【レビュー】ALLDOCUBE iPlay50 mini:軽量コンパクトで性能も悪くないけど上位機に人気を奪われた不憫タブレット

レビュー

2023年に入って8インチ台タブレットが数年ぶりに盛り上がっています。
再ブームのきっかけとなったのは、UAUU(ユアユー)「P30」辺りですが、大きく火が広がったのは「iPlay50 mini」からです。

数年前の8.4インチブームの時はどのメーカーも横並びでWQXGA(2560×1600)、前述の「P30」もWQXGAなのに対し、「iPlay50 mini」はWUXGA(1920×1200)。
正直なところ、がじぇっとりっぷはこんなに盛り上がるとは思っていなかったので、実は発売時の単独記事も書いていなかったり。実質ダウングレードしたのに人気が出るとかふつう思わんて。

ところがいざ発売されるとあっという間に完売。人気を博しているのを見て、遅ればせながら購入して書いているのがこの記事です。

スポンサーリンク

Alldocube iPlay50 mini

■ ALLDOCUBE iPlay50 mini
CPUUNISOC T606
メモリ4GB LPDDR4X
ストレージ64GB UFS2.1
画面8.4インチ IPS WUXGA
インターフェースUSB Type-C(2.0)×1
microSD
オーディオジャック
カメラ前:500万画素
後:500万画素
wi-fi802.11ac+BT5.0
4G/5G4G対応
FDD:B1/2/3/4/5/7/8/20/28AB
TDD:B38/39/40/41
バッテリー4,000mAh
サイズ202.7×126×7.5mm
重さ292g

GoodPoint
300gを切る軽量さ
予想以上に綺麗なディスプレイ
必要十分な性能

BadPoint
スピーカーがモノラル
斜めから見るとツブツブ感
充電は11Wまで
上位の「iPlay50 mini Pro」に勝てない

パッケージ

内容物
・本体
・電源アダプタ
・USB CtoCケーブル
・リリースピン
・ユーザーマニュアル

技適マークはあるものの、技適番号がないので実は技適不備という。

インターフェース

縦持ち時に電源・音量ボタンはサイド、スピーカーは下辺、Type-C端子はなぜか上辺にあります
スタンドに立てかけたとき、ケーブルが邪魔にならないようにという設計でしょうか。

パフォーマンス

「iPlay50 mini」のSoCはUNISOC T606。以前にレビューしたTECLAST「P40HD」と同じSoCです。

【レビュー】Teclast P40HD:高速ストレージにFHD画質で動画も見れる、そこそこスペックな良コスパタブレット

2021年に発表(搭載製品の登場は2022年)された、T600番台の下位モデルとなります。
2019年発表のT618/T610と比較すると、グラフィックがMali-G52 MP2(2コア、16nmプロセス)からMali-G57 MP1(1コア、7nmプロセス)に変更され、AV1に対応、またUFSストレージ規格に対応したことが大きな違いです。

AnTuTu(v9)のスコアは総合19.8万点、CPU:6.1万点、GPU2.1万点。
T618/T610に比べてグラフィックスコアが低くなっています。

GeekBench5ではシングル311点、マルチで1292点。
Celeron N4100がマルチで1350点前後なので、だいたい同じくらいの性能ということになります。

メーカーAlldocubeAlldocubeTeclastBMAXTeclast
モデル名iPlay50 MiniiPlay50 Mini ProP40HDI11M40SE
CPUUnisoc T606Helio G99Unisoc T606Unisoc T618Unisoc T610
メモリ4GB8GB6GB8GB4GB
ストレージ64GB UFS256GB UFS128GB UFS128GB eMMC128GB eMMC
OSAndroid 13Android 13Android 12Android 11Android 10
AnTuTu (v9)総合198298361235234677223069216447
CPU61324100428621466899566012
GPU2140780286351304481831356
MEM5725686895727203725059172
UX5831193626646817200659907
AnTuTu (v10)総合243685405761267365262720270491
CPU82507135529822218689482019
GPU2329863578284164328541218
MEM78737106190998665952579494
UX59593100464568627301667760
GeekBench 4シングル14712382146916201766
マルチ49396646500648515615
Compute40835436415945564786
GeekBench 5シングル311529308371365
マルチ12921711132612481374
Compute5161428517821754
GeekBench 6シングル382710367447428
マルチ13611884136013041403
Compute4461284448833757
GeekBench MLCPU164242163184174
GPU201442193112
NPU110完走できず111132123
3DMarkWild Life4121228416559512
Wild Life Unlimited4211213414556506
Wild Life EX97341114142126
Sling Shot14263285141717411719
Sling Shot Unlimited15053568150117561119
Sling Shot EX952253595211781123
IceStormMaxed outMaxed outMaxed outMaxed outMaxed out
IceStorm EXMaxed outMaxed outMaxed outMaxed outMaxed out
IceStorm Unlimited1670531189164882094321618
PassMarkSystem62369446628660453687
CPU29564553297729302733
Memory1201214504120651417113053
Disk51310102423681251429528293
2D1370422241144792433024007
3D1376220373105851818116772
ブラウザjetstream246.73871.14740.95952.61735.425
BaseMark194.73344.07215.73258.39211.94
WebXPRT365689063
WebXPRT44576445952
MotionMark11.12261.3951.81114.6105.22
Octane1183822673111261459010311
Speedometer40.1362.132.5937.130.3
PCMarkWork 3.071229392724979527917
Battery (100%)4h30m5h43m4h29m5h20m4h47m
Battery (50%)7h35m8h53m7h48m10h6m11h45m
Burnout7.812.17.86
AI-Benchmark36.662.438.142
AiTuTu総合52659786066716768296
Image25999301012830328512
Object25389329563641036977
SR12711554924492807

他の製品との比較。
CPU・GPUはT618/T610に劣るものの、PassMarkなどでは高速なUFSストレージによる底上げがかなり効いていることが分かります。

ストレージ

「iPlay50 mini」のストレージは64GB UFS2.1
microSDも対応しています。

カードスロットはmicroSD+nanoSIMのコンボスロット。

ストレージ速度の計測結果。
#1が内部ストレージ、#2がmicroSD(SanDisk Extreme Pro 128GB)です。

内部ストレージはリード275.5MB/s、ライト188.4MB/s。高速とまではいきませんが、eMMCよりは早いです。
microSDもリード80MB/sを超えていて、サブストレージとして活用できるだけの速度が出ています。

使ってみた

ディスプレイ

「iPlay50 mini」のディスプレイは8.4インチ1920×1200
冒頭でも書きましたが、数年前の8.4インチブームの時は超高精細なWQXGA(2560×1600)ばかりだったので、ここにきてWUXGA(1920×1200)にダウングレードは、どうなのかなぁと思っていました。
しかし実際のところはWUXGAでも十分に綺麗で、画素の粗さは気になりません。

考えてみたら普段は10.1インチWUXGAとか使っているわけで。それより細かくなるのだから綺麗で当たり前なんですよね。
というか、めちゃくちゃ黒が深く、金魚(?)が浮かび上がるように美麗でびっくりしました。

ただ少々問題もあり。
うまく撮れなかったので写真はないのですが、斜めから見ると45度くらいの角度からツブツブ感というか、斜め格子模様が浮かんできます(特に白表示部分)。
正面から見ると見えないし、30cmも離れれば判別できない程度なのでそこまで気にはなりませんが、ふとした拍子にモヤッとした感じで見えたりするので、ちょっとだけマイナスです。

ベゼル幅は上下が10.8mm、左右が6.2mmと、タブレットとしては狭い部類です。
縦持ち時は片手なので左右は指が被らず、両手持ちとなる横持ち時もベゼル幅が広めなのでこれも画面に指がかかりません。
使って不満がない範囲で最大限にコンパクトにしていると言えるでしょう。

色は白から黒まで自然な表現ができています。
黒が黒く、白が白く表現できているので、画面の色合いに違和感がありません。

明るさごとの比較。
室内だと0%でも見えますが、50~70%でちょうどよく、100%だとちょっとまぶしく感じます。

USB顕微鏡で拡大してみます。

Chromeのアイコン部分の拡大。
液晶のドットは互い違いに斜めになっています。
黒表示部分(画像の左側)は全く光が漏れておらず、深い黒の表現に成功しています。これが美麗な表示の要因ですね。

サウンド

「iPlay50 mini」のスピーカーはモノラルで、横置き時に右下部(盾持ち時の下辺左)に位置しています。
最大音量はかなり大きく、本体の軽さもあって音量100だとビビり音が少々発生します、リビング程度なら十分賄える程度の音量となります。

音質は何というか、音のいいラジオみたいな感じ。
解像度が低く、荒い中音と割れ気味な中高音、ピーキーな高音がレトロ感を出しています。

モノクロなので音が偏っていますが、70~90年代くらいの音源だと雰囲気が出ます。
逆に音域を広く使う最近の曲だと違和感というか、やや聞きにくくなります。

そんな感じなので話し声もクリアさには欠け、聞き取りに不自由はないけどイヤホンを使った方が良さそう。

音質は視聴環境によっても大きく変化します。また、聴き手の好みやジャンルによっても左右されます。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。

動画

「iPlay50 mini」のWidevineはL1で、VOD(動画配信)サービスのFHD画質視聴にも対応しています。

Amazon Primeでは1080p再生表示が付きました。が、いかんせん画面が8.4インチなのとモノラルスピーカーで、没入感はいまいちです。

WidevineとはDRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)のひとつで、Google独自のデジタル著作権管理テクノロジーです。
他のDRMにはMicrosoftのPlayReady、AppleのFairPlayなどがあります。

WidevineにはL1(最高)からL3(最低)の3段階があり、Amazon PrimeではHD画質以上での再生にはL1(と独自のAmazon認証)が必要となります。
NetflixなどもWidevineDRMを採用しており、L1でないとHD画質での再生ができません。

ゲーム

PUBG

PUBGは同じT606を搭載する「P40HD」と同じ結果、つまり”HDの高”までしか選択できませんでした。

原神

原神は、最低画質で”スムーズ”、低画質で”やや高い”、中画質で”非常に高い”になりました。

また、カスタムで60fpsにすると最低画質でも”非常に高い”に。

実際のプレイでは最低画質で60fpsが一番プレイしやすいです。
画質を高く設定してあまり負荷をかけすぎるとサーマルスロットリング(動作速度抑制)が起こり、カクつく原因となります。

ちなみに原神はストレージを30GB近く使うやべーゲームなので、インストールすると容量をほぼ使い切ってしまいます。

カメラ

カメラはリアが500万画素、フロントが500万画素、元サイズは2592×1944です。

カメラアプリはマニュアル撮影のできる”Pro”モードに対応しています。

設定は日本語化されていませんが、watermark表示にも対応。

下の作例は幅800に縮小した以外の加工はしていません。

リアカメラでの撮影。自然な色合いでフォーカスもきっちり取れていて、500万画素の割には相当にうまく撮れます
タブレットのカメラでここまで撮れるとは思っていなかったので、うれしい誤算ですね。

フロントカメラでの撮影。
リアとは違ってオートフォーカスがないため、ピントがやや甘め。色合いは黄色がやや強めに出ています。

このくらい撮れるならカメラの出っ張りも許容範囲になりますが、それでもカメラで勝負しないのなら、低性能でも出っ張りのないカメラでフラットにした方がユーザーの受けがいいと思うんですよね…
これ、何でどこもやらないんだろう…?

バッテリー

「iPlay50 mini」のバッテリー容量は4,000mAh。
稼働時間はディスプレイ輝度100%で4時間30分、輝度50%で7時間35分でした。

消費電力

消費電力(充電電力)は最大で11.8W。せめて18W充電くらいには対応してほしいなぁと思わなくもないですが、そこはコストとの兼ね合いですね。

アイドル(輝度100%)3.1W
アイドル(輝度50%)1.6W
アイドル(輝度0%)1.1W
GeekBench(輝度100%)7.6W
GeekBench(輝度0%)5.3W
原神(輝度100%)5.4~6.6W
原神(輝度0%)3.3~4.8W
充電中(画面オフ)10.9W
充電中+GeekBench(輝度100%)11.8W
充電中+原神(輝度100%)11.4~11.7W

※原神は「最低画質+60FPS」で計測
※”充電+原神”時は、高負荷で発熱すると動作抑制→消費電力低下が発生

外観

外箱は白箱に箔押しロゴ。

裏面のラベルには技適番号がありません。

再掲ですがパッケージ全体。

同梱物

電源アダプタはPSE取得済み。最大で5V/2A(=10W)の出力です。

マニュアルは多言語。
インターフェース説明だけのシンプルなもので、中華フォントを指摘できるほど日本語表記がありません。

本体画像。
フロントカメラの位置から、縦が正方向となります。

標準で保護フィルムが貼られています。
このフィルム、フィルム自体の保護を剥がそうとすると肝心の本フィルムまで付いてきやすいので、剥がすときは慎重にしないと気泡が入ることに。
がじぇっとりっぷは失敗して、必死に気泡抜きをする羽目になりました。

サイドを4方向から。
電源ボタンと音量ボタンが同一辺にあるスマホスタイルです。

背面。
感触的には樹脂っぽいのですが、アンテナ部と思われるところはツートーンとなっています。

カメラ(一部再掲)。
専用のフィルムだけあって、フロントカメラ部分は綺麗に切り欠かれています。

重量は、本体が297gでした。持った時も軽くてずっしり感がなく、あまり中身が詰まってないような感じです。重心バランスがいいんでしょうね。

システム

「iPlay50 Pro」はほぼ素のAndroidです。

プルダウンメニューも普通。

タブレットなので設定画面は2カラム

アプリ一覧では独自アプリっぽいのは「FMラジオ」くらいです。

ディスプレイの項目に「カラー」があり、コントラストと色味をそれぞれ3段階に設定できます。

フォントサイズは4段階、アイコンなどの表示サイズは3段階で変更可能。

Androidバージョンは13
システムアップデートはここでは7月27日版ですが、記事執筆時点でのバージョンはは8月13日版、セキュリティアップデートが3月5日です。
どこのメーカーもそうですが、リリース直後からしばらくは頻繁に更新が入り、安定してくると更新頻度が減っていきます。

初期のメモリとストレージの使用量はこんな感じです。

PCに接続したときのディレクトリ構成。
なぜか名前が”KidzPad_Pro”となっています。

まとめ

「iPlay50 mini」の価格は、セールによっては1.3万円前後と、タブレットとしては相当に安価な部類です。
メモリは4GBと2023年のタブレットとしては少なめのエントリー機になってしまいますが、2021年頃であればこのくらいが主流でしたし、使っていてカクつく場面もありません。

発売当初は1.4~1.5万円でしたが、人気でした。
まぁそれも「iPlay50 mini Pro」が出るまでの話だったのですが。絶対性能は正義なんですよね…
がじぇっとりっぷだって、一台持つならどっちがいい?と聞かれれば、「iPlay50 mini Pro」を選びますし。

なんというか、結果的にかませ犬みたいな立ち位置になってしまった不憫機種ですが、これはこれで良コスパ機だと思います。

関連リンク

付録:ベンチマーク スクリーンショット

コメント

タイトルとURLをコピーしました