昨今のミニPC界隈では、今年初めまでのCeleron N5095/5105ブームが終わり、一気にIntel N95/N100搭載機に置き換わっています。
がじぇっとりっぷも一台くらい試しておかないとなぁと思っていたところにお声がけいただいたのが、今回レビューするNiPoGi「GK3Plus」です。
機材を提供いただいたNiPoGi様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いていきます。
NiPoGi GK3Plus

| CPU | Intel N95 |
|---|---|
| メモリ | 16GB DDR4-3200 |
| ストレージ | 256GB M.2 SATA SSD |
| インターフェース | USB 3.0×2 USB 2.0×2 HDMI 2.0×2 VGA 1GbE有線LAN オーディオジャック |
| wi-fi | Wi-fi 5+BT4.2 |
| サイズ | 128×128×51.5mm |
| 重さ | 386g |
GoodPoint
✔ 相当に静か
✔ 思った以上にパワフル
✔ メモリはアクセスしやすい
✔ 珍しいVGA端子
BadPoint
✖ 筐体はミニPCとしては大型
✖ Type-Cなし、PD給電非対応
パッケージ

・電源アダプタ
・電源ケーブル
・VESAマウンタ
・ねじ類
・ユーザーマニュアル

箱及び本体ラベルには技適番号が記載されています。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索 (210-175586):総務省
「GK3Plus」のインターフェース



・USB2.0
・USB3.0 ×2
・電源ボタン
■左サイド
・VGA
・オーディオジャック
・1GbE 有線LAN
・HDMI×2
・USB 2.0
・電源ジャック
「GK3Plus」のインターフェースはちょっと変則的で、正面以外の3方向となっています。
ただ、見て分かるようにUSB Type-Cがなく、そのせいで古いPCな印象を受けてしまいます。
「GK3Plus」のパフォーマンス
「GK3Plus」の搭載CPUはIntel N95で4コア4スレッドです。
サンプル機の構成はメモリ16GB×1、ストレージ256GB SATA SSDとなっています。
総合


PassMarkは旧バージョン(v9)と新バージョン(v11)の両方を掲載。比較グラフはデータの揃っているv9のみです。
CPU性能は思ったより高く、マルチスレッドで6,800点となっています。
えらく高いように見えますが、現行のv11だと5400点台なので、スコアとしては平均的なものとなります。
見るポイントはシングルスレッドスコアですね。Core i3-1115G4を上回っていて、だいたいCorei5-1135G7と同じくらいです。
実際使っていて結構動作がサクサクなのは、このシングルスレッド性能の高さに由来しているものと思われます。
CPU
上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド
CINEBENCHではCore i3-1115G4どころかCore i3-1005G1にも及ばず。
いや、Celeronの後継的扱いのCPUがCore i3に近い性能を出しているってだけでも十分なんですけどね?
PassMrak9の成績が良かっただけに、低い印象を受けてしまいます。
GPU
グラフィックはCore i3-1005G1(UHD 10th)を上回るも、グラフィックを一新したTiger Lake世代のCore i3-1115G4(11th UHD)には遠く及ばず。
というか、下位クラスではRyzenが強いなぁと。
ストレージ

ストレージ情報はYHJCとかいう、聞いたこともないメーカー製。
検索しても出てこなくて、謎過ぎる・・・


SATA接続なので、速度は500MB/s台です。IOPSもSATAクラスですね
外観
パッケージ

外箱はASUSなどの台湾系な雰囲気。

パッケージ一覧です。
付属品

電源アダプタは12V2.5A(=30W)出力。

マニュアルには日本語ページがありますが…

文言は機械翻訳したような感じで、かなり不自然。
さらにいわゆる中華フォントが使われています。
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。

HDMIケーブルとVESAマウンタ。

このマウンタ、突起部が結構長くなっています。

実際に装着するとぴったりです。

VESAマウンタを取り付けると、上辺はインターフェースがなく、ほこりなどが入りにくくなっています。
フロント部分にインターフェースがないことを不思議に思っていて、VESAマウンタを取り付けてみて初めてその理由に気付いた時は、「なるほどー」と感心してしまいました。
VESAマウンタを取り付ける前提のデザインって初めて見たかも。
筐体

前述の通り、フロントにはインターフェースはなく、LEDのみとなっています。

電源ボタンは左側面。こちらにはUSBもあります。
上部の銅色の部分は飾りではなく、排気口となっています。

背面だけ見ると普通な感じ。デュアルHDMIです。

右側面にはVGA端子。いまどき珍しいレガシーな端子です。
がじぇっとりっぷの手持ちにVGA対応ディスプレイがないので、接続は試していません。

天板には「intel INSIDe」のシール。なんでeだけ小文字何だろう…?

底面です。

左右は排気口で、吸気口とは仕切りで明確にエリア分けがなされています。
吸気した一部は天面側に回って、これも左右のスリットからゆるりと排気されます。
デザインが今風じゃないなぁと思っていましたが、その裏には意外な工夫が隠れていました。

底面には認証情報のシールも貼られています。
内部構造

背面のねじを外すことで内部にアクセスできます。

蓋を外すと2.5インチベイがお目見え。

さらにその下にはメモリスロットが隠れていました。

隠れたType-C。使い方は不明というか、分離タイプのAK1PROなどと共通の設計なんだろうなぁと。
比較

同じIntel N95を搭載するBeelink「Mini S12」と比較。
2.5インチベイを内蔵するため、サイズが一回り違います。

サイズは違っても背面のインターフェース内容は似ているという。
重量

重さは本体380g、電源アダプタ込みでも500gを切りました。
ゲームベンチマーク
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
| CPU | Intel N95 |
|---|---|
| グラフィック | Intel Core UHD |
| メモリ | 16GB×1 DDR4-3200 |
| ストレージ | 256GB SATA SSD |
比較対象
[軽量級] DQベンチマーク
| 設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 1920×1080 最高品質 | 2482 | やや重い |
| 1280×720 標準品質 | 3797 | 普通 |
軽量級のDQ Xはプレイできるかどうかって程度です。
それから、Intel N95はメモリが1スロットしかない、つまりどうやってもシングルチャネルしかできないので、他のデュアルチャネル可能なCPUに比べてメモリ速度面でマイナスが大きく、スコアが低めです。
とはいえ、ベンチマーク中の画面を見るとそれなりにスムーズに動いてはいるのですが。
[中量級] FF XIV 漆黒のヴィランズ
| 設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 1920×1080 最高品質 | 923 | 動作困難 |
| 1920×1080 高品質 | 1300 | 設定変更 |
| 1920×1080 標準 | 1999 | 設定変更 |
| 1280×720 高品質 | 2574 | やや快適 |
| 1280×720 標準 | 3648 | 快適 |
中量級は、720p(1280×720)なら何とかプレイ可能。
軽量級のDQより順位が高いのは、メモリ速度以上に根本的な性能差が現れたのでしょう。
しかし…720pとはいえCeleron系列のCPUでプレイできるって割とすごいことでは…?
[重量級] FF XV Windowsエディション
| 設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 1920×1080 高品質 | 398 | 動作困難 |
| 1920×1080 標準 | 561 | 動作困難 |
| 1920×1080 軽量 | 740 | 動作困難 |
| 1280×720 標準 | 910 | 動作困難 |
| 1280×720 軽量 | 1148 | 動作困難 |
重量級のFF XVはどうあがいてもプレイは無理ですね。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力

| アイドル時 | 6.0W |
|---|---|
| 画面オフ時 | 5.5W |
| スリープ時 | 0.4W |
| CINEBENCH(S) | 15.4W |
| CINEBENCH(M) | 17.6W |
| 最大 | 19.7W |
消費電力は瞬間的には20Wを超えることもありましたが、基本的には20W未満で推移。
騒音

| 状況 | 音量 |
|---|---|
| 電源オフ | 35.2dB |
| アイドル | 35.2dB |
| 最大 | 37.4dB |
| 最大(背面) | 37.4dB |
| 騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
|---|---|---|---|
| うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 |
非常にうるさい |
| 60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 |
非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる |
|
| 普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 |
大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
| 40 | 深夜の市内 図書館 |
多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 |
|
| 静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 |
非常に小さく聞こえる |
| 20 | ささやき 木の葉のふれあう音 |
ほとんど聞こえない | |
騒音はほぼないレベル。
やや高周波寄りの音ですが、1mも離れたら聞こえるかどうかといった音量です。
アイドル状態でも最低限はファンが回っていますが、持ち上げて底面10cmくらいの距離まで耳を近付けてようやくわかるくらい。
昼間だと負荷をかけても他の音にかき消され、30cmくらいまで耳を近付けないとファンが回っていることが確認できません。
ファンレスの完全無音ではありませんが、これだけ静かなら設置場所は選ばないでしょう。
温度

温度は、最大で74度でした。
底面に仕切りを入れて排気を再吸入しないようになっていること、吸気の一部は天面側にも回り込んで、広く熱を分散していることなどが、小さなファンでも効率的に冷却できている要因かなぁと。
まとめ
「GK3Plus」の価格は2万円前後から高くても2万円台前半。
インターフェースがやや古臭かったり、2.5GbEなどのコストがかかりそうな仕様は入れてなかったりと物足りない部分はあるものの。
筐体は意外と考えられた作りでしたし、静音性はかなりのものだし、その割に性能はしっかり出ているしで、思った以上にしっかりしています。
単ポートの1GbEなのでサーバー用途にはあまり向いていませんが、リビングPCだとか、古いディスプレイを再利用したサブPC環境だとか、そういう用途には良さそうです。
関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
| メーカー | NiPoGi | |
|---|---|---|
| モデル名 | GK3Plus | |
| CPU | Intel N95 | |
| GPU | UHD | |
| メモリ | 16GB×1 | |
| ストレージ | 256GB | |
| PassMark 9 | Total | 2801.3 |
| CPU Single | 2718 | |
| CPU Multi | 6817.9 | |
| 2D | 570.9 | |
| 3D | 906.4 | |
| Memory | 2042.7 | |
| Disk | 4038.9 | |
| PassMark 11 | Total | 1285.7 |
| CPU | 2079 | |
| CPU Single | 5455.5 | |
| 2D | 208.2 | |
| 3D | 878.7 | |
| Memory | 2175.6 | |
| Disk | 3744 | |
| 3DMark | TimeSpy | 351 |
| Graphics | 307 | |
| CPU | 1892 | |
| FireStrike | 1001 | |
| Graphics | 1080 | |
| Phisics | 5816 | |
| Combined | 359 | |
| NightRaid | 4283 | |
| Grapihics | 4722 | |
| CPU | 2806 | |
| SkyDiver | 3838 | |
| Graphic | 3661 | |
| Phisics | 5031 | |
| Combined | 3866 | |
| CloudGate | 6282 | |
| Graphics | 7432 | |
| Phisics | 4076 | |
| IceStorm | 44695 | |
| Graphics | 45676 | |
| Phisics | 41574 | |
| IceStormEX | 30033 | |
| Graphics | 27820 | |
| Phisics | 41624 | |
| IceStormUnlimited | 66658 | |
| Graphics | 75321 | |
| Phisics | 47527 | |
| 3DMark | TimeSpy | 351 |
| Graphics | 307 | |
| CPU | 1936 | |
| FireStrike | 1006 | |
| Graphics | 1087 | |
| Phisics | 58889 | |
| Combined | 359 | |
| NightRaid | 4313 | |
| Grapihics | 4727 | |
| CPU | 2884 | |
| WildLife | ||
| CINEBENCH R15 | OpenGL | 39.20fps |
| CPU(M) | 394cd | |
| CPU(S) | 155cd | |
| CINEBENCH R20 | CPU(M) | 960pts |
| CPU(S) | 357pts | |
| CINEBENCH R23 | CPU(M) | 2497pts |
| CPU(S) | 934pts | |
| CPU-Z | Single | 373.9 |
| Multi | 1218.5 | |
| CrystalMark | Mark | 218861 |
| ALU | 72301 | |
| FPU | 34146 | |
| MEM | 39102 | |
| HDD | 41703 | |
| GDI | 14659 | |
| D2D | 4045 | |
| OGL | 12905 | |
| GeekBench4 | Single | 4255 |
| Multi | 9485 | |
| OpenCL | 15410 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| GeekBench5 | Single | 975 |
| Multi | 2246 | |
| OpenCL | 3561 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| GeekBench6 | Single | 1147 |
| Multi | 2478 | |
| OpenCL | 3166 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| PCMark | ALL | 3104 |
| Essensial | 6918 | |
| Productivity | 4842 | |
| DigitalContent | 2424 | |
| VR Mark | 551 | |
| DQ(DX9) | 1920・最高 | 2482 やや重い |
| 1280・標準 | 3797 普通 |
|
| FF XIV(DX11) 紅蓮 |
1920・最高 | 915 動作困難 |
| 1920・高 | 1342 設定変更 |
|
| 1920・標準 | 2064 普通 |
|
| 1280・高 | 2621 やや快適 |
|
| 1280・標準 | 3728 快適 |
|
| FF XIV(DX11) 漆黒の反逆者 |
1920・最高 | 923 動作困難 |
| 1920・高 | 1300 設定変更 |
|
| 1920・標準 | 1999 設定変更推 |
|
| 1280・高 | 2574 やや快適 |
|
| 1280・標準 | 3648 快適 |
|
| FF XIV(DX11) 暁月の終焉 |
1920・最高 | 913 動作困難 |
| 1920・高 | 1306 設定変更 |
|
| 1920・標準 | 2019 設定変更 |
|
| 1280・高 | 2522 設定変更 |
|
| 1280・標準 | 3573 設定変更 |
|
| FF XV(DX11) | 1920・高 | 398 動作困難 |
| 1920・標準 | 561 動作困難 |
|
| 1920・軽量 | 740 動作困難 |
|
| 1280・標準 | 910 動作困難 |
|
| 1280・軽量 | 1148 動作困難 |
|
| MHF(DX10) 大討伐 |
1920 | 1652 |
| 1280 | 3183 | |
| ブラウザ | jetstream2 | 145.636 |
| BaseMark | 260.03 | |
| WebXPRT3 | 227 | |
| WebXPRT4 | 156 | |
| MotionMark | 575.22 | |
| SpeedMeter2.0 | 149 | |
| octane | 45916 | |
ベンチマーク結果画像








































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