2023年7月4日、BeelinkはRyzen 7 7735HSを搭載したミニPC「SER6 MAX」を発表、9月にAmazonで発売しました。
スペック
■ SER6 MAX | |
CPU | Ryzen 7 7735HS |
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メモリ | 32GB DDR5-4800 |
ストレージ | 512GB~1TB NVMe SSD |
インターフェース | USB Type-C(TB4)×2 USB Type-C(Gen2)×1 USB3.2 Gen2×1 USB2.0×2 HDMI DisplayPort 2.5GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6+BT5.0 |
サイズ | 126×113×49mm |
重さ | 0.62kg |
特徴
Beelinkは中国企業Shenzhen AZW Technology Co,. Ltd.のブランドです。AZW Technologyは2011年設立、ミニPCを主力としています。
最近だとCeleron N5095を搭載した「U59」から、Intel N95を搭載した「Mini S12」という安価なミニPCがヒットしていますね。
ラインナップは格安系の「EQ」、Intel系の「SEI」、Ryzen搭載の「SER」、ハイエンドの「GTR」の4シリーズに分類されています。上記の「U59」や「Mini S12」は「EQ」シリーズに入ります。
この記事で紹介する「SER6 MAX」は、ミドルハイ~ハイエンド下位くらいに当たる「SER」シリーズ。
命名規則は謎なんですが、どうもRyzen 5000番台だとSER5、Ryzen 6000番台とそのリフレッシュ版(7035シリーズ)はSER6、Zen4なRyzen 7040シリーズはSER7となるようです。
CPU
「SER6 MAX」のCPUはRyzen 7 7735HS。Ryzen 7000シリーズの中でZen3+アーキテクチャを採用する7035シリーズに属しています。
言ってしまえば、Ryzen 7 6800Hのリフレッシュ版ですね。
最新のZen4アーキテクチャではありませんが、TDPの高いHSシリーズだけあって、性能は高めです。
ハイエンドクラスはRyzen 9 7940HSを搭載してきますが、価格も10万円前後となるため、コストバランスを考えるとRyzen 7 7735HSは非常に優れたCPUと言えます。
グラフィックもベンチマークによってはGTX 1050を超えてくるでしょう。
メモリとストレージ
メモリは32GB(16GB×2)のDDR5-4800。
ストレージは512GBまたは1TBのM.2 SSDです。
後述しますが、「SER6 MAX」はデュアルGen4 SSDスロットとなっています。
その他
無線LANはWi-fi 6(802.11ax)、Bluetoothはv5.2。
有線LANは2.5GbE。この辺りはミドルハイ~ハイエンドクラスでは標準的です。デュアルLANじゃない分おとなしいとも言えますが、インターフェーススペース的に難しいところです。
電源アダプタは19V/6.32A(=120W)。これがかなり特徴的でして。
底面に磁気プラグでくっつける仕様となっています。
抜き差しで電源プラグが痛まないのがメリットですが、MagSafeのようにひっかけたら外れて落下防止になるというわけではないとのこと。
この特殊プラグな電源アダプタは永久保証とされています。
また、USB PDによる100W給電にも対応しています。この場合は高負荷時動作にキャップがかかるものと思われます。
外観
本体全景。
「SER6 MAX」から「GTR」シリーズ風のデザインに変更されました。前述の特殊電源プラグもこのデザイン変更と合わせて導入されたものです。
ちなみに無印の「SER6」はこんな感じ。全然デザインが違います。
インターフェースです。
電源ポートが底面に来たことで、ボードの幅いっぱいにインターフェースを配置することができています。
デュアルUSB4ですが片方のポートは取ってつけたような感じ。といってもこれも「GTR」シリーズと共通するデザインなんですけど。
面白いのが、前面と背面両方に設置されたオーディオジャック。これも実は「GTR」シリーズからの流れです。
内部はCPUファンとストレージ・メモリファンのデュアルファン構成。SSDはファンを挟んだ両面に1枚ずつとなります。
Gen4 SSDは高速化の代償として発熱が大きいので、冷却機構が用意されているのはありがたいですね。
ちなみに底面側のSSDはオプション(別売)で2.5インチに置き換えることができるそうですが…置き換える人いるのかな…?
CPUのヒートシンクにはベイパーチャンバーを採用。
ベイパーチャンバーは仕組みとしてはヒートパイプと同じ、内部の液体の蒸発(気化熱)と凝縮を利用した熱移動システムを、毛細管現象を利用することで薄型化したものです。
最近ではスマホの冷却などでもベイパーチャンバーを採用していますね。
参考画像 ベイパーチャンバーの仕組み:大日本印刷
熱移動効率がいいので、Beelinkの検証ではTDP 54W設定における2時間のテストでCPU温度は最高85度、騒音は最大38dBだったとされています。
まとめ
「SER6 MAX」の価格は、32GB/500GBモデルが記事執筆現在では84,800円に10,000円オフクーポンで74,800円。32GB/1TBモデルは89,800円に15,000円オフクーポンで74,800円。
価格が一緒ってどういうこと…?
Ryzen 7 7735HS搭載機という点ではGMKtec「NucBox K2」が60,499円、SkyBarium「R7」に至ってはクーポン込みで56,900円(いずれも記事執筆時点)と、もっと安い機種はあります。
しかしながら、どちらもシングルUSB4、シングルM.2 SSD、メモリが16GB DDR4-3200であるなど、仕様で見ればワンランク違っています。
また、ハイエンドとなるZen4(Ryzen 9 7940HS/Ryzen 7 7840HS)搭載機は最安でも9万円以上と価格帯が一つ上がります。
その分性能も上がるのですが、インターフェースはハイエンド仕様な廉価版と考えれば、「SER6 MAX」はコストバランスが取れているんじゃないかなぁと。
ちなみに公式サイトではバリエーションとして「SER6 Max 6900HX」が登場しています。おそらく日本でも発売されるでしょう。
同じZen3+世代で、動作周波数の上限が高い分、性能面ではRyzen 7 7735HSのちょっと上くらい。高負荷環境ならこちらもありでしょうが…それならZen4な「SER7」の方がいいかなぁ。
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