルモード・ハイパフォーマンスモードの両方で実施しました。左がノーマルモード、右がハイパフォーマンスモードです。
AnTuTu
定番のAnTuTuでは、T618としてはあまり高いスコアではありません。
極端に低いわけではありませんが、ハイパフォーマンスモードでようやく平均的かなといったところ。
もっとも、ゲームコンソールという性質および各種エミュレーターの動作にはオーバースペックであることを考えると、普段はノーマルモードでバッテリー駆動時間を長く取る方がよさそうです。
あと、ハイパフォーマンスはCPU部分だけのようで、GPUスコアには影響していません。
GeekBench
GeekBenchはハイパフォーマンスモードだとなぜか途中で落ちるので、ノーマルモードのみ。
マルチスレッドで1400オーバーは平均よりやや上といったところ。まぁ、スコア一覧を見る限り、最適化を頑張っても1500は超えるデータは見つからないので、十分ですね。
参考 GeekBench 5 CPU Search Results (UNISOC T618)
PCMark
PCMarkはCPU処理の部分が大きいので、AnTuTuのCPUスコアと同様に、有意に差がついています。
CPU Prime
いまどきこのテストをしている人もいないでしょうが、一応。
CPUの計算処理のみを見るので、これも差がついていますね。
3DMark
ハイパフォーマンスモードはCPUのみなので、GPUベンチマークの3DMarkだと、ほとんど差がありません。
ベンチマークまとめと比較
タブレットですがTECLAST「M40SE」、CHUWI「HiPad Pro(2022)」、Xiaomi「Pad 5」、Amazon「Fire HD 10 Plus(第8世代)」との比較も掲載。
モデル | RG505 (Normal) | M40SE | HiPad Pro(2022) | Xiaomi Pad 5 | Fire HD 10 Plus | |
---|---|---|---|---|---|---|
SoC | T618 | T610 | Helio G95 | Snapdragon 860 | MT8183 | |
メモリ | 4GB | 4GB | 8GB | 6GB | 4GB | |
OS | Android 12 | Android 10 | Android 11 | Mi UI 12 (Android 11) | Fire OS 10 (Android 9) | |
Antutu v9 | 総合 | 215411 | 185081 | 325270 | 581218 | – |
CPU | 68722 | 64392 | 88053 | 150489 | – | |
GPU | 42678 | 0(※) | 95813 | 203852 | – | |
GeekBench 4 | Single | 1747 | 1766 | 2351 | 3630 | 1473 |
Multi | 5352 | 5615 | 6183 | 11244 | 4575 | |
GeekBench 5 | Single | 371 | 365 | 481 | 771 | 304 |
Multi | 1418 | 1374 | 1612 | 2756 | 1353 | |
3DMark | Wild Life | 742 | 512 | 1335 | 3437 | – |
Wild Life Unlimited | 738 | 506 | 1358 | 3433 | – | |
Wild Life EX | 189 | 126 | 380 | 988 | – | |
Sling Shot | 2139 | 1719 | 3308 | Max out | 1497 | |
Sling Shot EX | 1491 | 1119 | 2475 | Max out | 1114 | |
IceStorm | Max out | Max out | Max out | – | Max out | |
IceStorm EX | Max out | Max out | Max out | – | Max out | |
IceStorm Unlimited | 24531 | 21618 | Max out | – | 19747 | |
PCMark | work 2.0 | – | 7615 | – | – | – |
work 3.0 | 7988 | 7917 | 8104 | 11223 | 5403 | |
PassMark | System | 5896 | 2699 | 8701 | 9536 | 4895 |
CPU | 2898 | 1932 | 4161 | 4199 | 2209 | |
3D | 9446 | 16528 | 33682 | 64912 | 16551 | |
CPU Prime | 42788 | 39769 | 46461 | 54672 | 43483 | |
ブラウザ | jetstream2 | 40.149 | 35.425 | 40.745 | 73.484 | 31.43 |
Basemark | 278.23 | 211.94 | 222.85 | 410.86 | 178.06 | |
WebXPRT | 74 | 63 | 40 | 96 | 49 | |
MotionMark | 187.61 | 105.22 | 62.49 | 141.24 | 82.45 | |
Octane | 11855 | 10311 | 17918 | 27894 | 9243 | |
Speedometer | 38.9 | 30.3 | 37 | 56.2 | 28.5 |
まとめ
ゲームコンソールというものは初めてでしたが、想像以上にいいですね。
一発切り替えのファンクションボタンは便利ですし、画面に指をかけずにプレイすると4.95インチでも結構広く感じます。
ただ、画面のわりに筐体が大きいなと感じることも。
ジョイスティックメインで操作すると、L2/R2がちょっと遠いんですよね。
画面そのままに筐体を一回り小さくできると、評価はさらに上がると思います。
「RG505」の価格は公式ストアで21,999円。T618搭載タブレットと変わらない程度の価格です。
画面は小さいものの有機ELだし、物理ボタンは便利だし、タブレットと比較しても、ゲーム好きなら「RG505」を選ぶ価値はあると思います。
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